【卒業生インタビュー Vol.6】

経営学科OG 田口 万友美さん『人間至る処青山あり』

卒業生インタビュー vol.6

 『人間至る処青山あり

田口 万友美 さん(2009年 経営学科卒業)
勤務先:東日本電信電話株式会社
http://www.ntt-east.co.jp/

出身ゼミ:藤田英樹ゼミナール
出身高校:宇都宮短期大学附属高等学校

経営学部の学生が卒業生にインタビューし、仕事のやりがい、経営学部での学びの経験、学生への応援メッセージなどを語っていただくこの企画。今回は、東日本電信電話株式会社にお勤めの田口 万友美さん(2009年経営学科卒業)にご登場いただきました。

インタビュアーは経営学科4年生の西岡大さんと経営学科2年生の杉原なな子さんです。

「ワクワク」を見つける仕事

―― 現在のお仕事の内容は?

「光コラボレーション」という新規事業の営業を担当しています。具体的には、他の会社に回線を卸して、NTT東日本の名前を出さずにその会社の名前で売ってもらうことを目的としています。ふつう、NTT以外の会社が全国にインフラを整備しようとしても、莫大な設備投資が必要になるのでなかなかできないのです。しかし、NTTから安く回線を卸すことによって、他の事業者でも設備投資をせずに回線を提供することができるようになります。このサービスを、とくに医療系の会社に対して営業活動することが現在の私の仕事です。

―― お仕事のやりがいについて教えてください。

 新しい発見があることですね。光コラボレーションはNTT東日本の中でも新しいビジネスになります。そのため、今までにないビジネスモデルを作るということが現在の私たちの目標となっています。今までは「インターネット回線を提供する」という段階で終わっていたのですが、他社と組むことによって新しいモデルを作りだすことができたとき「こんな使い方があるんだ」と気づいて、驚かされることがあります。それが今の仕事のやりがいです。

―― 社会人になって強く思ったことや学んだ事は何ですか?

 社会人になってから、責任の重さを強く感じました。学生のころのアルバイトとはわけが違うので、プレッシャーを強く感じることも多々あります。しかし、責任が重い分だけ自分のできる仕事の範囲も広くなり、その分やりがいも増えると感じています。
あとは、自分の人生観を広げることができると日々思っています。社会人になってさまざまな年代や業種の方々と働くこともあり、多くの貴重なお話を聞くことができます。なかには自分の両親と同じ年代の方々とチームを組み、「平等」な仕事仲間として働くこともありました。そういった中でさまざまな価値観を学べるのは、社会人ならではのことだと思います。

―― 社会人と学生の決定的な違いは何だと思いますか?

 先ほど述べたように、責任の重さの違いを感じます。ただ、責任が重いから不自由ということはなく、私はむしろ社会人の方が自由だと感じています。社内外問わず、いろんな方にお会いする機会が増え、こんな価値観、生き方があるんだなと、自分の中で「ものさし」が増えました。いろんな価値観に触れるようになって視野が広くなったことは、私が感じる社会人と学生の違いの一つですね。

大学で学んでいるときにはわからないこともある

―― どのような学生時代を過ごされましたか?

 ゼミはインパクトが強くて、記憶が色濃く残っていますね。学生時代を振り返ってみると、ゼミの先生にはいろいろとご指導いただいたなと強く思います。何気ない雑談の中でも手厳しく指摘していただいたりして、それが今の自分にも繋がっていると感じます。ただ、サークル活動などはしていなかったので、就活での話題の幅がやや狭くなったことが少し心残りだったりもします。

 ―― 一番、興味を持って取り組んだ授業は何ですか?

 経営組織論ですね。経営学部の授業は、実際にどう活かされるのか分からないことも多いものです。その中でも経営組織論は、内容的には心理学寄りで「やりがい」や「モチベーション」など、自分の中で「アルバイトやゼミでこうだったな」という経験に当てはめて、自分の実感として話ができるので、学生にとっては比較的、取り組みやすい授業だと思います。
 経営学部で受けられる授業というのは、教科書どおりの「理論」を学ぶことが多いと思います。学生で授業を聞いているときは、「そうなんだ」「こうやって使うんだ」と思うくらいだと思いますが、社会人になったら「使えるな」と思う瞬間が結構あります。例えば、会社に入って研修などで、グループディスカッションや課題発表をする機会があるのですが、そういうときに「3C分析」などを使いました。

――ゼミでの活動が今どのように活かされていますか?

 ゼミのディスカッションで「自分の意見を言う」ということを、就職活動中だけでなく会社に入ってからも、経験していてよかったと思います。
会社に入ると、目上の方に対して自分の意見を言わなければならない場面が多くなります。ゼミのディスカッションは、わざと賛成・反対に分けて意見を対立させ話し合うというものだったので、先輩に対して、ときには先生に対して意見を言うといった経験ができます。学生のうちにそういった「目上の人に意見する」という経験ができたのは、貴重なことだと思います。

就活だって「学び」の機会

 ―― 就職活動における会社選びの基準を教えてください。

 私は就職活動を始めたときには、やりたいことは決まっていませんでした。今でこそ通信やインフラ系の会社に勤めていますが、当時は通信もインターネットすらもまったく知らなくて。ただ、定まっていないからこそ何でもできる会社に入りたいと思い、できる仕事の幅が広そうな、今の会社に非常に興味を持ったという経緯があります。通信やインフラの仕事というのは、いろいろな会社や人と接点を持てるということを知り、非常に魅力を感じました。
NTT東日本を志望したのは、学内説明会に参加したのがきっかけでした。やはり名の知れている企業なので、正直ウチの大学からじゃ行けないだろうなと思っていました。ですが、そのとき説明会に来ていた採用担当の方が東洋大学出身の方で。それで後押しされました。さまざまな業界の人と組むことができて、いろいろなサービスを生み出せるというところに魅力を感じて、通信業界に興味を持ち始めていたということもあり、志望しました。 

 ――就職活動を通していい経験になったことがありますか?

ふだんは会えない大人の方たちと、数十分間1対1で話せるようないい機会なんてなかなかないので、それがすごくいい経験になったなと思っています。説明会などでいろいろな人から、働きがいなどの話を聞くことがすごく楽しくて。面接にいたっても自分の話を聞いてもらえるなんて、なんてありがたいのだろうと思っていました。そういった就職活動を通していろいろな会社を知ることができたということも、就職活動の成果の一つですね。

あまり名前を聞いたことのない会社でも、実は何かの分野で日本一の会社だったりするんですよね。そういったことを知ることによって、ふだんのニュース等を見る目も変わりましたし、いい経験だったなと感じています。

身近にある「社会人」モデル

――経営学部経営学科の魅力とは何だと思いますか?

 社会人になって思うことは、経営学科の授業で学んだことは会社に入ってから使う機会が結構あるということです。先ほどの3C分析だとか、他の学部の人が会社に入ってから勉強することを、学生時代からずっと触れていられることはすごい魅力だと思います。資料を作る時にいろいろな表現の仕方を知っているだけで作り方が変わってくるし、経営学科の授業にはプレ社会人として必要なことが沢山あるんじゃないかなと思っています。今学んでいることは決して無駄ではないので、学生のうちにぜひ多くのことを学んでください。

――「学生のうちにやっておいたほうがいいこと」を教えてください。

 とにかく「大人と話しなさい」ということは、就活生のみなさんに呼びかけています。大人というのは、自分の親ではなく、社会人です。就活生と話していると、社会人と話し慣れている人とそうでない人というのがすぐわかるんです。それがマイナスになるというわけではないのですが、面接のときに面接官の方とも話が弾みやすくなりますし、本人も落ち着いて話せると思います。大学であればゼミの先生、バイト先なら店長や先輩など、なるべく目上の人と話しておくといいですね。

 私は就職活動中に、よくゼミの先生に相談に行き、実際に受けた面接でのやり取りについて先生から指導を受けていましたが、そのおかげで多少の圧迫面接でも落ち着いて話すことができました。厳しい指導を受けていたおかげということもありますが、やはり身近な大人の人とふだんからコミュニケーションをとって「慣れる」ということが非常に大切だと感じました。就活生とはいえ、その翌年には同じ会社のメンバーとして働き始めるわけですから、「大人として」「社会人として」コミュニケーションすることができるという最低限の部分で一致していた方がいいと思うんです。一緒に働く上での前提条件みたいなものですね。

 ふつうの学生、とくに大学生は同じ年代の子と固まりますよね。4年生は後輩が多くなって、先輩面できますし。けれど実際に会社に入ると、最初に周りにいるのは目上の方ばかりです。なので、大人と話し慣れているかどうかというのは非常に大切だと思いますし、同時に学生のあいだで差が出る部分だと思いますね。

インタビュー日:2015年9月30日

〔聞き手〕

経営学部経営学科4年 西岡大(写真右)

経営学部経営学科2年 杉原なな子(写真中央左)

〔記録・撮影〕

経営学部経営学科2年 常見孝希(写真左)