第39回 サマージャンボ宝くじの話
某有名テレビショッピングのキメ台詞として「分割ならこのお値段」などと言う事があります。
さらに「金利、手数料はこちらが負担します」というのは、とてもお得に見えますが
もし商品に上乗せされていたり、送料を割高にしたりするならば、お得なのかは
分からなくなります。しかし、上辺だけを見る限りでは、お得感だけ伝わってくる気がしますよね。
「日割りにすれば毎日、コーヒー1杯の値段」などと総額をぼやかす行為は、大昔から物売りの
常套手段として現在でも、使われています。
昨日会った友人が、突然、携帯電話を取り出しなにやら調べ物をしております。
聞くとサマージャンボ宝くじの当選発表だそうです。夢を買ったのだと、子供のような事を言います。
いくら買ったの?と聞くと300枚=9万円分買ったそうです。
テメエの金をどう使おうと勝手ですが、彼が9万円をいくらにしたくて買ったのか
興味が沸いたので聞いてみると、1億円以上だと堂々とのたまいました。
なんでも億万長者が過去最高人数、出現するとの触れ込みで発売したらしく
彼はそれに踊らされて購入したのでしょう。踊らされている事には全く気付かない
おめでたい彼は、携帯と宝くじを交互に見つめ、夢の中で踊り続けましたが
すぐに現実の世界へ9000円を持って帰ってきました。
しかし、買わなきゃ当たらないから、年末も買うと懲りた様子もありません。
そこで一億以上じゃなければいけないのかと尋ねると、1000万でもいいかなと言い
1000万サマーという1等が1000万の方を買えば良かったな、失敗したと大いに残念そうです。
彼は正直、騙されています。助けてあげないいけないと思い説明しました。
今回はその一部始終のお話です。
宝くじの控除率の話を以前、お話しましたが、ここではっきり計算してみましょう。
まずは売り上げと払い戻しがどのくらいの金額なのかを出してみましょう。
1組に付き10万枚×100組分×1枚300円=30億円が1ユニットと言われます。
1ユニット30億円が売り上げで、1ユニットの払い戻しは以下の通りです。
1等 2億円×1本 =200,000,000
前後賞 5,000万円×2本 =100,000,000
組違い賞 10万円×99本 =9,900,000
2等 1億円×3本 =300,000,000
3等 100万円×100本 =100,000,000
4等 1万円×10,000本 =100,000,000
5等 3,000円×100,000本 =300,000,000
6等 300円×1,000,000本 =300,000,000
レジャー賞 10万円×297本 =29,700,000
合計 =1,439,600,000(14億3960万)が払い戻しになります。
30億円-14億3960万=15億6040万が胴元の取り分で、控除率は割り算すると52%くらいになりました。
また1000万サマーの内訳は、1ユニットは変わりません。30億円です。
払い戻しは以下の通りです。
1等 1,000万円×100本 =1,000,000,000
2等 1万円×10,000本 =100,000,000
3等 300円×1,000,000本=300,000,000
1等の前後賞 10万円×200本 =20,000,000
合計 =1,420,000,000(14億2000万)が払い戻しです。
30億円-14億2000万=15億8000万が胴元の取り分で、控除率は割り算すると52.7%くらいになります。
細かい話ですが、1000万サマーは1960万余計にかすめ取っているのが分かります。
よく上記の計算を見てください。いかに詐欺を合法的に行っているかが良く分かります。
宝くじでの当選金は税金が掛かりませんなどど、善人ぶりながら言っていますが、
半分以上寺銭をかすめ取って、税金も取ったらまさに盗人に追い銭です。
当選確率も調べておきましょう。サマージャンボの場合、
10万枚×100組分=10,000,000(1000万)これが分母になります。
1等は1本だけですから1000万分の1です。調べたら大阪府と和歌山県の人口を足すと
だいたい1000万人です。大阪と和歌山の人間全員の内、1人が当たると言う事とほぼ同じです。
また1億以上当選する確率は1000万分の3(333万分の1)です。静岡県の人口が379万人で、
いくつかの市だけ除いた県民全員の内、1人が当たると言う事とほぼ同じです。
あきれるほど壮大ですね。
寺銭を多く取るのは、厳密に言うと詐欺ではありません。胴元がただ汚いだけなのです。
私がひどいと思うことは、CMなどでのうのうと言い放ち、友人も踊らされた煽る言葉なのです。
それは億万長者が史上最多という言葉です。確かにこちらも厳密に言うと間違っていません。
1ユニットの中で億万長者は3人だけですがユニットを数多く売れば、1億円の当選本数は増えます。
億万長者は確かに増えました。しかし確率は全く上がっていないのです。
当選人数が多い=いかにも当たりやすいという印象を持たせるあのCMは相当汚いでしょう。
さらに1000万サマーはさらに当たりやすい印象を持たせるCMです。
では確率を調べると1000万分の100(10万分の1)です。10万円分の1円玉を想像してください。
その一枚が当たりです。宝くじの異常な世界の中では、当たりやすいかもしれません。
しかし10万枚の1円玉から1枚を引き当てる事とは、どういう事なのか誰でも分かるでしょう。
友人に私は、買うのはかまわない、しかし夢は捨てろ、幻想を持つな、CMは大袈裟だ、
これだけは理解してくれとお願いしました所、概ね分かってくれました。
しかし和風ファミレスで、宝くじを握り締めながら、おっさん二人が熱く話す姿は
どう映っていたのかを今考えると、もうあそこに食事は行けません。
先ほども書きましたが、テメエの金をどう使おうと勝手です。
宝くじが夢や希望になるのなら、それは幸せな事でしょう、きっと。
発売日になんの疑問も無く、西銀座で長蛇の列の中、にこやかにインタビューに
答える方々があんなに居るのですから幸せな方ばかりです。
自分ではない誰かが、当選して億万長者になっているのは間違いないです。
当選している方は必ずいます。買わなければ当たりません。
人は挙ってまた宝くじを買います。買った時点で金は半分取られます。
馬鹿にした当選確率の中で、極僅かの方が当たります。自分は外れました。
そしてまた宝くじを買う、このサイクルを永遠に繰り返します。
宝くじこそ富裕層の嗜みです。だって金を捨てているのだから。
2010年8月11日