第44回 それぞれの価値観
先日、宝くじの話をした友人と食事をしている時の事です。
彼は着ているTシャツを私に良く見てみろと言い、「いくらだと思う?」と聞いてきました。
いい年をしたおっさんが、Tシャツ如きの値段を聞いてくるのですから
とびきり安いか高いかの2択というは分かりました。どこかのバッタ屋で買ってきたのだろうと
予想し「300円位か」と答えると「バカ野郎」とともに、色々な罵声を浴びせられました。
正解を聞くと、なんと15000円。非常に良い品で価値があるのだと彼は言います。
15000円のTシャツを今後も買う事がないであろう私には、
秋葉原の駅前で若い娘に、引っ掛かって買わされたラッセンのコピー画を良い品だと
珍重しているのと同じにように見えてしまいます。
価値観というものは、それこそ千差万別、特にお金の価値観ほど
それぞれの違いが浮き彫りになるものはありません。
第34回に書いたパチンコ屋での刺殺事件の犯人が捕まりました。
書いた内容と少し違う状況だったようです。
競馬には全く関係ない話ではありますが、顛末だけは記しておこうと思います。
まずは、こちらをご覧ください。
八潮のパチンコ店強盗殺人事件、容疑の男女を逮捕 草加署捜査本部
埼玉県八潮市大曽根のパチンコ店「やすだ八潮店」で7月30日夜、
同市の会社員、※※※※さん(37)が妻(38)のバッグを奪おうとした男に
刺殺された事件で、草加署捜査本部は20日、
強盗殺人容疑で東京都足立区花畑、無職、橘大介容疑者(37)を、
強盗致死容疑で同所、無職、堀川寿美子容疑者(36)を逮捕した。
捜査本部によると、2人はいずれも容疑を否認しているという。
調べによると、2人は共謀の上、7月30日午後10時半ごろ、
やすだ八潮店で、パチンコをしている※※さんの隣に座っていた妻から
金を奪おうと企て、橘容疑者が妻に刃物を突きつけ
「おい、かばんよこせ」などと脅して肩にかけていたバッグを奪おうとした上、
止めに入った※※さんの首を刃物で刺して殺害した疑いが持たれている。
草加署捜査本部によると、店の防犯カメラにはスキンヘッドの男が
同日午後8時ごろに来店し、換金所が見える休憩所をうろつきながら
客を物色しているような姿が映っていた。
※※さんの妻は被害の直前に換金し、現金十数万円を所持していたという。
捜査本部では男は強盗目的で来店していたとみて、
今月6日に防犯カメラに残された男の画像を公開して捜査。
その結果、犯行時に使われた軽乗用車の特徴などから橘容疑者が浮上、
捜査本部は20日朝から事情聴取を行っていた。
捜査本部によると、2人は数年前に知り合い同居しているという。
2010年8月21日産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/saitama/100821/stm1008211256002-n2.htm
まずは初めの報道と違う点がありました。当初、犯人が台を離れた直後、
被害者がその台に移り、即、当てた事で犯人が逆上したというのが発端との事でした。
しかし、事実は強奪目的でパチンコ屋に来ていたようです。
それも換金した客のお金を狙っていたようで、被害者の妻が十数万円交換しているのを
犯人が見ていて、「おい、かばんよこせ」などと脅したようです。
ここまでなら恐喝のみの所を、無期懲役確定の強盗殺人にランクアップさせたのが顛末です。
容疑を否認しているようですが、超高確率で犯人でしょう。
以前、犯人はいくら欲しかったのかと書きました。
それが、たった10万円が欲しいが為に殺してしまうって。
世間との、お金の価値観の違いが鮮明に出ています。
足立区が生んだ唯一の著名人・北野武は、足立区を東京のチベットと表現しましたが
今や東京のソマリアになったようです。東京が誇るスラム街・足立区ならこんな馬鹿は十分育ちます。
私には良く分かります。なぜなら私は恥ずかしながら、足立区出身。
足立区を出て行くまでは、全く感じませんでしたが、
いざ離れてみると異質な世界だったと思うことが多々あります。
特に思ったのは、義務教育を受ける時期にも関わらず、
その年齢に見合わない、致命的な馬鹿が非常に多かったと思います。
原付を手早く直結して盗む事は容易くできるが、自分の名前を漢字で書く事ができない。
喧嘩は誰にも負けないが、自宅の住所、電話番号が言えない、覚えられない。
カツアゲやパー券を捌いての集金能力は高いが、計算は全ての数字に¥をつけないと
足し算すらできないなど、より下等動物的な人間がかなりいました。
自分が育った地域が何か違うと思うのは、区外に進学するとわかります。
山の手という地域が本当にある事に気付き、自分が思っていた下町というのは
本当はスラムという名前で、本当の下町は憧れの地域なのだと理解します。
同時に、この頃になると中学の同級生が一人、二人が塀の中に入ったりします。
関係ないですが、共産党系の方が足立区長になるという資本主義の日本では
考えられない奇跡まで起きました(やはり、すぐに破綻しましたけどね)。
特異な足立区の事はここまでにしておいて事件に戻ります。
ギャンブルをする人は10000円の馬券を買うのは躊躇しないのに、
なにか物を買うとなると躊躇したりします。全くギャンブルをしない人にとっては、
馬券に10000円も使うなんて愚かな事だと思うでしょう。
犯罪も同じです。この事件の馬鹿は10万円で人を殺しました。
大多数の人間には「たった」でも、この馬鹿には「殺しても欲しい10万円」になるんでしょう。
同じ強盗ならいっそ店の売上金を狙うとか、なんとか完全な犯罪を考えるとかないのでしょうか。
目の前にある物しか見えない、反応しない、考えないっていうのはね~。
しつけがちゃんと出来ている犬の方が、よっぽどお利口さんです。
おそらく刺すつもりはなかった、殺すなんて滅相も無いと犯人は言うのでしょうが、
こういうゴミこそ、裁判人制度のもと、問答無用で死刑にするべきでしょう。
15000円のTシャツの価値は、買う奴が馬鹿と思いますが
10万円の人の命の価値は、あまりにも安すぎるし、酷過ぎます。
いくら価値観が千差万別だからって。
2010年8月26日