加筆訂正したものはこちらから
第11回 騎手・厩舎コメント
日本最大の電子掲示板に「2ちゃんねる」があります。
インターネットを使われる方でしたら、一度は見たことがあるのではないでしょうか。
匿名で書き込めて、色々なスレッドがあり、思い思いの意見が飛び交っております。
この国の前首相も書き込んでいたとの話がありました。
様々な情報に溢れておりますが、信用性はあったりなかったりですよね。
2ちゃんねるを作った「ひろゆき」氏は、
「嘘を嘘であると見抜けない人の利用は難しい」とコメントしてました。
嘘が、本当の話のようになってしまうことも2ちゃんねるの中では日々、起こっているのでしょう。
色々な情報が飛び交うのは競馬の中でも同じです。
予想するのにまず、手にするものは競馬新聞ですね。
競馬新聞の中に必ずあるのが騎手や厩舎のコメントです。
重要なファクターとして捉えている方も少なくないと思いますが
今回はこの「コメント」について書いてみたいと思います。
※今回は全て主観で書きます。一個人の凝り固まった意見ですから
反論等があっても受け流していただける方だけお読みいただければ幸いです。
コメントの中によくある言葉に「今回は勝ち負け(勝負)」があります。
意味を国語辞典で調べると「勝つことと負けること」となっています。
まあ初等教育が終了していれば漢字の意味で判ることですよね。
これって便利な言葉だと思いませんか?
「今回は勝てるかもしれないし、負けるかもしれない。」ということです。
言い換えれば「判らない」ということです。
しかし競馬好きの捉え方は違います。勝負=勝つに変換されてませんか?
また「今回はそこそこいける」も良く聞きます。
そこそこの意味は「十分とはいえないが、一応満足できる程度であるさま」です。
意味通りに解釈すればやはり「勝つか負けるか判らない」ということです。
さらに「今回は入着級」という訳のわからない言葉が出たりします。
1着~8着になる事ですよね。やはり判らないのだと思います。
競馬に絶対はないのですから曖昧にしておく必要があるのでしょう。
だたし競馬に絶対はないということは「勝つ」方の事です。
負ける方の絶対はあります。
16頭立てのレースには条件戦であろうと重賞であろうと、
14頭が落馬しない限り馬券には絡まない馬が2~3頭はいます。
しかし騎手や厩舎のコメントの中で「無理です」や「負けます」「出走手当の為です」
とは絶対に書かれてないですよね。せいぜい「厳しい」くらいです。
時には絶対に来ないのに「調子は上向き」などと気まぐれな発言をして
タイムオーバーにするのを何度も見ました。
なぜ本当の事を言ってくれないのでしょうか?
そこには言いたくても言えない事情がある気がするのです。
競馬には法律で出走する時、全力を尽くして望まなければならないというタテマエがあります。
馬の体調を聞かれれば、本音は駄目でも、法律とタテマエで無難な事しか言えなくなりますよね。
じゃあ強気なコメントが良いかというと、そうではなくて
毎回「体調は抜群」と言い続ける某調教師は馬体減ばかりで信用性に欠けています(ヒント:2010年桜花賞)。
世界は違いますが「調子は?」と言われて「絶好調」としか答えなかった元野球選手は
現役時代のプレーも野球の解説も薄っぺらいと、みんなが知っている事実です。
結局の所、その馬の馬券を買っていいのかを知る為に、競馬好きは本音が聞きたいと思うのです。
しかし本音は、けっして伝わりません。
日本特有の文化である「本音と建前」があるからです。
本音を言ってサンエイサンキューから降ろされてしまった騎手(薬で有名な元調教師)が昔いました。
この件は競馬好きにとっては非常に有難い情報でしたが、かなり揉めた事件になりました(くわしくはこちら)。
では、どうすればコメントから勝負気配を読み取ればよいのでしょうか?
答えは簡単、コメントからは馬券のヒントは読み取ることができません(超主観の発言です)。
コメントは一切無視が的中の早道だと思います。
利用方法としては騎手、厩舎コメントをホラ話と割り切ってみましょう。
意外に面白い読み物になりますよ。
「良い」と言って負ければ責められ、「悪い」と言って勝てば嘘つきと言われる中では
無難な事しか言えなくなるに決まってます。
また厩舎が馬の体調をどこまで把握できているかが疑問です。
特に中2週で走らせ続ける未勝利馬の調子など良いはずがありません。
もし調子が良いのなら前走はきっと緩めていたはずです。毎回本気では仕上げられるはずがありません。
(ちなみにうちの犬の不調はわかります。しかし好調は一切わかりません。犬と同じにするなと私も思います)
ど素人がなにを言っていると思いでしょうが(その通りです)私は
20年間、厩舎コメントに騙され続けた実績だけはございます。
レース前とレース後の騎手、調教師の二面性を何回見てきたことか。
特に納得できないのはレース前に「次に繋がるレースを」なんて言っておいて(レースは勿論負け)、
次の週に怪我してるわけでもなく登録抹消。理由は「引退は決まっていた」ってほざく時です。
決まっているなら話してくれって。
体調の事を自分に置き換えて考えて見てください。
勉強でも仕事でもスポーツでも「生涯最高のデキ」という時がありましたか?
逆に「体調が悪い」はわかります。
昨日飲んだ酒で調子が悪い、風邪を引いた、腰が痛いなど正常ではないのはすぐわかります。
しかし、今日は体調が良いと思う事はありますが、どれだけ良いかを表すのはかなり難しい事です。
会社で例えるならば得意先(競馬ファン)の人が
あなた(調教師)の会社に視察に来た時に、他の社員(馬)の事を説明するときに
どう言うでしょうか。
田中は二日酔いで最悪、吉田は腰痛、高橋は風邪、
佐藤は使い物にならないから辞めて欲しい人材とは言いませんよね。
良いところを、無難に言ってやり過ごしますよ。
本音と建前をちゃんとわきまえているから。
誰も嘘つきとはいいませんよ、日本人はタテマエを理解していますから。
予想する時に必要なものは騎手、厩舎のコメントではないと私は思います。
これからGⅠが毎週のように開催され、様々な情報が腐るほど飛び交います。
そこでとにかく気をつけることはただ一つです。
嘘を嘘であると見抜けない人が、「ホラ話コメント」で予想するのは難しいし的中も程遠い。
人の意見はほどほどに( ̄ー ̄)ニヤリッ。
2010年4月22日