第38回 連闘は勝負か
2010年8月7日、函館競馬場第4レース未勝利戦でキュート号が勝ちました。
これだけならば別段、取り立てるものでもありません。
しかし、このキュートは三連闘(3週連続で走っている)だったのです。
同一開催で3回出走するのは勝負気配と言われております。出走手当は同一開催では
2回までしか出ない規則があるからです。もし3回目の出走が着外ならばお金は入りません。
ただ働きになりますから、勝算があるか、入着する自信がなければ出走させないだろうという
いわば、裏読み的発想から昔より言われている格言です。
開催は8日間で、3回走るにはどこかが連闘になります。連闘させて1週空けて最終週に3回目というより
3回目が連闘の方が狙いは立ちやすいと言われております。レースを調教代わりとして考えると
納得できます。1週前追い切りでハードに調教したから今週は軽め、なんてのをよく目にしますよね。
レース間隔を連闘にして、これをやる事はけっこうあるはずです。
しかしキュートの戦績を見てください。三連闘の初めはもとよりその前より勝負している雰囲気は
たっぷりございます。いくら滞在競馬で短距離ばかりを選んで使っているとはいえ、
勝ちに行っているレースを毎回しています。負担はないのですかね。
調教するだけで疲れてしまうロジユニヴァーズとはえらい違いです。
先日も新潟で三連闘の馬(テンシノネオ)がおりましたが、こちらは全く馬券に絡む事はありませんでした。
馬それぞれの能力や耐久性は様々ですが、果たして三連闘は有効なのでしょうか?データで見てみましょう。
まずは連闘というのは狙えるかを見てみましょう。(データは過去3年間で芝、ダート、障害も含む)
連闘時の戦績データ
287-323-295-3742/4647 勝率 6.2% 連対率13.1% 複勝率19.5%
競馬新聞の短評で「連闘で恐」などと書いておりますが、恐るるに足りません。
しかし、ダートの短距離、しかも上記のキュートが使っていた1000mの数字は
連闘時、ダート1000mの戦績データ
31-36-30-227/324 勝率9.6% 連対率20.7% 複勝率29.9%
と、なりまして無視できない数字になります。
ダート1000mが行われるのはローカル競馬場のみです。
やはり滞在競馬で距離が短く負担が少ないレースですから、
最初のレースを調教代わりで仕上げて、連闘で勝負というのは、間違ってはいないと思います。
次は三連闘のデータを見てみましょう。条件は同じです。
三連闘時の戦績データ
2-7-5-81/95 勝率2.1% 連対率9.5% 複勝率14.7%
数字は連闘よりぐっと悪くなりました。
これだけをみれば有効とは、とてもじゃないですが言うことはできません。
さらに三連闘時のデータを、芝とダートの成績を分けました。
三連闘時の芝コース戦績データ
1-0-1-25/27 勝率3.7% 連対率3.7% 複勝率7.4%
三連闘時のダートコース戦績データ
1-7-4-56/58 勝率1.5% 連対率11.8% 複勝率17.6%
やはり芝では負担が大きいのか、ほぼ用無しです。
ダートは、芝と比べれば良い数字ですが、積極的には狙えませんね。
次に連闘時のようにダート1000mの成績も見てみましょう。
連闘時、ダート1000mの戦績データ
1-2-0-8/11 勝率9.1% 連対率27.3% 複勝率27.3%
三連闘の中では、やはり高い割合です。
ただし3年間で勝った馬は、先週のキュートだけというのは少々、心許ない数字ではあります。
結論としては連闘だから勝負気配というのはなくて、調教過程から分析しないと
勝負か調教代わりかの判断が付かないという事です。
さらに条件として、ローカル滞在のダート短距離でないと、狙いづらいという事です。
今週からは札幌開催です。特に3歳未勝利は、もう時間がありません。
無理は承知で、何が何でも出走させる厩舎はとても多いですから、連闘にはご注意を。
2010年8月11日