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第6回 控除率の話
2010年4月4日にサッカーくじ「toto」のBIGでキャリーオーバーが
60億5177万7780円になったとニュースがありました。
こういう報道でまた買いが進み、また当たりが出ないと
さらにキャリーオーバーになり、また買いが進むという不況とは思えない
現象が起こりますよね。まあ1口300円だからいいかとか夢を買おうと
ついつい買ってしまうんでしょうけどね。
1口300円の中で日本スポーツ振興センターに入るお金はなんと50%。
これを控除率なんて言います。控除率なんて言い方より「寺銭」と言った方が判りやすいかもしれません。
ちなみに宝くじは55%です。半分以上持っていかれるって凄いですよね。
そりゃ周りに当たった奴、いないわけだよね。
そんな前振りで今回は、「控除率」のお話です。
競馬の控除率は25%(単勝式、複勝式は20%)です。これはビギナー以外は知っています。
ただし、25%の寺銭を取られているの事を、実感できてない方は結構いらっしゃると思います。
私も誤魔化されていた一人です。
馬券を買った時に「25%はJRAがいただきます」とは言われませんし
オッズを見ても「25%を引いたものを表示しています」とは書いてありません。
競馬の本によく載っていますよね「1万円の馬券を買ったら7500円の価値しかない」と。
でも買った馬券には1万円と書いてあります。外れればただの紙屑ですし、
当たれば言われたとおりの配当を受け取るだけです。
どうすれば判るのでしょうか。
実は当たった時に判ってくる物なのです。
ここからは例えでお話します。
あなたは友達のA君と1万円を賭けて、ジャンケンで勝ったほうが貰える勝負をします。
当然勝てば相手の1万円を受け取り、負ければ1万円を払う事になりますよね。
しかし、ここは日本という国。賭博は古来より御法度です。警察の前で堂々とはできません。
そこにJRA君がやってきました。
JRA君は「僕は国から認められた数少ない人間だよ。僕が見ている前ならじゃんけん賭博しても大丈夫だよ」と
言います。
あなたとA君は喜んで、JRA君が見てる中、ジャンケンをしようとすると、JRA君は
「ルールがあるんだよ。まずお互いに出す1万円は預かるよ。ジャンケンに勝ったほうに僕から払うよ。
どんどんやりなよ。」と言い、小声で「僕の取り分を除いたお金を払うよ(控除率)。」と続けます。
あなたとA君は特に問題はないだろうとジャンケンをして、あなたが勝ちました。
あなたは早速、JRA君にお金を貰います。JRA君は「お金をお受け取りください」と
機械的な声と共に「15000円」をあなたに手渡しました。
たった1回の勝負で5000円取られました。
なにを文句言っても「ルールです。国から認められている賭博です。」しか言いません。
あなたはきっと「5000円も取りやっがって、詐欺だ」と叫ぶでしょう。
A君は1万円負けて悔しがるだけです。
そして、JRA君は今日もたっぷり稼ぐのでした。
めでたしめでたし。
って事はないですよね。
でも、これが競馬の控除率なんです。25%の控除率ってかなり大きくものと感じませんか?
ここで重要な事は、負けたA君にとっては1万円負けた事実しかないということです。
逆に勝負に勝ったあなたも5000円負けたような感覚が残るということです。
賭けている人間達はみんな負けるというのはこういう事なんです。
(ちなみに「坊主丸儲け」という言葉は、寺銭を受け取る坊さんの事からできた言葉だそうです。)
1対1の勝負だとわかりやすいと思うんですよ。
お互いお金は減っていき、JRA君のお金だけが増えていくのが。
やればやるほど、金額を上げれば上げるほど賭ける人間達のお金は
JRA君に入っていきます。
このジャンケン勝負の集合体が競馬(公営競技)だと思います。
みんなで認められたジャンケン賭博(競馬)をやり、お金を預け(投票)
勝った人間に配当される。
やればやるほど、お金は減り、賭け金を増やせば増やすほど、お金は減り続ける。
競馬(公営競技)はかなり罪な遊びなのですね。
当然、当て続けれる人間だけは勝ち残ります。でもジャンケン勝負だって5連勝はかなり難しいですよね。
フルゲート18頭の三連単は4896通りの買い目がありますね。
100点買っても1/489です。いかに難しいかがわかります。
いかに勝てるか。いかに負けないか。
こうして人間にとって永遠のテーマは完結しないで続きます。
2010年4月5日