第22回 ダービーが終わって その2
第77回ダービーが終わり三日が経ちました。
その中で非常に気になることがあったので書いておこうと思った事があります。
それは今回のダービーが終わってからのレースに対する叩き方です。
戦前の盛り上がりは尋常ではなかったと思います。私個人も最高のメンバーと思っていましたし、
楽しみでこんなにワクワクする感覚は初めてでした。皆様も同じだったですよね。
さらに輪をかけて、新聞やインターネットで競馬評論家と言われる方々がますます煽りました。
結果的にレースは超スローペース。上がりのみの競馬でした。勝ち馬はエイシンフラッシュ。
ウイニングランでスタンド方向に戻って来た時の静まり方は、大穴決着ではないのにもかかわらず
異常でした。結果に対してあっけに取られたのは事実です。エイシンかよって思いましたもんね。
でも皐月賞3着馬、いまや関東で一、二を争うの内田博騎乗。ましてや1番枠。来ない理由は少ない馬でした。
エリザベス女王杯のクィーンスプマンテよりびっくりはしませんよね。
でもなんとなくエイシンが勝ってはいけないような空気が漂っていたように思います。
(あくまでも超主観です。前に書きましたがダービーの馬券は買ってません。買ってもいないのに文句言うのを
ご勘弁いただきたいと思います。)
やはり報道が煽り過ぎたんだと思います。幻想が大きくなりすぎて現実とが余りにもかけ離れ過ぎたから
スタンドが静まり返ったのでしょう。サイレンススズカ、ライスシャワーの故障発生で大金を失い、
ノーリーズン、ポルトフィーノの即、落馬で立ち上がれなくなり、
メジロマックイーン、カワカミプリンセスの降着でしこたまやられてきた私です。
競馬において「絶対に勝つ」ということは、絶対に無い事だと体と頭と懐でみっちりすり込まれております。
ヴィクトワールピサとペルーサで決まる事は、全くわからない事であり、絶対はないという事なのです。
超スローペースになることだってあります。去年のダービーのように田んぼの中での競争もあるし
ザ石でもしっかり2着になることも、エイシンの冠がダービーを取ることもあるんですよね。
何が起こるかわからないから博打になるんですよね。
(別になんの恨みもありませんが、言い続けているサンディエゴシチーだけは来ません。これだけは言えます。)
配当的にはそこそこしか荒れていないダービーでしたが、
翌日以降の報道は戦前とはまったく違うものになりました。
新聞もネットも競馬評論家と言われる方々も揃って書き立てる「凡戦」という言葉。
超スローペース、実質1200mの競馬、強い馬が買ったかどうかわからないなどなど。
皆、揃いも揃って最強のダービーと書き立てておいて、揃いも揃って凡戦と書き立てる。
なにかおかしいと思いませんか。一人くらいエイシンフラッシュとローズキングダムを
称えたっていいと思うのですが。(私が目にした中ではなかったものですから)
もう20年近く前に、オグリキャップが引退レースの有馬記念で劇的な勝利を飾る出来事がありました。
その時も今回と同じ超スローペースでした。
しかも同日の同距離レース、グッドラックH(900万※今の1000万条件)よりも遅いタイムでの勝利でした。
今回のダービーを凡戦、凡戦と書き立てるなら、この有馬記念は世紀の大凡戦でしょう。
しかし、この有馬記念を見た人間達は凡戦なんて事は一切言いません。
みんなタイムもペースも酷いのは知っています。強いから勝ったとも本心では誰も思っていません。
「八百長じゃねーの」と半分くらいの人は真面目に思っていても、感動の大団円の前に口を塞ぎました。
今でもタイムやペースの事は一切語らず、オグリキャップが見事に復活した事だけを昔話として話します。
話す人全てがとっても嬉しそうに。
時代はだいぶ変わりました。年寄り臭く、昔が良かったなんて事は言いたくもありませんが
今回のダービーとオグリキャップの有馬記念の報道、どちらがいいかと言われれば私は後者です。
競馬に夢、希望、ロマンなんぞは虚空の物であるとわかってはいますが、金の汚さの中に少しだけ
綺麗事があってもいいのではないかと思いますし、そうであって欲しいと願います。
これから20年経ったとき、豪華なメンバーが揃ったダービーでエイシンフラッシュが勝ったんだよと言うか
ドスローの内枠で最短距離を走り、たまたま切れたのがエイシンフラッシュだよと言うか?
こちらは前者の方が酒の肴になるでしょ、絶対に。
2010年6月2日