第45回 猛暑の中での競馬
9月に入っても猛暑は全く変わりません。連日の35℃越えは体に応えますね。
熱中症での救急車出動回数も過去最高で、特に家の中で発生する事が多いとの事です。
年寄りはエアコンを極端に嫌がり、それが元での死亡事例が多数見られます。
エアコンが命を繋ぐと報道され、暑い時間の運動は命取りと未だにニュースは言っています。
動物達にもこの暑さは相当厳しいようでこんな記事がありました。
●牛、豚も“熱中症” 猛暑で家畜1194頭死亡 農水省●
農林水産省は3日、猛暑による全国の畜産被害状況(7月1日~8月15日)をまとめた。
熱射病などで死亡、廃棄した家畜は乳用牛が959頭、肉用牛は235頭と家畜牛合計で1194頭に上った。
また、豚は657頭、ブロイラーは28万9千羽、採卵用ニワトリは13万6千羽だった。
被害状況をまとめるのは2008年度以来2年ぶり。
家畜牛は232頭、豚は130頭、ブロイラーは11万9千羽、採卵用ニワトリは8万羽それぞれ増加した。
現在も全国的に猛暑が続いているため、同省は家畜農家に対し、猛暑対策の技術指導を徹底するよう、
各農政局長に指示した。具体的には畜舎の屋根、壁などへの断熱材設置のほか、
換気扇や扇風機で畜舎の温度を下げるよう求めている。
今回のまとめには口蹄疫問題で大きな被害を受けた宮崎県は除いた。
2010.9.3 産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100903/biz1009031434012-n1.htm
もう一つ、少し古い記事ですが、こちらもお読みください。
●それぞれの夏の過ごし方●
お盆を過ぎても厳しい暑さ。人にとっても、馬にとってもこたえる季節ですが、
栗東トレセンではそれぞれ工夫をこらして暑さをしのいでいます。
暑さ対策として一般的だったのが扇風機。高さがある大型のものを馬房に向けて回しますが、
最近ではミストが多く使われるようになってきました。
西園厩舎や大久保龍厩舎のように扇風機を後ろから当ててミストを噴射させるやり方が多いですが、
石坂厩舎では馬房の上の方まで伸ばした管から厩舎全体に行き渡らせるようにしています。
スイッチを入れると、ある一定の時間噴射されるようになっています。
実際に厩舎の中に入ると、体感温度がグッと下がり、馬だけでなく、人にも有効で作業も快適に行えそうです。
その一方で“あるがまま”を貫くのが松田博厩舎。扇風機やミストなどは使用せず、
特に暑さ対策はしていません。厩舎の中へ入ってみると、機械音のない静かさ、
そして広々とした通路に気づきます。
「厩舎が新しくなってからは、風通しも良くなったし、問題ないよ。
こっち(栗東)で涼しくても小倉やなんかに行ったら同じようにはいかんのだからな」と松田博調教師。
確かに、競馬場の出張馬房では栗東のように暑さ対策が万全ではなく、
普段から暑さに慣れていないとこたえることもあるでしょう。
「ウチは冬もそのまんまやからな」。冬場はジェットヒーターを使って洗った体を乾かすのが一般的ですが、
松田博厩舎では自然に乾くのを待ちます。エアコンを取り付けている厩舎もある今では
珍しい存在となりましたが、自然をそのまま受け入れ、その厳しさを乗り越えることで、
環境にあまり動じないブエナビスタのような精神力が身につくのかもしれません。
2010年8月19日 スポーツ報知 http://hochi.yomiuri.co.jp/osaka/column/hashimoto/news/20100819-OHO1T00203.htm
今年の酷暑でもエアコンなしで過ごしている方はいらっしゃるでしょう。
「今年はかなり暑いが、窓を開けていれば平気」という書き込みは、某掲示板を見ると
少なからず見ることができます。暑さに対しての耐性は人それぞれなのでしょうね。
でもアスリートの方々はどうなんでしょうかね。暑くてもエアコンは入れないのでしょうか。
投手は肩が冷えるからエアコンは入れないとかつては言われていましたが
この暑さに耐えて良い球が投げられるのでしょうか。
競馬に話を戻します。競走馬は競争するのが仕事です。
馬にとっても暑さというのは、もの凄くストレスが掛かるはずです。
朝、調教で走らされて、暑い日中は自然の風だけの空間に閉じ込められ、
競馬場に行く時は馬運車のエアコンが涼しくて、居心地が良いなと思ったのも束の間、
着いた競馬場は猛暑真っ只中で炎天下の中、日陰も無い所を走れっていわれてもね。
全くの素人の考えですが、馬にやる気、ましてや勝負根性があるとは到底思えませんね。
もし私が馬ならば間違いなく走りませんね。手綱を扱かれムチでぶたれたりしたら
噛み殺してやろうと思いますよ。暑さは無用な争いを起こします。
記事に出ている松田博厩舎の毎年8月の成績を見てみましょう。
年・年月 着別度数 勝率 連対率 複勝率 平均最高気温 平均最低気温
2010年 1- 3- 2-21/27 3.7% 14.8% 22.2% 33.2℃ 25.4℃
2009年 4- 4- 2-17/27 14.8% 29.6% 37.0% 29.5℃ 22.7℃
2008年 1- 4- 2-19/26 3.8% 19.2% 26.9% 31.0℃ 23.6℃
平均気温は栗東が無かったので8月の滋賀県のものです。
ちなみに昨年2009年は冷夏でしたね。
多くは語りませんが、エアコンは付けた方が良いのでは。涼しい時は好成績ですからね。
競馬は秋を迎えると面白くなってきます。特に来週からは中央場所に戻ります。
有力馬もぞくぞくと放牧から帰ってきています。しかし今年はこれだけの暑さです。
夏の疲れは後に来るといいます。熱中症でなくても暑さのダメージは意外に大きいものです。
9月も真夏と変わらないとなると、今後の中央場所にも影響が出てくるかもしれません。
札幌、新潟、福岡(小倉)、茨城(美浦)の8月平均最高、最低気温はこちらです。
札幌 平均最高気温 平均最低気温
2010年 28.6℃ 21.2℃
2009年 24.7℃ 18.3℃
2008年 24.9℃ 17.7℃
新潟 平均最高気温 平均最低気温
2010年 32.5℃ 25.6℃
2009年 27.6℃ 22.0℃
2008年 28.8℃ 22.5℃
福岡 平均最高気温 平均最低気温
2010年 34.6℃ 26.9℃
2009年 31.0℃ 24.2℃
2008年 31.3℃ 24.5℃
茨城 平均最高気温 平均最低気温
2010年 32.0℃ 23.8℃
2009年 27.5℃ 20.8℃
2008年 28.3℃ 21.5℃
涼しさを求めて入厩する札幌の今年の気温が、例年の美浦と同じ気温です。
関東でもそこそこ涼しい美浦が、例年の小倉より高い気温です。
今年の新潟、小倉に至っては、熱帯地域の気温ですよ。
各地、例年より4~5℃気温が高いがどうなるのか、
1ヶ月の暑さのダメージがどう出てくるかは今は分かりません。
皆、暑いのだから同じとも言えますが、私は厩舎設備の差(エアコン等)が
出てくるような気がします。暑さのストレスがあるのかないのかが鍵になりそうです。
体調はそこそこで出走してくる事がデータ予想には不可欠ですから
今年の秋シーズンは全くデータが当てにならない事があるかもしれません。
運動部において水を飲ませず根性を育て上げ、エアコンが体に悪いと言ったのは昭和の頃の話です。
暑い時間は運動は避け、水と塩分は十分補い、エアコンで室内温度を下げるのはいまや常識になりました。
本来ならばフィリピンの辺りで発生する台風が、沖縄で3発も発生する時代です。
かつての赤道付近の国の様になった日本で、真夏に走り回っていたらどうなるか。
馬は経済動物だから仕方の無い事ですが、馬券で大きなしっぺ返しを喰らいそうです。
2010年9月3日