短編、中編と調べてきて、残るは長編の詰将棋。そこで今回は、51手以上の長編詰将棋を調べてみる。
調査手順はこれまでと同じで、詰将棋データベース「T-BASE」で調べてから、空気ラボの「詰将棋同一検索ページ」で調べる。
最初に、「T-BASE」の全作品(126,000作)から、51手以上の作品の図面を抽出する(※1)。これについて、同一作品で複数登録されているものを調べた結果、3件以上登録されている作品が、531作見つかった。これを一つの候補とする。
次に、「詰将棋同一検索ページ」で、先に見つけた531作を検索する(※2)。その結果から、7件以上登録されている作品に絞ると、54作になった。
この54作を年代別にすると、次の通りである(大道詰将棋は最後にまとめた)。
今回の調査で一番登録件数が多かった作品は、「有名な詰将棋作品 1」で第5位だった伊藤看寿の「煙詰」(117手詰、24件登録)で、その次は伊藤看寿の「寿」(611手詰、21件登録)、そして奥薗幸雄の「新扇詰」(873手詰、 20件登録)となった。
また、調査結果54作のうち、収録作品が複数あった作者は、伊藤看寿(5作)、山田修司(4作)、久留島喜内・上田吉一(いずれも3作)、三代伊藤宗看・岡田秋葭・黒川一郎・七条兼三・添川公司・内藤国雄・橋本孝治(いずれも2作)だった。
参考までに、3件以上登録されていた候補作(531作)と、調査結果の54作を手数別にグラフにすると、図1のようになる。
今回の調査で最初に使った「T-BASE」は、2015年までの作品しか収録していない。そのため、2016年以降の長編詰将棋は調査していない。
また、古い作品と最近の作品と比べると、活字になるチャンスは、当然古い作品のほうが多かっただろう。そうしたことを考慮して、最近の作品は7件以上ではなく6件以上登録されている作品を抽出するとか、なんらかの工夫をしたほうがよかったかもしれないが、今回もそうした措置はとらなかった。
51手以上の長編詰将棋作品から、有名と思われる作品を54作見つけることができた。
今後、長編詰将棋の名作選が出版されるかどうかはわからないが、多少は参考になるのではないかと思う。
2025年6月12日作成/2025年6月12日修正
※1 詰将棋データベース「T-BASE」の作品数は、前回までは123,000作だったが、「詰将棋パラダイス」の2011-2015年が追加されて126,000作(概数)になった。
※2 「詰将棋同一検索ページ」の登録作品数は、2025年1月5日現在349,303作で、前回の調査の時より増加している。
登録データの提供は詰将棋保存会、全詰連データベース委員会、詰将棋パラダイス、将棋世界で、随時登録媒体は「詰将棋パラダイス(2023年8月号まで)」「将棋世界詰将棋サロン(2023年9月号まで)」、「スマホ詰パラ」となっている。また、登録された本は「書籍名(693)」で、見出しは前回と同じだが、その内容は前回と異なっている。