「古棋書撰集」と「古棋書会報」

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「古棋書撰集」

「古棋書撰集」とは、日本将棋連盟の中にあった古棋書復刻委員会によって、昭和44-48(1969-1973)年に出版された本のシリーズのこと(※1) 。ただし、本自体には「古棋書撰集」と書かれておらず、本を収める帙に「古棋書撰集」とあることから、こう呼ばれている。

このシリーズ全12冊で、ラインナップは次のとおり。いずれも和装本で、奥付に「古棋書復刻委員會」とある。

「古棋書会報」によると、最初は「古棋書集」として発刊されたが、「御城将棋」第3巻発行の時点では「古棋書復刻(第一期)十巻を完了」「第二期の古棋書については、改めて発表する予定」とあり、その後は「御城将棋」の第4巻と第5巻しか出ず、結局、12冊で刊行が終っている。

「古棋書撰集」には、以下の本が付録となっている。(目録によっては、「天野宗歩手合集 別冊」と、「将棊精選 上、下」をあわせて、「古棋書撰集」を全15冊としている)

また、「古棋書会報」は、「古棋書撰集」付録の月報として発行されたものである(実際には毎月発行ではなかったが)。

「古棋書撰集」と「古棋書会報」を出版順にならべると、次のようになる。

昭和44(1969)年5月
天野宗歩手合集. 上
古棋書会報. No.1

昭和44(1969)年8月
天野宗歩手合集. 中
古棋書会報. No.2

昭和44(1969)年9月
将棊精選 / 天野宗歩著. 上

昭和44(1969)年11月
天野宗歩手合集. 下
古棋書会報. No.3

昭和45(1970)年1月
将棊精選 / 天野宗歩著. 下
将棊精選(翻刻) / 天野宗歩著. 上
将棊精選(翻刻)/ 天野宗歩著. 下
古棋書会報. No.4

昭和45(1970)年3月
象戯作物 / 伊藤宗看(三代)著
古棋書会報. No.5

昭和45(1970)年5月
御城将棋. 第1巻
古棋書会報. No.6

昭和45(1970)年8月
古今 象戯鏡
中将棋の指し方
古棋書会報. No.7

昭和45(1970)年10月
御城将棋. 第2巻
古棋書会報. No.8

昭和45(1970)年12月
御城将棋. 第3巻
古棋書会報. No.9

昭和46(1971)年4月
天野宗歩手合集. 別冊

昭和47(1972)年12月
御城将棋. 第4巻

昭和48(1973)年1月
御城将棋. 第5巻

「古棋書会報」

「古棋書会報」No.1-9は、「古棋書撰集」の各巻を補う解説と、「古棋書撰集」を購入した会員の名簿が主な内容が、「将棋営中日記」など、将棋史の資料として貴重なものがふくまれている。

No. 1 昭和44(1969)年5月
古棋書復刻について / 二上達也
天野宗歩略伝 / 建部和歌夫
天野宗歩勇戦記 / 橘仙斎
注釈 / 建部和歌夫
会員名簿 1
編集室から / 清水孝晏

No.2 昭和44(1969)年8月
「そうほ」か「そうふ」か / 建部和歌夫
大橋本家の住居 / 清水孝晏
宗歩をめぐる棋士たち / 建部和歌夫
会員名簿 2

No.3 昭和44(1969)年11月
宗歩雑記 / 建部和歌夫
古棋書会報1の誤植表
国会図書館蔵古将棋書 1
会員名簿 3
宗歩の千日手書状 / 古棋書編集部
国会図書館蔵古将棋書 2
宗歩手合集を終って / 清水孝晏
江戸番付の一枚
編集室から

No.4 昭和45(1970)年1月
宗歩の詰将棋 / 建部和歌夫
会員名簿 4
「精選定跡」について 香落ち下手端飛廻りに欠陥あり
宗歩の詰将棋は詰まないか
編集後記 / 清水孝晏

No.5 昭和45(1970)年3月
はじめて陽の目をあびる 幻の詰将棋書 / 清水孝晏
象戯作物 序 / 林信充
跋 / 伊藤宗看(三代)
語解
将棋作物詰書 / 二上達也
疑問局解明 / 二上達也
付記 図面に対する疑問 / 二上達也
後記 / 清水孝晏

No.6 昭和45(1970)年5月
香り高い御城将棋譜 / 丸田祐三
棋譜蒐集の思い出 / 兼田三郎
御城将棋ノート 1 / 天狗太郎
「御城将棋一」掲載資料目録
御城将棋目録 1 / 古棋書復刻委員会編
将棋三家系図
後記

No.7 昭和45(1970)年8月
最古の棋譜
登場人物点描
あとがき / 清水孝晏

No.8 昭和45(1970)年10月
御城将棋ノート 2 / 天狗太郎
将棋営中日記 1 / 橘仙斎
御城将棋目録 2 / 古棋書復刻委員会編
「象戯鏡」の序について

No.9 昭和45(1970)年12月
御城将棋ノート 3 / 天狗太郎
御城将棋目録 3 / 古棋書復刻委員会編
将棋営中日記 2 / 橘仙斎
後記
古棋書会員名簿

古棋書復刻委員会

「古棋書会報」No.1の「編集室から」によると、編纂相談委員は、西村英二、越智信義、天狗太郎、兼田三郎で、執筆相談役は、二上達也、建部和歌夫、富沢幹雄、太期喬也とる。これに清水孝晏を加えた9人が、古棋書復刻委員会の実質的なメンバーだったと思われる。


2022年8月29日作成/20234月12日修正

※1 日本将棋連盟の「将棋世界」33巻2号(1969.2)と33巻3号(1969.3に、古棋書復刻委員会による「古棋書復刻・会員募集」が掲載されている。これによると、古棋書復刻は「将棋世界」創刊35周年記念事業の一つだった。


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