『西洋将棋指南』指南

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『西洋将棋指南』は、日本で最初にチェスのルールを紹介した本で、1868(明治2)年に出版された。この本、正式には『西洋将指南』なのだが、とりあえずここでは『西洋将指南』としておく。

『西洋将棋指南』本文

「国立国会図書館デジタルコレクション」で、『西洋将棋指南』の全文を読むことができる。

喫霞仙史編. 西洋将棋指南. 中外堂, 1868.1

『明治文化全集』には、『西洋将棋指南』が尾佐竹猛の解題付きで復刻されている。

明治文化研究会編. 明治文化全集, 第8巻 風俗篇. 日本評論新社, 1930
明治文化研究会編. 明治文化全集, 第8巻 風俗篇. 改版, 日本評論新社, 1955
明治文化研究会編. 明治文化全集, 第8巻 風俗篇. 日本評論社, 1968

増川宏一は、『チェス』の中で『西洋将棋指南』をくわしく紹介している。

増川宏一著. チェス. 法政大学出版局, 2003.1, (ものと人間の文化史, 110)

『西洋将棋指南』の棋譜については、戎棋夷説が考察している。

戎棋夷説. 戎棋夷説 05/09/08. Chess Chronicon. http://www.orcaland.gr.jp/~maro/diary/z050812.html, (参照 2014-06-23)
戎棋夷説. 戎棋夷説 05/11/22. Chess Chronicon. http://www.orcaland.gr.jp/~maro/diary/z051020.html, (参照 2014-06-23)

『西洋将棋指南』のプロブレムについては、『西洋将棋指南』のチェスプロブレムを参照のこと。

なお、『西洋将棋指南』の巻末広告に「西洋 将棊指南 駒共 一冊」と書かれていることから、この本はチェスの駒とセットで販売されていたようである(※1)。

編者 柳河春三(喫霞仙史)

『西洋将棋指南』の編者は柳河春三で、喫霞仙史は筆名。柳河春三については、以下の書がくわしい。

尾佐竹猛著. 新聞雑誌之創始者柳河春三. 名古屋史談会, 1920.2
尾佐竹猛著. 柳河春三 : 新聞雑誌の創始者. 高山書院, 1940.10, (高山叢書 ; 1)
尾佐竹猛著. 尾佐竹猛著作集 第20巻 文化・地方史 2. ゆまに書房, 2006.9
中村新三編著. 幕末の先覚者・郷土の偉人柳河春三展を終えて. [中村新三], 1986

なお、柳河春三は、『西洋将棋指南』を出版した翌年の1869(明治3)年に亡くなっている。

その他

『西洋将棋指南』は、編者と出版者の部分を変えて1887(明治20)年に再版されている(※2)。この本も「国立国会図書館デジタルコレクション」で全文を読むことができる。

諏訪三平編. 西洋将棋指南. 井口松之助ほか, 1887.10

この本の奥付をみると、「特別大賣捌」の項の中に、最初の出版者である「中外堂」の名がある。このことから、次のことが推測される。

ちなみに、この本が再版された翌年の1888(明治21)年には、チェッカーやリバーシ(オセロ)の本(というかパンフレット)が出版されている。この時期、こうしたゲームが流行していたのかもしれない。

鴨田游水編. Checkers shkiata : 一名・西洋飛碁独案内. 北村久吉, 1888.11
西洋替シ碁. 歌川国松, 1888.12

2014年6月23日作成/2017年9月15日修正

※1 『書肆蔵版書目集. [3]』に収録されている「中外堂発兌書目」(年代不明)にも、「西洋将棊指南 箱入駒共 一冊」となっている。

※2 国文学研究資料館の「明治期出版広告データベース」によると、東京日日新聞に1887(明治20)年10月28日付けで以下の広告が掲載されている。これをみると、この本もチェスの盤駒とセットで販売されていたようである。

西洋将棊指南 桐筥入陶器駒并盤附一冊定価金三十五銭

此書ハ香里保迺庵先生の抄訳の珍書にして西洋各国に行はるゝ将棊のさし方を手示せしものなり先盤面より駒の名称及ひ其行道を詳らうふ本邦の語り訳したれば好事雅君必所蔵せらるべきの珍帖之

京橋区中橋南大工町九番地

魁真楼

発兌元 井口松之助

東京辻岡文助、鶴声社、兎屋、明三閣

荒川藤兵ヱ、春陽堂、各書肆ニ於テ売捌 地方逓送料金二十銭

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