陸軍・海軍

2023年の没年調査は、陸軍と海軍(日本十進分類法の 396 と 397)を中心に行なった。

手順としては、国立国会図書館の「著作者情報公開調査」 からダウンロードできる著作者データから、没年が判明しているものを除外し、さらに「NDCの傾向」の項目で、陸軍(396)、もしくは海軍(397)で絞り込んで、人名データのマッチングに書いた方法で報告用のひな型を出力。それを元に、1件ずつ「 貧者の横断検索」を使って調査を行なった。その際、リサーチ・ナビにある「日本-軍事関係の名簿の調べ方」を大いに参考にした。

今回は、2022年12月に国立国会図書館デジタルコレクションがリニューアルして、全文検索ができる資料が増えたので、調べた件数に対して没年が判明する割合がかなり増えたように思う。

ただ、全文検索ができるようになったといっても、陸軍将校や海軍士官の名簿には、全文検索のデータが縦書きではなく横書きで作成されている個所があり、人名ではうまく検索できず、対応に苦労した(※1)。

あと、工夫した点として、陸軍将校や海軍士官の名簿には、X年X月X日調べの年齢がX年X月と書かれているが、そこからX年生まれという計算をするのが面倒だったので、計算を行なうテキストエディタのマクロを作った(ついでに、和暦に西暦を追加するようにした)。

ともあれ、2023年は結果として、国会図書館に395件報告することができた。

以下は報告の実例。戦前の官報も全文検索ができるようになったので、没年があっさり判明したという例である。

著者の情報

YQ00490538の山宮格爾は、関連情報1に「陸軍砲兵大尉、正七位勲五等功五級」とあります。

また、山宮格爾は、著者関連資料「改正野砲兵山砲兵須知」(明41.10)の編者です。

「陸軍予備役後備役将校同相当官服役停年名簿 明治45年7月1日調」のp391、予備砲兵大尉の項に山宮格爾の名があります。

それによると、山宮格爾は明治38年8月5日大尉、明治41年4月29日予備役、正七、旭五、功五、東京都士族で、 明治45(1912)年7月1日調で年齢が33年6月13日とあるので、明治11(1878)年生まれです。

「官報 1919年06月10日」のp202の1段目、彙報の官庁事項の官吏死去の項に、「予備役同大尉正七位勲五等功五級山宮格爾ハ同二十六日孰モ死去セリ」とあるので、山宮格爾は大正8(1919)年に亡くなられたようです。

情報源

改正野砲兵山砲兵須知

https://dl.ndl.go.jp/pid/844749/1/3

陸軍予備役後備役将校同相当官服役停年名簿 明治45年7月1日調

https://dl.ndl.go.jp/pid/1939211/1/203

官報 1919年06月10日

https://dl.ndl.go.jp/pid/2954167/1/4

2024211日作成/20242月13日修正

※1 全文検索のデータは、NDLラボのNDLOCRで作成されているが、このソフトが(人間的には明らかに縦書きでも)横書きと認識してしまうことがあるらしい。ただ、縦書きだろうと横書きだろうと、個々の漢字はだいたい正しく読み取れているようである。
そのため、検索したい人名の漢字を一文字ずつ分解して、個々に全文検索を行い、それぞれヒットしたコマ番号を保存して、そのコマ番号を掛け合わせることで、すべての漢字が出現するコマ番号を絞り込む、というメンドクサイ方法で対応した(人名の中に、あまり使われない漢字が入っている場合は、その漢字が出現するコマだけを見ていくほうが早いかも)。
なお、この方法は、人名以外でも、「この本にこの語句があるはずだけど、なぜか見つからない」といったときにも使えるハズ。