有名な詰将棋作品 2

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前回、詰将棋のデータベースを使って、有名な詰将棋作品を調べてみたが、見つかったのは古めの作品ばかりだった。そこで、もうすこし新しい作品を調べてみたい。

短編名作選プロジェクト

2016年3月から、角建逸氏を中心とした「短編名作選プロジェクト」が始まった。これは、1976年1月号から2015年12月号に発表された、17手以内の短編詰将棋を対象にした名作選を作ろうというものである(※1)。

ちょうどいいタイミングなので、この条件に合致した作品をデータベースで調べて、1976年以降の有名な短編作品とはどんなものか、見てみることにする。

調査手順

調査手順は前回と同様で、詰将棋データベース「T-BASE」で調べてから、空気ラボ「詰将棋同一検索ページ」で調べることにする。

最初に、「T-BASE」の全作品(123,000作)から、1976年以降、17手以下の作品の図面を抽出する(a)。次に、1975年以前、17手以下の作品の図面を抽出する(b)。(a)と(b)を比較して、(b)と同じ図面を(a)から取り除き、純粋に1976年以降の作品のみにする(c)。

この(c)について、同一作品で複数登録されているものを調べた結果、3件以上登録されている作品が、331作見つかった。これを一つの候補とする。

次に、「詰将棋同一検索ページ」で、先に見つけた331作を検索する(※2)。その結果、1975年以前の発表と判明した作品が出てきたのでこれを除き、さらに5件以上登録されている作品に絞ると、51作になった。

調査結果

この51作を手数別にまとめると、次の通りである。個々の作品は、手数をクリックすると見ることができる。

作品数

11作

1作

6作

4作

4作

5作

15作

5作

これをみると、3手詰と15手詰の作品数が多く、5手詰は少ない。また、1手詰はなかった。

さらに、作品の内容をみると、A~Cのタイプに分けられる。

A. 看寿賞や塚田賞の受賞作など、いわゆる有名な作品(36作)。

B. 雑誌編集部が作った例題や初心者向け作品、あるいは棋力診断で何度も使われた作品(8作)。

C. 将棋ソフトや将棋道場の広告などに、何度も使われた作品(7作)。

いずれも、5件以上登録された(=5回以上活字になった)「有名な作品」なのだが、「短編名作選プロジェクト」の候補としてふさわしいのは、Aタイプの作品だろう。ちなみに、Aタイプで一番登録件数が多かったのは、勝浦修作の5手詰(11件登録)である。

Bタイプは、詰将棋の普及に貢献した作品ととらえることもでき、その中でも何度も使われたということは、代表的作品といえるかもしれない。

また、手数との関連でみると、Bタイプの作品は3手詰が多いという特徴があり、Cタイプも短手数の作品が多い。

問題点

今回の調査で最初に使った「T-BASE」は、2010年までの作品しか収録していない。そのため、1976年から2015年までが対象の「短編名作選プロジェクト」の候補としては、不完全ということになるだろう。

また、40年前の作品と10年前の作品と比べると、活字になるチャンスは、当然40年前の作品のほうが多かっただろう。そうしたことを考慮して、10年前の作品は5件以上ではなく4件以上登録されている作品を抽出するとか、なんらかの工夫をしたほうがよかったかもしれない。

まとめ

「短編名作選プロジェクト」をきっかけとして、1976年以降に発表された17手以下の短編詰将棋作品から、有名と思われる作品を51作見つけることができた。

データベースへの登録件数を規準にしたため、いわゆる有名な作品だけでなく、例題や広告で使われた作品も入っているが、何度も活字になって目にする機会が多かったという点では同じなので、このあたりは仕方ないだろう。

2016年6月4日作成/2017年10月22日修正

※1 その後、2017年7月に次の題名で出版された。 短編名作選制作委員会制作. 現代詰将棋短編名作選 : 1976-2015. 角建逸, 2017

※2 「詰将棋同一検索ページ」の登録作品数は、2016年6月4日現在206,000作で、前回の調査の時と変わっていない。

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