人類が始まってからリーダーは存在していますが、優れたリーダーシップとは何かについて明確な結論はありません。
その理由は、リーダーは、様々な企業、環境で求められる機能、役割や存在が異なるからです。
ここでは、リーダーシップ論の基本に立ち返りながら、信頼されるリーダーになるためには、どのようにすべきか考えたいと思います。
リーダーシップとは、組織全体あるいは組織のなかの様々な部門や集団のリーダーが発揮する機能、果たす役割のことです。ぴったりの日本語がなく「指導力」「指導者精神」とも言い換えられます。
リーダーが、組織の中で、決断する、集団の方向を決める、部下に指示を与える、部下の意見を聞く、部下の集団をまとめる、個人あるいは集団の目標を決める、部下を評価する、褒める、叱る、激励する、変化のきっかけを作るなどの行動の総体を発揮する機能が、リーダーシップです。
リーダーシップを発揮する(リーダーとして振舞える)人について、二つの論点があります。
リーダーシップを発揮するために必要な素質、能力、人格に関わる議論
「彼は営業向きだ、いや管理職向きだ」「リーダーは外交的な性格が大切、いや内省的でなければならない」などの議論もそのうちの一つです。
資質は、リーダーとして適切かどうかという点と、行動スタイルを決めます。
リーダーが示すべき行動にかんする議論、リーダーがどのような行動を取るかについての議論です。
簡単にまとめると、ある程度の資質があれば、つまりリーダーになれる経験や能力があれば、リーダーらしい行動をとることで、リーダーシップを発揮できる。
つまり、ある程度の資質がある人に対して、適切な教育することにより、リーダーを養成できると言えます。
ただし、リーダーシップを可能とする条件があります。次は、それについてまとめます。
リーダーが、その機能を果たすためには、パワーが必要です。
パワーとは、人に対して行動を強制する力、影響を与える力です。
職位の権限:報奨と懲罰を与える力
専門知識
個人としての魅力
正当性
会社が組織として与えてくれるのは、1です。
例えば、あなたが課長になって、部下に対して、部下の仕事を決めたり、ボーナスや昇給を決めたり、予算を配分したりする権限です。
2と3はあなたの努力が必要な項目です。
4正当性は「リーダーの指示や命令に従うのが当然で正当だ」と部下が認識することによるパワーです。
リーダーのこれまでの実績、人望、真剣さ、そして理にかなっているという部下の理解が源泉となります。
リーダーのパワーが及ぶ範囲は、組織に与えられた権限以外の上記3つの要素が関連します。
パワーの範囲が広い人は、他部署への影響力も持てるという考え方です。
私の考えるリーダーのパワーの範囲は次の通りです。
<リーダー・パワー公式>
リーダーのパワーの及ぶ範囲=(職位の権限+専門知識+魅力)x正当性
職位の権限、専門知識、個人の魅力が大きくても、部下が認める正当性が低ければ、パワーは及ばないでしょう。
逆に、部下以外にも多くの人に「正当性」が認められている人物がリーダーの場合には、パワーの範囲が広く及ぶのではないでしょうか?
例:カリスマ経営者が、もし隣の事業部にきたら、あなたの事業部にも影響を与える。
伝統的なリーダーシップ論ですが、リーダーシップの果たすべき機能として
P:パフォーマンス、業績
M:メインテナンス、維持
の2つの次元で説明を行う考えがあります。
<リーダーシップ>=<会社をぐいぐい引っ張っていく力>+<組織を維持する力>
このように強いリーダーシップで、強引に引っ張る力だけではなく、部下の面倒を見ながら、組織を維持することも大切です。
令和の時代では、部下がゆとり世代以下が多いことを考えると、組織を維持する方に重点を置かないと機能しないでしょう。
リーダーがリーダーたるパワーは4つに規定しました。その性質を分析してみましょう。
1.職位の権限:会社から付与
2.専門知識:自身の努力
3.個人としての魅力:(自身の努力)<(周囲の認知)
4.正当性:(自身の積み重ねたものの総体)<(周囲の認知)
職位の権限が会社から与えられ、専門知識は、本人の努力や経験によるものです。
注意すべき点は、個人の魅力や正当性は、周囲、つまりリーダーの部下が決めることになります。
もちろん、個人の魅力は自身の努力によって磨き、輝くものですが、それを受け取る部下が、それを認めなければ価値はありません。
同様に、正当性もその性格があると考えます。
大切な点は、リーダーがそれまでに積み上げてきたものの集合体を、部下がどう受け取るかです。
「頑張って素晴らしいことをしたぞ!」自慢に思っていても、部下の住む世界(パラダイム)が異なれば、「正当性」は極端に低くなることもあり得ます。つまり、リーダーとしての力が及ばないのです。
例)素晴らしい経歴の人でも、全く異質の文化の中に放り込まれたら、容易には活躍できない。
先ほどの<リーダー・パワー公式>を思い出してください。
リーダーのパワーの及ぶ範囲=(職位の権限+専門知識+魅力)x正当性
パワーの及ぶ範囲は、リーダー自信の努力があっても、最終的に決まるのは、それを受け取る部下の価値観です。
部下の世界観、パラダイムというものに、リーダーの力が影響されてしまうと考えられます。
このように考えると、【正当性】を最大限にすれば、あなたの努力は評価され、部下を含めた周囲関係者に影響力を及ぼせます。
つまり、令和の時代では、部下の価値観やパラダイムを理解することが、信頼されるリーダーとして必要不可欠なのです!
註)「ゼミナール経営学入門」日本経済新聞社を基にして、個人の経験等を踏まえて考察しています。
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