環境のマネジメント(その2)
競争戦略について
競争戦略について
環境のマネジメント
どの市場で戦うか?
市場の選択(商品・サービス、バリューチェーン、地域、国など)
複数の事業(多角化、事業の組み合わせ、余剰資源の活用)
資源配分(人モノ金の配分、適正配置)
競争戦略
競合他社(市場と顧客とライバル)
ビジネスシステム(事業の仕組み)
差別化と優位性(見える資産、見えない資産)
組織のマネジメント
組織構造
組織の形(機能別、事業部、マトリクス、フラット)
組織の連携(本社、支社、販社、子会社、部、課、係)
組織の配分(人モノ金)
組織運営
リーダーシップ
経営理念と組織文化
ビジョン、目的、目標
人事管理
給料とボーナス(インセンティブ)
人事評価制度(インセンティブ・システム)
人材教育
「環境のマネジメント」とは、「企業は環境の中で生きている生き物」であり、その環境でどうするか(マネジメント)という考え方です。環境のマネジメント(その2)では、競争戦略についてまとめました。競争戦略を考える上で、ライバルは誰か?自社の事業の仕組み、他社との違いに分けて説明します。ご参考になれば幸いです。
戦略とは
「組織としての活動の長期的な基本設計図を市場環境とのかかわり方を中心に描いた構想」
のことです。少しわかりにくいのでキーワードを説明します。
5つのキーワード
「組織」:戦略は人間の集団を引っ張るものである。働く人のモチベーションも考慮すべき。
「長期」:戦略は長期的な展望を示すもの。
「基本設計図」:戦略は行動につながる設計にすべき、単なるスローガンではない。
「市場環境」:内部事情ではなく、市場環境が企業に要請するものは何かが重要である。
「構想」:これからどうするか、という意思を示す。流されるままではない。
「競争戦略の本質は非競争的な状態を志向するところにある」ので、ライバルは少ない方がビジネスはしやすいです。そして、全く競争相手がいない新しい市場を創造することを「ブルーオーシャン戦略」と言います。
素晴らしい戦略ですが「コスト削減と差別化を同時に実現すれば良い」と言われて出来るなら、どこの企業も苦労していません。
注意する点は、ライバルが全くいない市場は、多くの場合、市場(客、ニーズ、利益が出ない)がそもそもないという点です。
例えば「新しい生涯スポーツと、そこで使う革新的な用具を低価格で開発した!誰も競争相手の居ないブルーオーシャンだ!」と喜んでも、それを楽しむ人たちを創造しなければなりません。そこにどれくらいの投資が必要なのか?という課題です。
ですので、「ブルーオーシャンを見つけた!」と思った場合、喜ぶ前に、冷静にじっくり検討することが必要です。
独占市場でライバルが居ない状態が、企業にとっては最も儲けやすいです。しかし多くの企業が現実的に考えるべきは、「競争が激しくない市場を見つけること」ではないかと思います。そのための手段として以下の3つが考えられます。
①競争の緩やかな状態をつくること
②市場のすき間を見つけること
③差別化すること
この3つの手段は組み合わせることも可能です。
①競争のゆるやかな状態をつくることは、参入障壁を作ることです。
法的や慣習的な制度により参加者の数を限定する方法です。商店街が大規模店舗法で大型店を締め出す、などです。免許、資格制度を作る、などもあります。また、ある技術を特許で他社に使わせないという手法も、参入障壁にあたります。
②市場のすき間を見つけることは、競争の激しくない市場を見つける方法の一つです。
ポイントは、大企業では利益にならない小さな市場を中小企業が狙う、という方法があります。地域特性で限定されていたり、趣味性が高いなど、小さな会社がビジネス化すると、中小企業にとっては十分な利益が出る場合もあります。
③差別化することは、競合他社との違いを出せることです。商品の差別化とビジネス・システムの差別化があります。これは後述します。
以上のように、競争が少しでも緩やかで、自社が勝てそうな市場を探し出すことが大切です。その市場で、ライバルは誰なのかを明確にすることが必要です。ライバルの商品、広告、サービス、価格など、何をしているかを知らないと、顧客を獲得できないからです。
競争戦略を考える際に、ビジネス・システムは比較的忘れがちな存在です。
ビジネス・システムとは、価値を生み出すために必要な経営資源と、それを組織化するための仕組みからなり立っている。
「経営資源」とは、企業が利用できる資源の束で、人モノ金など多様なものを含みます。資金、設備、労働者、管理者、知的資産などのことです。
ちょっと分かりにくいかも知れませんが、商品やサービスを提供するために、企業の内部でどのようなしくみや組織で、どのようにして作り出しているのか、ということです。
例えば、ランニングシューズの外見はどれも同じように見えます。しかしA社では、1年間耐久テストをしたサンプルを基にして、1mm単位でサイズ別に設計し、熟練した職人が生産し、出荷前の検品の基準が高く、物流での保管もしっかりしているなど、小さなこだわりが各工程の作業として積み重なり合い、結果として、他社とは圧倒的に差別化した製品になる、というような企業独自のしくみのことです。この場合、A社のライバルが靴を分解しても、材料や部品は分かりますが、小さな積み重ねの差については知る由もありません。
ビジネス・システム構築のポイント(見直すポイント)は3点です。
①どのような顧客にどのような価値を提供するか?
②誰が競争相手か?
③何をもとに持続的に比較優位を構築するか?
顧客を定めて、その顧客は何が欲しがっているかを知ります。その商品やサービスを考えた時に、競合はどこになるのか?そして自社が有利な立場でいられるためにはどのようにしたら良いか?を考える必要があります。
競争相手については、広く考える必要があります。例えば、レストランを開く時に周囲の飲食店だけがライバルと思っていたら、遠くからデリバリーのピザ屋が届けていたとか、近所のコンビニが一番の強敵だったなど。
顧客のニーズを中心にして、そのニーズを満たす商品とサービスを、幅広く、柔軟に考える必要があります。
競争戦略として、重要な要素として、差別化と優位性という言葉があります。ライバルたちとは差別化して、優位な位置に立つことが、競争で勝つために必要です。
差別化のポイント
①微妙な差の累積
②個性の主張
③コスト優位の追求
①微妙な差別化は、上のランニングシューズの例のように微妙な差が積み重なって差別化できる場合です。
②個性の主張は、企業イメージやブランドによって、似たような製品でもソニーを買う、パナソニックを買う、というような選別ブランドがされます。これが個性の主張による差別化です。
③は価格です。同じ商品なら安い方が人気があるでしょう。また、同じ上代でもコストに優位性があれば、その差でプロモーションが出来るかも知れません。アフターサービスを充実する原資になるかも知れません。
このように考える時に注意して頂きたい点は、見える資産だけではなく、見えない資産も考慮することです。
見えない資産には、分かりやすいものは知的財産である特許もありますが、働く人のノウハウや技術力、学習能力、さらに組織文化やモラルも、大切な見えない資産です。
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