昭和9(1934)年
「祈れ、働け、献げよ」この語は組合教会特別伝道標語として定められたものをわが教会に於ても用うる事になった標語である。
テキストは「常に励みて主の事を務めよ、汝らその労の主にありて空しからぬを知ればなり。」(コリント前書15ノ58)である。来年は教会伝道開始満十年である。今こそ明確な信仰に立ってこれまでの教会の働きが空しくならぬ様にとの思を強くし、証人としての基督者たる志を熱くする様祈りを集中した。
その志は7月の記念日を迎えた時に牧師がのべられた希望と感謝の中に汲む事ができる。
「わが教会創立満九年、それはまだ基礎工事中なのである。我らは教会の基礎工事をしているのある。基礎が十分立派に堅固に出来ておらねば、如何に建物が立派に出来ていても決して永持はしない。さらば少しの手抜もせず真面目に熱心に全力を尽してわが教会の地盤をかためる事が我らの今日の教会に連なる者の責任である。所謂心血を注いでかからねばならぬのである。
そう一層の奉仕と努力があらむことを。」
この年には二つの大きな災害が起った。一つは3月21日の函館の大火である。焼失家屋二万四千戸、死者三千といわれる。この悲報をきくや早速委員会を開き義捐の金品を集め、4月2日、聖書讃美歌多数を携え慰問の為敞牧師は現地に急行されたが、多くの罹災せる兄弟姉妹は大いなる慰めと激励をうけられ灰燼の中から立上がる勇気を与えられたと感謝された。
第二は四国近畿地方を襲った所謂室戸台風である。四国大阪方面の被害と惨状とは語るまでもない。わが会堂も一応の修理だけは行ったが教会を表微する塔には資金の都合で手を加える事が出来なかった。塔を修理するには根本的な改修を要するが格別危険がないというのでこれを見送り、塔の建築には今後慎重でなくてはならぬという事になった。この塔には雷の落ちたこともあった。