凡例
解説 『新成年後見制度の解説【改訂版】』小林昭彦・大門匡・岩井伸晃/編著、福本修也・岡田伸太・原司・西岡慶記/著、きんざい、2017年
注釈 『新版注釈民法(1)総則(1) 通則・人 -- 1条~32条の2 改訂版【復刊版】』谷口 知平 (元大阪市立大学名誉教授)・石田 喜久夫 (元神戸大学名誉教授)/編集、有斐閣、2010年
新注 『新注釈民法(1)総則(1) 総則1 1条~89条』山野目章夫編集、有斐閣、2018年
改相 『逐条解説 改正相続法』堂園幹一郎、脇村真治、神吉康二、宇野直紀著、商事法務、2024年
【参考書籍】
『判例先例 親族法-後見-』中山直子/著、日本加除出版、2018年
『法律を読む技術・学ぶ技術』(改訂第3版、吉田利宏、2018年、ダイヤモンド社)131頁によると、「第一条はその法律の要約文」になっていて、最近の例では、「手段」「目的」「究極の目的」が書かれています。各法律の第一条を読み、その法律が目指すものを念頭に置きながら各条文を解釈すれば、より正しい解釈につながるのではないでしょうか。
Q 「空家等対策の推進に関する特別措置法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空家等の活用を促進するため、空家等に関する施策に関し、国による基本指針の策定、市町村(特別区を含む。第十条第二項を除き、以下同じ。)による空家等対策計画の作成その他の空家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めることにより、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的とする。
Q 「介護保険法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
Q 「会社計算規則」の目的を教えてください。
第一条 この省令は、会社法(平成十七年法律第八十六号。以下「法」という。)の規定により委任された会社の計算に関する事項その他の事項について、必要な事項を定めることを目的とする。
Q 「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする。
Q 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が、個人番号及び法人番号の有する特定の個人及び法人その他の団体を識別する機能を活用し、並びに当該機能によって異なる分野に属する情報を照合してこれらが同一の者に係るものであるかどうかを確認することができるものとして整備された情報システムを運用して、効率的な情報の管理及び利用並びに他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受を行うことができるようにするとともに、これにより、行政運営の効率化及び行政分野におけるより公正な給付と負担の確保を図り、かつ、これらの者に対し申請、届出その他の手続を行い、又はこれらの者から便益の提供を受ける国民が、手続の簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上を得られるようにするために必要な事項を定めるほか、個人番号その他の特定個人情報の取扱いが安全かつ適正に行われるよう個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の特例を定めることを目的とする。
Q 「行政手続法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第四十六条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。
2 処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関しこの法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。
Q 「行政不服審査法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。
2 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(以下単に「処分」という。)に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
Q 「建築基準法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
Q 「後見登記等に関する政令」の目的を教えてください。
第一条 この政令は、後見登記等に関する法律(以下「法」という。)第一条に規定する後見登記等に関し、登記申請の方式その他必要な細目を定めることを目的とする。
Q 「高齢社会対策基本法」の目的を教えてください。
前文 我が国は、国民のたゆまぬ努力により、かつてない経済的繁栄を築き上げるとともに、人類の願望である長寿を享受できる社会を実現しつつある。今後、長寿をすべての国民が喜びの中で迎え、高齢者が安心して暮らすことのできる社会の形成が望まれる。そのような社会は、すべての国民が安心して暮らすことができる社会でもある。
しかしながら、我が国の人口構造の高齢化は極めて急速に進んでおり、遠からず世界に例を見ない水準の高齢社会が到来するものと見込まれているが、高齢化の進展の速度に比べて国民の意識や社会のシステムの対応は遅れている。早急に対応すべき課題は多岐にわたるが、残されている時間は極めて少ない。
このような事態に対処して、国民一人一人が生涯にわたって真に幸福を享受できる高齢社会を築き上げていくためには、雇用、年金、医療、福祉、教育、社会参加、生活環境等に係る社会のシステムが高齢社会にふさわしいものとなるよう、不断に見直し、適切なものとしていく必要があり、そのためには、国及び地方公共団体はもとより、企業、地域社会、家庭及び個人が相互に協力しながらそれぞれの役割を積極的に果たしていくことが必要である。
ここに、高齢社会対策の基本理念を明らかにしてその方向を示し、国を始め社会全体として高齢社会対策を総合的に推進していくため、この法律を制定する。
第一条 この法律は、我が国における急速な高齢化の進展が経済社会の変化と相まって、国民生活に広範な影響を及ぼしている状況にかんがみ、高齢化の進展に適切に対処するための施策(以下「高齢社会対策」という。)に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、高齢社会対策の基本となる事項を定めること等により、高齢社会対策を総合的に推進し、もって経済社会の健全な発展及び国民生活の安定向上を図ることを目的とする。
Q 「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、高齢者に対する虐待が深刻な状況にあり、高齢者の尊厳の保持にとって高齢者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等にかんがみ、高齢者虐待の防止等に関する国等の責務、高齢者虐待を受けた高齢者に対する保護のための措置、養護者の負担の軽減を図ること等の養護者に対する養護者による高齢者虐待の防止に資する支援(以下「養護者に対する支援」という。)のための措置等を定めることにより、高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、もって高齢者の権利利益の擁護に資することを目的とする。
Q 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性に鑑み、公共交通機関の旅客施設及び車両等、道路、路外駐車場、公園施設並びに建築物の構造及び設備を改善するための措置、一定の地区における旅客施設、建築物等及びこれらの間の経路を構成する道路、駅前広場、通路その他の施設の一体的な整備を推進するための措置、移動等円滑化に関する国民の理解の増進及び協力の確保を図るための措置その他の措置を講ずることにより、高齢者、障害者等の移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。
Q 「高齢者の医療の確保に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成及び保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もつて国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする。
Q 「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスの提供を受けることができる良好な居住環境を備えた高齢者向けの賃貸住宅等の登録制度を設けるとともに、良好な居住環境を備えた高齢者向けの賃貸住宅の供給を促進するための措置を講じ、併せて高齢者に適した良好な居住環境が確保され高齢者が安定的に居住することができる賃貸住宅について終身建物賃貸借制度を設ける等の措置を講ずることにより、高齢者の居住の安定の確保を図り、もってその福祉の増進に寄与することを目的とする。
Q 「国籍法」の目的を教えてください。
(この法律の目的)
第一条 日本国民たる要件は、この法律の定めるところによる。
Q 「子どもの読書活動の推進に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、子どもの読書活動の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、子どもの読書活動の推進に関する必要な事項を定めることにより、子どもの読書活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって子どもの健やかな成長に資することを目的とする。
Q 「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、内外の社会経済情勢の変化に伴い、裁判外紛争解決手続(訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続をいう。以下同じ。)が、第三者の専門的な知見を反映して紛争の実情に即した迅速な解決を図る手続として重要なものとなっていることに鑑み、裁判外紛争解決手続についての基本理念及び国等の責務を定めるとともに、民間紛争解決手続の業務に関し、認証の制度を設け、併せて時効の完成猶予等に係る特例を定めてその利便の向上を図ること等により、紛争の当事者がその解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にし、もって国民の権利利益の適切な実現に資することを目的とする。
Q 「司法書士法施行規則」の目的を教えてください。
第一条 司法書士試験、司法書士の資格及び能力の認定、登録、事務所並びに業務執行、司法書士法人の事務所及び業務執行並びに公共嘱託登記司法書士協会(以下「協会」という。)の設立及び業務執行については、司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号。以下「法」という。)、司法書士法施行令(昭和五十三年政令第三百七十九号)その他の法令に定めるもののほか、この規則の定めるところによる。
Q 「社会福祉士及び介護福祉士法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、社会福祉士及び介護福祉士の資格を定めて、その業務の適正を図り、もつて社会福祉の増進に寄与することを目的とする。
Q 「社会福祉法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定め、社会福祉を目的とする他の法律と相まつて、福祉サービスの利用者の利益の保護及び地域における社会福祉(以下「地域福祉」という。)の推進を図るとともに、社会福祉事業の公明かつ適正な実施の確保及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図り、もつて社会福祉の増進に資することを目的とする。
Q 「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、幼児期の教育及び保育が生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであること並びに我が国における急速な少子化の進行並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化に伴い小学校就学前の子どもの教育及び保育に対する需要が多様なものとなっていることに鑑み、地域における創意工夫を生かしつつ、小学校就学前の子どもに対する教育及び保育並びに保護者に対する子育て支援の総合的な提供を推進するための措置を講じ、もって地域において子どもが健やかに育成される環境の整備に資することを目的とする。
Q 「住居表示に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、合理的な住居表示の制度及びその実施について必要な措置を定め、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
Q 「住民基本台帳法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)において、住民の居住関係の公証、選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするとともに住民の住所に関する届出等の簡素化を図り、あわせて住民に関する記録の適正な管理を図るため、住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳の制度を定め、もつて住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とする。
Q 「障害者基本法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
Q 「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、障害者に対する虐待が障害者の尊厳を害するものであり、障害者の自立及び社会参加にとって障害者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等に鑑み、障害者に対する虐待の禁止、障害者虐待の予防及び早期発見その他の障害者虐待の防止等に関する国等の責務、障害者虐待を受けた障害者に対する保護及び自立の支援のための措置、養護者の負担の軽減を図ること等の養護者に対する養護者による障害者虐待の防止に資する支援(以下「養護者に対する支援」という。)のための措置等を定めることにより、障害者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、もって障害者の権利利益の擁護に資することを目的とする。
Q 「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、全ての障害者が、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加するためには、その必要とする情報を十分に取得し及び利用し並びに円滑に意思疎通を図ることができることが極めて重要であることに鑑み、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の基本となる事項を定めること等により、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策を総合的に推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。
Q 「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、文化芸術が、これを創造し、又は享受する者の障害の有無にかかわらず、人々に心の豊かさや相互理解をもたらすものであることに鑑み、文化芸術基本法(平成十三年法律第百四十八号)及び障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、障害者による文化芸術活動(文化芸術に関する活動をいう。以下同じ。)の推進に関し、基本理念、基本計画の策定その他の基本となる事項を定めることにより、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって文化芸術活動を通じた障害者の個性と能力の発揮及び社会参加の促進を図ることを目的とする。
Q 「障害者の雇用の促進等に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進等のための措置、雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保並びに障害者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするための措置、職業リハビリテーションの措置その他障害者がその能力に適合する職業に就くこと等を通じてその職業生活において自立することを促進するための措置を総合的に講じ、もつて障害者の職業の安定を図ることを目的とする。
Q 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)、知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付、地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。
Q 「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、教育の機会均等の趣旨にのっとり、障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の発行の促進を図るとともに、その使用の支援について必要な措置を講ずること等により、教科用特定図書等の普及の促進等を図り、もって障害その他の特性の有無にかかわらず児童及び生徒が十分な教育を受けることができる学校教育の推進に資することを目的とする。
Q 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。
Q 「商業登記法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、商法(明治三十二年法律第四十八号)、会社法(平成十七年法律第八十六号)その他の法律の規定により登記すべき事項を公示するための登記に関する制度について定めることにより、商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的とする。
Q 「少年法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。
Q 「消費者契約法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
Q 「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、社会経済情勢の変化に伴い所有者不明土地が増加していることに鑑み、所有者不明土地の利用の円滑化及び管理の適正化並びに土地の所有者の効果的な探索を図るため、国土交通大臣及び法務大臣による基本方針の策定について定めるとともに、地域福利増進事業の実施のための措置、所有者不明土地の収用又は使用に関する土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の特例、土地の所有者等に関する情報の利用及び提供その他の特別の措置を講じ、もって国土の適正かつ合理的な利用に寄与することを目的とする。
Q 「身体障害者福祉法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)と相まつて、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とする。
Q 「身体障害者補助犬法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、身体障害者補助犬を訓練する事業を行う者及び身体障害者補助犬を使用する身体障害者の義務等を定めるとともに、身体障害者が国等が管理する施設、公共交通機関等を利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することができるようにするための措置を講ずること等により、身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化を図り、もって身体障害者の自立及び社会参加の促進に寄与することを目的とする。
Q 「生活困窮者自立支援法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、生活困窮者自立相談支援事業の実施、生活困窮者住居確保給付金の支給その他の生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ることを目的とする。
Q 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのつとり、精神障害者の権利の擁護を図りつつ、その医療及び保護を行い、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)と相まつてその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによつて、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。
Q 「成年後見制度の利用の促進に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより財産の管理又は日常生活等に支障がある者を社会全体で支え合うことが、高齢社会における喫緊の課題であり、かつ、共生社会の実現に資すること及び成年後見制度がこれらの者を支える重要な手段であるにもかかわらず十分に利用されていないことに鑑み、成年後見制度の利用の促進について、その基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及び基本方針その他の基本となる事項を定めること等により、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
Q 「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、国民の健康の保持及び福祉の増進に係る多様なサービスへの需要が増大していることに鑑み、地域における創意工夫を生かしつつ、地域において効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を促進する措置を講じ、もって高齢者をはじめとする国民の健康の保持及び福祉の増進を図り、あわせて国民が生きがいを持ち健康で安らかな生活を営むことができる地域社会の形成に資することを目的とする。
Q 「知的障害者福祉法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)と相まつて、知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、知的障害者を援助するとともに必要な保護を行い、もつて知的障害者の福祉を図ることを目的とする。
Q 「発達障害者支援法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、発達障害者の心理機能の適正な発達及び円滑な社会生活の促進のために発達障害の症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うとともに、切れ目なく発達障害者の支援を行うことが特に重要であることに鑑み、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、発達障害者が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、発達障害を早期に発見し、発達支援を行うことに関する国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、学校教育における発達障害者への支援、発達障害者の就労の支援、発達障害者支援センターの指定等について定めることにより、発達障害者の自立及び社会参加のためのその生活全般にわたる支援を図り、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。
Q 「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化を図るため、登記官による表題部所有者不明土地の所有者等の探索及び当該探索の結果に基づく表題部所有者の登記並びに所有者等特定不能土地及び特定社団等帰属土地の管理に関する措置を講ずることにより、表題部所有者不明土地に係る権利関係の明確化及びその適正な利用を促進し、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。
Q 「不動産登記法」の目的を教えてください。
第一条 この法律は、不動産の表示及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度について定めることにより、国民の権利の保全を図り、もって取引の安全と円滑に資することを目的とする。
Q 「遺言書保管事務取扱手続準則」の趣旨を教えてください。
第一条 法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成30年法律第73号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する法務大臣の指定する法務局が遺言書保管所としてつかさどる事務の取扱いについては、法令に定めるもののほか、この準則によるものとする。
Q 「遺言の方式の準拠法に関する法律」の趣旨を教えてください。
第一条 この法律は、遺言の方式の準拠法に関し必要な事項を定めるものとする。
Q 「印紙税法」の趣旨を教えてください。
第一条 この法律は、印紙税の課税物件、納税義務者、課税標準、税率、納付及び申告の手続その他印紙税の納税義務の履行について必要な事項を定めるものとする。
Q 「会社法」の趣旨を教えてください。
第一条 会社の設立、組織、運営及び管理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
Q 「家事事件手続法」の趣旨を教えてください。
第一条 家事審判及び家事調停に関する事件(以下「家事事件」という。)の手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
Q 「仮登記担保契約に関する法律」の趣旨を教えてください。
第一条 この法律は、金銭債務を担保するため、その不履行があるときは債権者に債務者又は第三者に属する所有権その他の権利の移転等をすることを目的としてされた代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約その他の契約で、その契約による権利について仮登記又は仮登録のできるもの(以下「仮登記担保契約」という。)の効力等に関し、特別の定めをするものとする。
Q 「行政事件訴訟法」の趣旨を教えてください。
第一条 行政事件訴訟については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
Q 「後見登記等に関する法律」の趣旨を教えてください。
第一条 民法(明治二十九年法律第八十九号)に規定する後見(後見開始の審判により開始するものに限る。以下同じ。)、保佐及び補助に関する登記並びに任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号)に規定する任意後見契約の登記(以下「後見登記等」と総称する。)については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
Q 「公証人手数料令」の趣旨を教えてください。
第一条 公証人(公証人の職務を行う法務事務官を含む。以下同じ。)が受ける手数料、送達に要する料金、登記手数料、日当及び旅費については、この政令の定めるところによる。
Q 「財団登記事務取扱手続準則」の趣旨を教えてください。
第一条 各種の財団に関する登記事務の取扱いは、法令に定めるもののほか、この準則によるものとする。
2 この準則に定めのないものは、不動産登記事務取扱手続準則(平成十七年二月二十五日民二第四百五十六号通達。以下「不動産登記準則」という。)の規定により取り扱うものとする。
Q 「裁判所法」の趣旨を教えてください。
第一条(この法律の趣旨) 日本国憲法に定める最高裁判所及び下級裁判所については、この法律の定めるところによる。
Q 「借地借家法」の趣旨を教えてください。
第一条 この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。
Q 「租税特別措置法」の趣旨を教えてください。
第一条 この法律は、当分の間、所得税、法人税、地方法人税、相続税、贈与税、地価税、登録免許税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油石炭税、航空機燃料税、自動車重量税、国際観光旅客税、印紙税その他の内国税を軽減し、若しくは免除し、若しくは還付し、又はこれらの税に係る納税義務、課税標準若しくは税額の計算、申告書の提出期限若しくは徴収につき、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)、地方法人税法(平成二十六年法律第十一号)、相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)、地価税法(平成三年法律第六十九号)、登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)、酒税法(昭和二十八年法律第六号)、たばこ税法(昭和五十九年法律第七十二号)、揮発油税法(昭和三十二年法律第五十五号)、地方揮発油税法(昭和三十年法律第百四号)、石油石炭税法(昭和五十三年法律第二十五号)、航空機燃料税法(昭和四十七年法律第七号)、自動車重量税法(昭和四十六年法律第八十九号)、国際観光旅客税法(平成三十年法律第十六号)、印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)、国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)及び国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)の特例を設けることについて規定するものとする。
Q 「仲裁法」の趣旨を教えてください。
第一条 仲裁地が日本国内にある仲裁手続及び仲裁手続に関して裁判所が行う手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
Q 「登録免許税法」の趣旨を教えてください。
第一条 この法律は、登録免許税について、課税の範囲、納税義務者、課税標準、税率、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。
Q 「任意後見契約に関する法律」の趣旨を教えてください。
第一条 この法律は、任意後見契約の方式、効力等に関し特別の定めをするとともに、任意後見人に対する監督に関し必要な事項を定めるものとする。
Q 「非訟事件手続法」の趣旨を教えてください。
第一条 この法律は、非訟事件の手続についての通則を定めるとともに、民事非訟事件、公示催告事件及び過料事件の手続を定めるものとする。
Q 「不動産登記令」の趣旨を教えてください。
第一条 この政令は、不動産登記法(以下「法」という。)の規定による不動産についての登記に関し必要な事項を定めるものとする。
Q 「法務局における遺言書の保管等に関する政令」の趣旨を教えてください。
第一条 この政令は、法務局における遺言書の保管等に関する法律(以下「法」という。)の規定による遺言書の保管及び情報の管理に関し必要な事項を定めるものとする。
Q 「法務局における遺言書の保管等に関する法律」の趣旨を教えてください。
第一条 この法律は、法務局(法務局の支局及び出張所、法務局の支局の出張所並びに地方法務局及びその支局並びにこれらの出張所を含む。次条第一項において同じ。)における遺言書(民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百六十八条の自筆証書によってした遺言に係る遺言書をいう。以下同じ。)の保管及び情報の管理に関し必要な事項を定めるとともに、その遺言書の取扱いに関し特別の定めをするものとする。
Q 「民事訴訟費用等に関する法律」の趣旨を教えてください。
第一条 民事訴訟手続、民事執行手続、民事保全手続、行政事件訴訟手続、非訟事件手続、家事審判手続その他の裁判所における民事事件、行政事件及び家事事件に関する手続(以下「民事訴訟等」という。)の費用については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
Q 「民事訴訟法」の趣旨を教えてください。
第一条 民事訴訟に関する手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
最高裁判所第1小法廷判決 昭和41年7月28日
代表取締役の欠けている株式会社の訴提起と民訴法第五八条、第五六条の類推適用
株式会社が代表取締役を欠くにいたつた場合において、会社を代表して訴を提起するため仮代表取締役の選任の方法によつたのでは遅滞のため損害を受けるおそれがあるときは、利害関係人は、民訴法第五八条、第五六条の規定を類推して特別代理人の選任を申請することができる。
【引用記事】判例タイムズ931号 80頁 1997年4月15日 成年後見制度の実務の現状と展望 高齢者を当事者とする訴訟委任、調停委任の取扱い 額田洋一:弁護士
松山家庭裁判所審判 昭和42年4月19日
高齢者職権削除手続により除籍されたものについて、死亡による相続を前提として相続財産管理人の選任をすることはできないとされた事例
主文
(1) 標記事件につき、当裁判所が昭和三九年一二月一五日付でなした、「被相続人亡○○○○の相続財産管理人に住所松山市○○町二丁目五五番の二○○○○を選任する。」との審判は、これを取消す。
(2) 本件申立を却下する。
理由
主文第(1)項掲記の審判は、被相続人○○○○の相続が開始したことを前提として、なされたものであるが、本件記録編綴の同人の除籍謄本には、その、身分事項欄に、「年月日時および場所不詳死亡昭和二七年一一月六日附許可を得て同月一〇日除籍」なる旨の記載があり、その記載は、当庁昭和四一年(家)第七八九号相続財産の処分申立事件に編綴の松山地方法務局長の当裁判所宛照会回答書によれば、被相続人○○○○の戸籍消除事由は、大正五年二月三日民事第一、八三六号司法省法務局長回答、昭和六年二月一二日民事第一、三七〇号司法省民事局長回答、昭和二四年九月一七日民事甲第二、〇九五号法務省民事局長回答等の先例に、いわゆる高齢者職権消除に基づくものであることが認められる。
しかし、上記行政通達を根拠として、被相続人○○○○の戸籍に死亡の記載がなされても、それは単に戸籍行政上の便宜にもとづくものであつて、失踪宣告の如き法的効果を生ずるものでないことは、いうまでもない。
したがつて、被相続人○○○○の死亡の事実または失踪宣告の審判のなされたことについて、何等の資料がない本件においては、同人の死亡による相続を前提として相続財産管理人の選任をすることはできないものといわなければならない。
よつて、家事審判法第七条、非訟事件手続法第一九条第一項を適用して、相続財産管理人選任の審判を取り消したうえ、その申立を却下することとし、主文のとおり審判する。
大阪高等裁判所判決 平成元年8月10日
被相続人と死亡養親を通じては直系卑属ではないものの、生存親を通じて直系卑属に該当する者は、死亡養親を代襲相続できるとされた事例
主張:Eは、亡Dの養子縁組前の出生なので、Aの相続については亡Dを代襲しないのではないか。
【裁判所の判断】
Eは亡Dの養子縁組前の子であるから、亡Dを通じてAとは親族関係を生じず、したがってAの死亡による相続に関して亡Dの代襲者にはなり得ないとの考え方があるが、民法887条2項ただし書において、「被相続人の直系卑属でない者」を代襲相続人の範囲から排除した理由は、血統継続の思想を尊重するとともに、親族共同体的な観点から相続人の範囲を親族内の者に限定することが相当であると考えられたこと、とくに単身養子の場合において、縁組前の養子の子が他で生活していて養親とは何ら係わりがないにもかかわらず、これに代襲相続権を与えることは不合理であるからこれを排除する必要があったことによるものと思われるところ、本件の場合には、Eはその母Cを通じて被相続人Aの直系の孫であるから右条項の文言上において直接に違反するものではなく、また、被相続人との家族生活の上においては何ら差異のなかった姉妹が、亡父と被相続人間の養子縁組届出の前に生れたか後に生れたかの一事によって、Eには相続権がなくFにのみ相続権が生ずるとすることは極めて不合理であるから、衡平の観点からも、Eには被相続人Aの遺産に関し代襲相続権があると解するのが相当である(ちなみに、本件のような事例において、戸籍先例は、縁組前の養子の子に代襲相続権を認めている。昭和35年8月5日民事甲第1997号民事局第二課長回答)。よって、被控訴人Eに相続権がないとする控訴人の主張は失当というべきである。
つまり、被代襲者ではない親(C)を通して被相続人の直系卑属の立場を有しているEは、E出生後に養子縁組をした亡Dを代襲相続することができます。
東京高等裁判所判決 平成6年3月24日
連帯保証契約および根抵当権設定契約締結の意思表示に要素の錯誤があったと認められた事例
80歳の老人が、債務者甲の詐欺により、他の債務者乙の借受金債務を連帯保証等する意思で、約定書等に署名し、債務者甲の借受金債務について連帯保証契約および根抵当権設定契約を締結したときは、右老人の右各契約締結の意思表示には人(債務者)および内容(保証債務額および極度額)に関する錯誤がある。かつ右錯誤は意思表示の重要な部分の錯誤であるから、要素の錯誤があったというべきである。
【解説】金融法務事情1414号33頁
平成4年3月18日民三第1404号民事局第三課長回答 数次相続人間における相続分譲渡と所有権移転登記手続
被相続人甲が死亡し乙、丙及び戊(丁の代襲相続人)が相続した甲名義の不動産につき、相続登記未了のうちに丙の死亡によりX(Dの代襲相続人)が、乙の死亡によりA、B、Cが相続し、さらにその後、戊、A及びXが各自の相続分をそれぞれBに二分の一、Cに二分の一ずつ譲渡した場合において、B及びC名義への移転登記をするには、①相続を原因とする乙、丙及び戊名義への所有権移転の登記、②乙持分について相続を原因とするB及びC名義への持分全部移転の登記(Aの印鑑証明書付相続分譲渡証書添付)、③丙持分について相続を原因とするX名義への持分全部移転の登記、④戊及びX持分について相続分の売買又は相続分の贈与等を原因とするB及びC名義への持分全部移転の登記を順次申請するのが相当である。
意思能力、行為能力について
星野英一代表編 『民法講座Ⅰ民法総則』 有斐閣 1984年 須永醇「権利能力、意思能力、行為能力」
前田達明 『民法随筆』 成文堂 1989年 「意思能力・行為能力・権利能力」
於保不二雄 『財産管理権序説(復刻版)』 有信堂 1995年 「行為の力についての一考察ー未成年者を中心として」
契約について
広中俊雄 『契約とその法的保護』 創文社 1974年 ※国立国会図書館デジタルコレクションにあり
成年後見について
小賀野晶一 『成年身上監護制度論』 信山社 2000年 「被保護成年者制度と取引安全」
渡部朗子 『身上監護の成年後見法理』 信山社 2015年
司法書士について
日本司法書士会連合会 編 『不動産登記制度の歴史と展望』 日本司法書士会連合会 1986年 ※ 国立国会図書館デジタルコレクション にあり
日本司法書士会連合会司法書士史編纂委員会 編 『日本司法書士史』明治・大正・昭和戦前編 ぎょうせい 1981年 ※国立国会図書館デジタルコレクション にあり
障害について
『岩波講座現代の法14 自己決定権と法』 岩波書店 1998年
障害者福祉研究会 (編集) 『逐条解説障害者総合支援法 第2版』 中央法規出版 2019年