Q 民法第13条第1項第五号の「贈与、和解または仲裁合意をすること」とは、どういうことですか?
Q 民法第13条第1項第五号の「贈与、和解または仲裁合意をすること」とは、どういうことですか?
本号でいう贈与とは、本人が第三者に対して贈与をする場合のことであり、本人が贈与をされる場合は含みません。
本号でいう和解とは、裁判外の和解と裁判上の和解の双方を意味するとともに、調停における合意も同様と解されます。
本号でいう仲裁合意とは、自らが紛争の仲裁をすることではなく、自らが仲裁される側つまり紛争の当事者である場合の仲裁合意をいい、仲裁法第2条第1項において「既に生じた民事上の紛争又は将来において生ずる一定の法律関係(契約に基づくものであるかどうかを問わない。)に関する民事上の紛争の全部又は一部の解決を一人又は二人以上の仲裁人にゆだね、かつ、その判断(以下「仲裁判断」という。)に服する旨の合意をいう。」と定義されています。 (解説、90頁)
【裁判上の和解において本人が保佐人の同意を得ないでした合意の効力はどうなるか】
裁判上の和解は、本号だけでなく第4号にも該当するとともに民事訴訟法第32条第2項第1号にも該当するので、個別の同意が必要になります。そして、前掲:大阪高判昭和32年12月10日の考え方によれば、本人が保佐人の同意を得ないでした和解は、取り消しうべき行為ではなく無効と解されます。
なお、民事訴訟法第34条では、「訴訟行為をするのに必要な授権を欠くときは、裁判所は、期間を定めて、その補正を命じなければならない。この場合において、遅滞のため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、一時訴訟行為をさせることができる。」と規定されていますので、まずは補正が命じられるものと思います。