Q 法定後見の3つの類型別による本人の判断能力について教えてください。
Q 法定後見の3つの類型別による本人の判断能力について教えてください。
法定後見は、本人の判断能力の状態によって、補助・保佐・後見の3類型に分かれます。
その前提として、判断能力の衰えている理由が「精神上の障害」であることが必要です。
「精神上の障害」は、認知症、精神疾患、知的障害、脳機能障害などが典型的な例です。
これらを理由として衰えた判断能力の状態によって、民法では次のような分類がなされています。
補助は、判断能力が「不十分である者」を対象にしています。(民法第15条)
保佐は、判断能力が「著しく不十分である者」を対象にしています。(民法第11条)
後見は、判断能力を「欠く常況にある者」を対象にしています。(民法第7条)
少しわかりにくいですね。
実際の分類は、申立時に提出する医師が作成した成年後見用の診断書が参考にされています。
そこでは、次のような表現になっています。
補助相当「支援を受けなければ、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することが難しい場合がある。」
保佐相当「支援を受けなければ、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができない。」
後見相当「支援を受けても、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができない。」
少しわかりやすくなりましたでしょうか。
現実の世界では、スパッと3類型に綺麗に分けられるものではないと思いますが、制度的にはこのようになっていますので、これから制度の利用を検討されている方は、まずは診断書を取得してみて類型を考えてみるのも一つの手だと思います。
これまでに経験した案件では、保佐に近い後見とか、後見に近い保佐と感じるような案件もありました。人間の状態を3類型に分類できると考えるよりも、グラデーションのように分布していると考えた方が自然だと思いますので、後見人等に就任した場合は、類型別による支援者の権限を制度的に理解するとともに、本人の状態をできるだけ正確に把握して、支援にあたるべきだと思います。