Q 民法第13条第1項第四号の「訴訟行為をすること」とは、どういうことですか?
Q 民法第13条第1項第四号の「訴訟行為をすること」とは、どういうことですか?
本号を素直に読むと訴訟に関する行為のすべてについて保佐人の同意が必要になると読めそうですが、いくつかの特則や判例があります。
【特則】
本号にかかわらず、次の被保佐人による訴訟行為には、保佐人の同意を要しません。
①被保佐人が、相手方の提起した訴えまたは上訴について訴訟行為をする場合 (民事訴訟法第32条第1項「被保佐人、被補助人(訴訟行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項及び第四十条第四項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が相手方の提起した訴え又は上訴について訴訟行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。」)
②必要的共同訴訟の共同訴訟人の一人が提起した上訴について、被保佐人が共同訴訟人として上級審で訴訟行為をする場合 (民事訴訟法第40条第4項「第三十二条第一項の規定は、第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人若しくは被補助人又は他の共同訴訟人の後見人その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。」)
また、以下の行為については、個別の同意が必要になります(この点につき、後記判例との違いを確認してください)。
③訴えまたは上訴の取下げ、和解、請求の放棄または認諾など、判決によらずに訴訟を終結させる行為 (民事訴訟法第32条2項「被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる訴訟行為をするには、特別の授権がなければならない。一 訴えの取下げ、和解、請求の放棄若しくは認諾又は第四十八条(第五十条第三項及び第五十一条において準用する場合を含む。)の規定による脱退 二 控訴、上告又は第三百十八条第一項の申立ての取下げ 三 第三百六十条(第三百六十七条第二項及び第三百七十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定による異議の取下げ又はその取下げについての同意」)
【判例】
大判明治41年2月26日 保佐人が訴えまたは上訴に関する同意をする場合には、当該審級における一連の訴訟行為の全部について包括的な同意をすべきである。
大阪高判昭和32年12月10日 本号の規定に違反して本人が保佐人の同意を得ないでした訴訟行為は、訴訟行為の性質上、取り消しうべき行為ではなく、無効となる。