Q 民法第13条第1項第三号の「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること」とは、どういうことですか?
Q 民法第13条第1項第三号の「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること」とは、どういうことですか?
【重要な財産】
平成11年改正前は「重要ナル動産」とされていましたが、解釈上、知的財産権についてはこれに準ずるものと解されており、同年の改正では従来の解釈を敷衍して「重要な財産」に改めていますので、多額の債権もこれに含まれます。(解説、88頁)
重要な財産に関するか否かは、被保佐人の財産状況や生活状況に則して判定されるべきとされています。(注釈、358頁)
【権利の得喪を目的とする行為】
売買・用益物権の設定・担保物件の設定・賃貸借契約の締結及び解除・使用貸借契約の締結及び解除などが該当します。
相当の対価を伴う有償の契約である限り、雇用契約・委任契約・寄託契約・介護契約・施設入所契約等のような役務提供契約・保険契約も該当するものと解されます。
なお、賃貸借契約については、民法第13条第1項第9号で、短期賃貸借を超える賃貸借のみが同意権の対象になると限定されています。(解説、88頁)
【判例】
大判明治37年3月25日 公有地の払下げを受ける権利は、不動産に関する権利というべく民法12条(注・現民13条)が適用される。
大判昭和9年5月5日 電話加入権は重要な動産に当たる。
大判昭和12年5月28日 土地賃貸借契約の合意解除は、不動産に関する権利の得喪を目的とする行為に当たる。