今日は日本の無戸籍の問題について話します。なんと日本には推定で1万人の無戸籍の人々がいると考えられています。 まずは戸籍制度について説明します。戸籍は生存権を担保しています。そして自分の存在を公証するときに必須です。戸籍は家族関係を記録しています。例えば親子関係や、婚姻関係です。戸籍が必要になる手続きはパスポートの申請、就学、不動産登記などです。
戸籍が無い人々の生活は壮絶です。2004年に「誰も知らない」という映画が話題になりました。戸籍が無い子どもの実態をリアルに描いています。彼らは、家庭に問題を抱えている場合が多いです。例えば親の離婚や貧困、DV、虐待などです。しかし戸籍が無いと学校へ通えません。行政も地域の目も行き届きません。すべてから見放されています。映画のタイトルの通り彼らの誰も知らない状態なのです。
戸籍が無いまま大人になってしまった人々はさらに過酷です。彼らは自分で銀行口座を作ることができません。またアパートや携帯電話の契約もできません。正社員になることも難しいです。常に誰かに頼らないと生きていけません。
他にも身分証となる運転免許やパスポートの取得も戸籍が無いと作れません。身分証が必要なクレジットカードやレンタルビデオ店の会員証も作れません。そのような不自由な生活を想像できますか?
無戸籍となってしまう原因は彼ら自身のせいではありません。多くの場合が民法722条と親の離婚やDVによるものです。民法722条は嫡出推定について書かれています。それによると離婚後300日以内に生まれた子どもは元夫の子どもとしてしか出生届をだせません。
例えばある女性が元夫のDVから逃れて、その後知り合った他の男性との間に子どもが生まれたとき、女性は出生届を提出して戸籍を登録することを拒むことがあります。離婚の手続きが長引いて、離婚後300日以内に子どもが生まれたので、元夫の子どもとしてしか届け出ができないからです。それは元夫に居場所を知られないようにして身を守るための手段なのです。
民法が成立した明治時代には嫡出推定は子どもを扶養する父親を早く決めて、子供の身分を安定させるという目的がありましたが、現在では一部の子どもを困らせています。そもそも胎児がおなかの中にいるのは300日ぴったりではありません。それにDVは現在社会問題となっていますが、明治時代に作られた法律が効力を持ち続けているのはおかしいと思います。
他の原因は貧困やネグレクトによって、出生届が出されていない場合や、親に子どもの出生届を出す認識がないことが挙げられます。
親が戸籍制度に反対している場合もあります。戸籍制度は3か国でしか使われていません。日本と韓国と台湾です。
戸籍を登録するためには、基本的には生まれた時に親が出生届を提出するだけです。しかし、嫡出推定を覆すためには調停や裁判を起こす必要があります。それには多大な費用と労力がかかります。また推定される父親が生きている場合は、彼と会う必要があります。それを避けるために、戸籍を持てない人がいます。
親が誰だかわからない人もいます。捨て子は戸籍法57条によって市長が子供に名前を付け戸籍を作ることとなっています。戸籍を持たないまま大人になる人もいます。例えば親の知り合いに預けられたまま、親の行方がわからない人です。彼らが戸籍を作るには、自分の記憶だけを頼りに自分のルーツを探さなければなりません。自分自身で自分を証明するのはとても困難です。彼らの申請は却下されることが多いです。
彼らの支援が進む兆しがあります。戸籍が無くても、裁判所に届け出をだせば、住民票を発行できるようになりました。戸籍は国家の管轄で、住民登録は自治体の管轄なので、自治体が提供しているサービスを受けられるようになりました。学校へ通えます。国民保険に加入できるし、生活保護を受けることもできます。
しかし、それにも課題はあります。それは人々にあまり知られていません。しかも自治体によってはこのシステムが普及していないところもあります。自治体職員の認識の欠如によって、無戸籍の人が窓口に行っても、申請を断られてしまうことがあります。それにそれだけでは根本的な解決とはなりません。
一方で支援が進んでいる自治体もあります(岩手県一関市)
憲法は、人々の生存権や教育を受ける権利を保障しています。しかし無戸籍の人々は法律によって不利益を被っています。戸籍制度や民法722条を改正が必要だと思います。