性病が原因の帯下:下り物について
帯下(たいげ)の定義
外陰(がいいん:ヴァギナ)、腟(ちつ)、子宮頸管(しきゅうけいかん)、子宮腔(しきゅうくう)等の、女性の生殖器官からの分泌物(ぶんぴつぶつ)の量が、異常に増加し、不快感(帯下感)を感じるようになった時、帯下と呼びます。
帯下は、【こしけ】とか【おりもの】とも呼ばれます。
帯下の種類
帯下には、
- 生理的帯下=排卵時や妊娠時にみられる帯下
- 病的帯下=性病(性感染症)等による感染性帯下(病的帯下)
- 性病(性感染症)
- ホルモン分泌の低下や悪化による帯下(ホルモン失調性帯下)
- 腫瘍(がん等)
があります。
病院やクリニックで診察頻度の高いのは感染性帯下です。
生理的帯下
健康な女性の帯下は、白色で、多少ねばりけをともなうことはありますが、濁っていることはなく、外陰部にかゆみや痛みをともなうこともありません。
病的帯下
病的帯下の原因としては、性病(性感染症)、ホルモン分泌の低下や悪化、腫瘍(がん等)などが考えられます。
一番確率が高いのは、性病による感染性帯下です。
性感染症が原因の場合、帯下に黄色や緑黄色などの色がついていたり、悪臭がしたり、泡状だったりします。
また、腹部や外陰部などにかゆみや痛みをともなうこともあります。
性病が原因の感染性帯下の種類
感染性帯下の種類は、(腟帯下=ちつたいげ)、(頸管帯下=けいかんたいげ)、(子宮帯下=しきゅうたいげ)に分けられます。
性病の種類によって、帯下が発生する場所が違ってきます。
病的帯下(感染性帯下)の種類は、
- 腟帯下(ちつたいげ)=
- 腟トリコモナス症
- 腟カンジダ症
- 細菌性腟症
- 子宮頸管帯下(けいかんたいげ)=子宮頸管炎
- クラミジア感染症
- 淋菌感染症
- 子宮帯下(しきゅうたいげ)=骨盤内感染症
に分けられ、それぞれ病態が異なるので、検査方針、治療も違ってきます。
ちなみに、感染性帯下の場合、原因となる性病はどれも、細菌性の性病です。
つまり、抗生物質で、治療出来るということです。
いつか健康な赤ちゃんを産みたいなら、必ず検査しましょうね。
病院に行くのに抵抗があるなら、自宅で簡単に検査できますよ。
おススメは、この検査です。
クラミジア・淋病(淋菌感染症)・カンジダ・トリコモナス・梅毒・HIV(エイズ)~6項目検査セット
膣帯下
腟帯下の代表的なものは、腟トリコモナス症、腟カンジダ症、細菌性腟症で、それぞれに特有の検査法があります。
腟(ちつ)トリコモナス症
膣トリコモナス症が原因の、おりものの症状は特徴的です、悪臭が強く、黄色い膿(うみ)のようだったり、
あるいは、白色でさらっとしていたりで、、泡沫(あわのような状態)を伴うのが特徴です。
膣からの帯下になります。
腟(ちつ)カンジダ症
腟カンジダ症の帯下は、白くどろっとしています。
酒粕、カッテージチーズ、ヨーグルト、おかゆ、つぶした木綿豆腐のような、塊(かたまり)状のものが多く見られます。
子宮頸管帯下
子宮頸管帯下は、クラミジアか淋菌が原因で発症する子宮頸管炎が主です。
もっとも多い原因は、淋菌感染症(淋病)ですが、近年は、クラミジア感染症からの発症も増えていて、両方の性病に同時に感染していることも、珍しくありません。
通常は、頸管帯下の量が増えることで判断されますが、近年では、無症状感染が増えていて、他覚的所見に乏しいものも多くみられます。
子宮頸管炎の帯下は、淡黄色または帯黄白色です。
ねばねばして、膿(うみ)のようなおりものが、多く見られます。
子宮腟部は、発赤、充血し、多くはびらんをみます。
子宮帯下
子宮帯下は、骨盤内感染症によって起こります。
子宮帯下の場合は、頸管帯下のようにはっきりとしたものはなく、子宮頚管を通り、膣から出てくるので、通常、頸管帯下、腟帯下と混在して現れ、区別がつきにくくなります。
子宮帯下かどうかは、病原検査(核酸増幅法など)のほか、子宮内培養が診断上の必須検査となります。
骨盤内感染症
骨盤性炎症性疾患(こつばんないえんしょうせいしっかん)とも、呼ばれます。
クラミジアや淋菌、好気性菌、嫌気性菌による子宮内膜炎や、子宮付属器炎(卵管炎、卵巣炎)、骨盤腹膜炎等の、女性の骨盤内に起きる、複数の病気の総称的な呼び方です。
原因となる、細菌が膣から子宮頚管を通り、子宮内膜や卵管や卵巣へと女性の体内を上っていくことで、起こります。
一番多い、原因は、性器クラミジア感染症です。
また、淋病(淋菌感染症)からの発症も、あります。
膣帯下の比較
見た後に、具合が悪くなりませんように・・・アーメン。。。
細菌性腟症
細菌性膣症は、性感染症の一種ではありません。
女性のアソコの中は、普段は、乳酸菌によって強い酸性に保たれていて、大腸菌や雑菌が繁殖しないようになっているのですが、
- セックスのし過ぎ
- ウォシュレット等での膣の洗い過ぎ
- 抗生物質等の化膿止め薬の飲み過ぎ
- 過労
- ストレス
- タンポンの抜き忘れ
等が原因で、膣内の環境のバランスが崩れると、発症します。
膣からの帯下になります。
細菌性膣症は魚臭帯下と呼ばれる、悪臭の強いオリモノが特徴です。
その悪臭の為に、性病ではないかと疑われてしまうこともよくあります。