カンジダ症には色々有ります。
カンジダはカビ(真菌)の一種で、100種類程の菌種が知られています。
性器周辺や口腔内、爪の周辺等、人の体のあちこちに普通に存在している菌で、常在菌と呼ばれます。
健康な時には、免疫機能により増殖しませんが、体調の悪化などで免疫力が落ちると、繁殖して感染症を起こすことになります。
また、糖尿病、ステロイド剤の投与などが原因で、症状が出ることもあります。
発症する場所により、皮膚カンジダ症、爪カンジダ症、口腔カンジダ症、粘膜カンジダ症等、色々あります。
悪性腫瘍やAIDSなど、免疫力が低下した患者では、内臓で発症するカンジダもあります。
性器カンジダ症は、カンジダという真菌が性器に感染して生じる感染症です。
通気性が悪い場所を好む菌なので、女性の方がなりやすい性病です。
女性の膣(ちつ=ヴァギナ)に感染した場合、カンジダ膣(ちつ)炎または、
膣カンジダ症(Vaginal thrush、又は、Vaginal candidiasis)と呼ばれます。
また、膣と外陰部に同時に症状が現れた時には、外陰膣カンジダ症(外陰炎)と呼びます。
男性では、包茎の場合に、発症しやすくなります。
亀頭や包皮につぶれやすい小さい膿(うみ)を持った発疹ができたり、
かゆみや皮膚の一部がかぶれたように赤くなると、カンジダ性の亀頭包皮炎と呼ばれます。
発症の原因はセックスによる感染とは限りません。
疲労や、ビタミンの不足、欠乏等によって免疫力が低下した時にも、発症することもあります。
また、常に身体に存在している菌なので、性器からカンジダが検出されたからといって、
性器カンジダ症を発症しているとはいえません。
腸管などに感染したカンジダが、肛門から陰唇や腟に感染して症状がでることもあります。
予防の為だと、性器を石鹸で頻繁に洗ったり、ウォシュレットで膣を洗浄のしすぎると
良い菌(あるいは必要な菌)まで洗い流してしまうので逆効果です。
常在菌として存在していたカンジダ菌が増殖する場合
1.過労、ストレス、体調不良等によるカンジダ菌の異常繁殖
体力・免疫力が落ち、菌に対する抵抗性が低下すると、常在菌が異常増殖します。
乳幼児や老年者では免疫力の低下などにより、口腔カンジダ症やカンジダ性口内炎を起こすことがあります。
2.月経前(黄体期)、妊娠中、ピルの服用
女性の膣内は普段乳酸桿菌の作用により酸性の粘液で保護されていて、必要以上の常在菌の増殖を抑えていますが、
ホルモンバランスの変化により膣粘液の自浄能力が低下すると、常在菌が異常増殖する場合があります。
3.抗生物質の服用
抗生物質によって普段性器を守っている善玉菌など他の細菌が死滅すると、
体内の菌の力関係のバランスが崩れ、カンジダが異常増殖する場合があります。
4.陰部の蒸れ(むれ)による場合
通気性の悪い下着や衣類の着用は、適度に温かく湿気の多い環境を作り、カンジダ菌にとって格好の繁殖場所となります。
男性の包茎もカンジダにとって居心地の良い住処になります。
性行為(セックス)によって感染する場合
性器(特に膣=ヴァギナ)にカンジダが増殖している時に、コンドームを使わずにセックスをすると、
相手に感染しやすくなります。
また、フェラチオ、クンニリングス、リミング等のオーラルセックス(口腔性交・口淫)の際に、舌や唾液を媒介にして
感染することもあります。
男性の症状
男性の場合、症状が出ないことも多く、強い自覚症状はありません。
女性の症状
口腔内の症状(男女共)
もともとカンジダ菌は口腔内に存在するとも言われています。
口腔カンジダ症やカンジダ性口内炎により、口の中が炎症を起こすことがあります。
検査の時期・タイミング
潜伏期間:感染してから症状が出るまでの期間はさまざまです。
カンジダ菌は常在菌なので、菌が検出されるだけでなく、
かゆみやおりものなどの症状が認められた場合に、カンジダ症と診断されます。
ですので、何かしらの症状が出てから検査を受ける方が確実です。
検査の仕方と医療機関の受診科目
男性=泌尿器科・性病科
尿道からの膿(うみ)、陰茎(ペニス)の皮膚の重なった部分(包皮)擦過物等を、顕微鏡で確認します。
女性=婦人科・性病科・(産婦人科)
検査は、膣内の擦過物(こすりとったもの)や膣からの分泌物
検査費用
健康保険が使えない場合のおおよその金額は
診察料 3,000~5,000円
検査代 4,000円
保険が使えるなら、3割負担になりますね。
ところで性病検査に健康保険は使えるの?
治療の仕方と治療期間
エンペシド、フロリード、アデスタン、オキナゾール、クロトリマゾールなどのイミダゾール系抗真菌剤で治療します。
抗生物質、ステロイド、免疫抑制剤では悪化します。
*男性の場合は、性器に塗る薬(軟膏・クリーム)を使います。
*女性の場合は、腟に入れる薬(膣剤=膣座薬)を使います。
1週間程度効果が持続するタイプと、毎日挿入するタイプとがあります。
女性の場合は通院して、腟洗浄などの治療も受けます。
☆ 膣洗浄
膣内で増殖した菌を洗い流して症状を鎮め(しずめ)ます。
ただし、日ごろから、あまり膣内を洗浄し過ぎると、善玉菌まで洗い流してしまい、
逆に感染症発生の原因になる可能性があるので、医師の指示に従いましょう。
*飲み薬(内服薬)
ビタミン剤と乳酸菌整腸薬等の経口薬を使用します。
カンジダの治療薬は薬局でも市販されていますが、症状が改善されなかったり、
悪化するようでしたら、ただちに医療機関で医師の診察を受けましょう。
治療期間
症状は2~3日で軽くなりますが、完全に治すには、約1~2週間の治療が必要です。
かゆみやおりものなどの症状が無くなれば、治ったことになります。
症状が続く、あるいは一旦自然に症状がなくなっても、また再発します。
ほっといても治ることはありません。
日ごろの予防方法
再発を繰り返す原因や発症のきっかけとして、風邪、疲労、ストレスなどで免疫力が低下や
ステロイド剤、抗生物質の濫用や妊娠などがあげられます。
栄養状態を改善し、バランスのとれた食生活を心がけ、カンジダ菌の生息しにくい身体環境を作ります。
通気性の悪い下着、パンスト、きついガードル、ジーンズなどを避けることも大切です。