細菌とウイルスの違い
細菌とウイルスの様々な違い
大きさの比較
細菌は普通の顕微鏡(光学顕微鏡)で見える大きさです。
ウイルスは電子顕微鏡でないと見えない大きさです。
つまり、細菌よりウイルスの方が小さいと言うことです。
ウイルスの大きさは、20~100nm(ナノメートル)
細菌の大きさは、1~5μm(マイクロメートル)
1000ナノメートル=1マイクロメートルです。
ちなみに、マイクロメートルは、以前は、ミクロンと呼ばれていた単位です。
計測単位
1m(メートル:メータ)
1mm(ミリメートル:ミリメータ)
1μm(マイクロメートル:マイクロメータ)
1nm(ナノメートル:ナノメータ)
1m=1000mm⇒【メートル】の千分の一が【ミリ】
1mm=1000μm⇒【ミリ】の千分の一が【マイクロ】
1μm=1000nm⇒【マイクロ】の千分の一が【ナノ】
肉眼で見える大きさの限界⇒0.2mm=200μm
大腸菌の大きさ⇒0.002mm=2μm
つまり、大腸菌の大きさは、肉眼で見える限界の、百分の一と言うことです。
大腸菌の大きさ⇒2μm=2000nm
ノロウイルスの大きさ⇒0.025~0.035μm=25~35nm
つまり、ノロウイルスの大きさは、大腸菌の約百分の一と言うことです。
光学顕微鏡で見える限界は、200nm(ナノメータ)です。
なので、大腸菌(2000nm)を見る事が出来ます。
しかし、ノロウイルスの大きさは、25~35nmなので、電子顕微鏡じゃなければ、見る事が出来ません。
今は、家電製品等で良く使われる、【ナノ】と言う単位は
【ミリ】の1/1000(千分の一)にあたる、【マイクロ】の、そのまた1/1000(千分の一)
つまり、【ミリ】の1/1,000,000(百万分の一)になります。
多くの細菌は、【マイクロ】の世界にいます。
【ミリ】の1/1000のサイズの世界ですね。
ウイルスがいるのは、【ナノ】の世界、つまり、細菌よりも、さらに、1/100~1/1000も小さな世界に住んでいるわけです。
ウイルスと細菌の構造の違い
細菌とは、一般に 『ばいきん』 とも言われている微生物です。
細菌は細胞を持っています。
ただし、一つの細胞しか持っていない単細胞生物です。
ウイルスは細胞を持っていません。
蛋白質の外壁と内部に核酸(DNA、RNA、つまり遺伝子)を持った単純な構造体です。
そして、ヒトや動物の細胞に入り込むことで、生命を維持します。
細胞に取り付くため、ウイルスが小さいのは当然ということです。
細菌とウイルスの増え方の違い、増殖の仕方
細菌は自分で増殖する能力を持ちます。
栄養・水分・温度があればいくらでも子供を増やせます。
細菌は、人間の体内に入ると咽喉や肺などの呼吸器、胃や腸などの消化器、
膀胱や尿道などの泌尿器など、好みの臓器・組織に定着して増殖します。
ウイルスは自分自身では増殖できません。
ウイルスは、細胞がないので、人の細胞の中に侵入し、その細胞に、自分のコピーを作らせます。
そして、生きている細胞の中でしか、増殖出来ません。
ウイルスは、寄生した細胞の中に、コピーが大量に作られ、その細胞が飽和状態で破裂する事で拡散します。
拡散したウイルスは、他の細胞に入り込み、同じ事を繰り返す事で、増殖します。
人体への影響・被害
細菌は、分裂、増殖を繰り返していく際に作り出す毒素で、人間の細胞の働きを止めたり、細胞を殺したりします。
ウイルスは、入り込んだ細胞を自分のコピーでいっぱいにして、細胞を破壊します。
代表的なウイルス・細菌・真菌(かび)
代表的なウイルス
ヘルペスウイルス、HIV(エイズの原因ウイルス)、HBV(B型肝炎の原因ウイルス)、HCV(C型肝炎の原因ウイルス)、HPV(ヒトパピローマウイルス)、成人T細胞白血病(ヒトTリンパ好性ウイルス)、サイトメガロウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、 コロナウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、肝炎ウイルス、etc
主なウイルス性感染症
感染性胃腸炎、インフルエンザかぜ症候群、麻疹、風疹、水痘、肝炎(A型、B型、C型など)、帯状疱疹、エイズ、etc
代表的な細菌
クラミジア、梅毒トレポネーマ、淋菌、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌、コレラ菌、赤痢菌、炭疽菌、結核菌、ボツリヌス菌、破傷風菌、レンサ球菌 、etc
主な細菌性感染症
性器クラミジア感染症、梅毒、淋病(淋菌感染症)、感染性胃腸炎、腸管出血性大腸菌(O157)感染症、結核、破傷風、敗血症、外耳炎、中耳炎、etc
代表的な真菌(カビ)
真菌(かび)は、人の細胞に定着し、菌糸が成長と分枝(枝分かれ)によって発育していきます。
酵母細胞では出芽や分裂によって増殖します。
白癬菌、カンジダ、アスペルギルス、etc
主な真菌性感染症
白癬(水虫)、カンジダ症、アスペルギルス症、etc
クラミジアは細菌?ウイルス?
クラミジアは、ちょっと特異な病原体です。
「細菌とウイルスの中間」とも言われています。
クラミジアは、微生物学的には細菌に分類されますが、普通の細菌とは違い、生きる為に自分以外の生物の細胞を必要とします。
つまり、ウイルス的なのです。
ですが、ウイルスは抗生剤・抗菌剤が効きませんが、クラミジアは増殖を繰り返す一時期において、クラリスなどの抗生剤が効きます。
つまり、細菌的なのです。
こうした、ウイルス的要素と、細菌的要素を合わせ持った病原体のことを、偏性細胞内寄生体と呼びます。
偏性細胞内寄生体(obligate intracellular parasite)
リケッチア、クラミジアに代、ウイルスが代表的な偏性細胞内寄生体です。
別の生物の細胞内でのみ増殖可能で、 細胞外では増殖できない微生物のことです。
特に真正細菌のグループに属するものを偏性細胞内寄生菌と呼びます。