残念なことですが、体内からHSV(単純ヘルペスウイルス)を、完全に排除することが出来る抗ヘルペスウィルス薬は、まだ、開発されていません。
HSVは逃げ足が速くて、病変が出現した時には、すでに神経節に潜伏感染してしまいます。
ですので、いずれは再発することを、避けることはできません。
また、アトピー性皮膚炎の患者のように、バリアー機能が低下している人や、外陰部に皮膚炎等の病変を持っていると、性器ヘルペスに、感染しやすくなります。
抗HSV薬には、アシクロビル、バラシクロビル、ビダラビン、イドクスウリジン等があります。
現在、最も使われているのがバラシクロビルです。
性器ヘルペスのおすすめ治療薬~アロシクビルとバラシクロビル・・・どっちが良いの?
初発時の治療法と治療薬
性器ヘルペスは、初感染初発の場合、抗ウイルス薬による治療をしなくても、約3週間で自然に治癒します。
抗ウイルス薬を、適切なタイミングで、始めれば、大体1週間くらいで、治ります。
症状に応じて、経口、静注共に投与期間を10日間まで延長します。
重症の場合は、静脈注射用のアシクロビル5mg/kg/回を1日3回、8時間ごとに、1時間以上かけて7日間、点滴静脈注射します。
脳炎や髄膜炎を合併した時は、アシクロビル5~10mg/kg/回を1日3回、8時間ごとに1時間以上かけて、7日間点滴注射します。
再発時の治療法と治療薬~エピソード療法
エピソード療法とは、再発の最初の徴候が出た時に開始し、その後数日間続ける治療法です。
ただし、症状を緩和したり、抑えたりすることは出来ますが、再発を防ぐことは出来ません。
発症してから、24時間以内に服用を開始しないと、有効な効果が得られません。
また、再発の前駆症状である、局所の違和感や神経痛のような疼痛がある時点で服用を始めると、病変の出現を予防できることがあります。
軽症の場合は
病変が小さく、症状も極く軽い再発の場合は、ビタラビンやアシクロビル含有軟膏の塗布でも大丈夫です。
ただし、これらの軟膏は、病変局所(症状があらわれている場所のみ)にしか効果がありません。
HSVを、身体から完全に排除出来るような力はありません。
再発時の治療法と治療薬~発症抑制療法
発症抑制療法とは、1年間に6 回以上再発する患者に、行うことが推奨されている治療法です。
数カ月にわたって、毎日抗ウイルス薬を服用することで、ウイルスの複製を停止させ、発症を予防したり、遅れさせたり、再発回数を減らす効果があります。
抑制療法中でも、再発する人は、症状に応じて、1回250mgを1日2回または、1000mgを1日1回増量します。
HIV感染者(エイズ)には、成人では、バラシクロビル500mgを1日2回経口投与します。
免疫不全を伴う重症例の場合は、注射用アシクロビル5mg/kg/回を1日3回、7~14日間投与します。
アシクロビルは6年に渡り長期服用しても、副作用がほとんどないとされています。