性器クラミジア感染症
性器クラミジア感染症は、クラミジア科の細菌の中の一種のクラミジア・トラコマティス( Chlamydia Trachomatis )によって起きる
性感染症(性病)です。
性器クラミジア感染症は、あらゆる性行為が感染源となります。
クラミジアは細菌?ウイルス?
クラミジアは、ちょっと特異な病原体です。
微生物学的には細菌に分類されますが、普通の細菌とは違い、生きる為に自分以外の生物の細胞を必要とします。
つまり、ウイルス的なのです。
ですが、ウイルスは抗生剤・抗菌剤が効きませんが、クラミジアは増殖を繰り返す一時期において、クラリスなどの抗生剤が効きます。
つまり、細菌的なのです。
こうした、「細菌とウイルスの中間」とも言える
ウイルス的要素と、細菌的要素を合わせ持った病原体のことを、偏性細胞内寄生体と呼びます。
偏性細胞内寄生体(obligate intracellular parasite)
リケッチア、クラミジアに代、ウイルスが代表的な偏性細胞内寄生体です。
別の生物の細胞内でのみ増殖可能で、 細胞外では増殖できない微生物のことです。
特に真正細菌のグループに属するものを偏性細胞内寄生菌と呼びます。
日本におけるクラミジア感染者数は100万人以上と推定されています。
男性・女性ともに、自覚症状がない場合が多く、
しかも、潜伏期間つまり発症までの時間が2~3週間と長いので
その間に、相手にうつしてしまうことが珍しくありません。
性器クラミジア感染症の特徴
- 感染者との性行為、粘膜同士の接触や、精液、腟分泌液を介して感染します。
- 男女間でお互いに感染させるいわゆるピンポン感染があるため、両者の治療を同時に行うことが重要です。
- オーラルセックス(フェラチオ・クンニリングス・リミング=肛門部への口舌愛撫)により、咽頭(のど)へも感染します。
- クラミジアに感染していると、HIV(エイズウイルス)への感染が3~5倍になります。
- 10代、20代の女性の患者数が増加しており、オーラルセックス(口腔性交)による咽頭への感染が増えています。
男性の自覚症状
男性が主に感染するところは尿道で、尿道炎や精巣上体炎(副睾丸炎)等になることが多く見られます。
感染しても症状が出ないことが多く、治療せずに放っておくと、前立腺炎や血精液症になることもあります。
主な自覚症状
- 尿道からの分泌物(膿=うみ)
- 軽い排尿痛
- 尿道の痒み(かゆみ)や不快感
- 精巣上体(副睾丸)の腫れ
- 軽い発熱や痛み
女性の自覚症状
女性の場合は、子宮頸管 (子宮入口の管)から感染し、腹腔内に進入します。
子宮頸管炎、骨盤内付属器炎(PID)、肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症 候群)、不妊、卵管炎が原因の子宮外妊娠等になります。
淋菌との重複感染も多いです。
ただし、女性の半数以上が全く症状を感じないと言われています。
主な自覚症状
- おりものの増加
- 不正出血
- 下腹部の痛み
- 性交時の痛み
咽頭(のど)への感染(男女共)
オーラルセックス(フェラチオ・クンニリングス・リミング=肛門部への口舌愛撫)などにより、咽頭(のど)のクラミジア感染が増加しています。
咽頭炎、頸部リンパ節腫脹、慢性の扁桃腺炎になることもあります。
咽頭のクラミジア感染の場合も、症状が出ない場合が多いようです。
主な症状
- 咽頭(のど)の腫れや痛み
- 発熱
肛門(こうもん)・直腸(ちょくちょう)への感染
アナルセックスによって、肛門から感染することもあります。
肛門から侵入したクラミジアは、肛門から粘液分泌物を出したり、痒み、痛み等を誘導することもあります。
ホモセクシュアル・ゲイの男性が鼠径部のリンパ節および肛門周囲の領域に、深い炎症を起こすこともあり、鼠径リンパ肉芽腫(LGV)の原因になることもあります。
検査の時期・タイミング
淋菌性尿道炎に比べて潜伏期間は長く、2〜3 週間とされます。
病原菌そのものを調べる検査=【抗原検査】なので、『思い当たる日』から、2~3日たっていれば検査できます。
知らない相手とのセックス等で不安になったら、迷わず検査しましょう。
検査の方法と医療機関の科目
男性=泌尿器科・性病科
初尿(出始めのおしっこ)で調べます。
女性=婦人科・性病科・(産婦人科)
膣分泌液(子宮頸管からの分泌物)で調べます。
咽頭感染=耳鼻咽喉科
咽頭周辺のぬぐい液で調べます。
検査費用
健康保険が使えない場合のおおよその金額は
診察料 3,000~5,000円
検査代 4,000円
保険が使えるなら、3割負担になりますね。
ところで性病検査に健康保険は使えるの?
治療の仕方と治療期間
クラミジアに効果のある抗生剤を1日~1週間服用します。
以下の3種類の薬が主に使用されます。
- マクロライド系(ジスロマック、クラリス、クラリシッド)
- ニューキノロン系(クラビット、オゼックス、トスキサシン、ガチフロ)
- テトラサイクリン系(ミノマイシン、ビブラマイシン)