性器ヘルペス感染症は、単純ヘルペスウイルス(HSV=Herpes Simplex Virus)が、引き起こす、感染症です。
性器ヘルペスに感染すると、性器やその周辺に水疱(すいほう)や潰瘍(かいよう)等の病変が形成されます。
感染症法下では、4類感染症定点把握疾患に分類されています。
抗単純ヘルペスウイルス薬(抗 HSV 薬)を使うと、
ウイルスの増殖を抑え、宿主(あなたです)の免疫力によって、一度は治癒(ちゆ)しますが、
ひとたび体の中に入り込んだヘルペスウィルスを、完全に排除(抹殺)してくれる薬は、現在のところ、開発されていません。
つまり、再発が繰り返されるのです。
感染の仕方・経路
性器ヘルペス感染症は、HSV(単純ヘルペスウイルス)に感染している相手とのセックス(性行為)によって起こります。
男性⇒女性
統計的に、男性から女性にうつしてしまうことが多いことが分かっている、性感染症です。
相手の性器に症状が見られる場合はもちろん、無症状でも性器の粘膜や分泌液中にウイルスが存在していれば、感染します。
また相手の唾液中にHSVが排出されている場合には、口唇性交(フェラチオ・クンニリングス等のオーラルセックス)によっても感染します。
抗ヘルペスウイルス剤を服用すれば、病変はいったんは治収まりますが、HSVは、一度感染すると神経節に潜伏し、時に再活性化し、その後、長年にわたって再発を繰り返します。
性器ヘルペスの特徴
単純ヘルペスウイルスの種類
生物学、化学、物理学的性状の違いから、
に分けられていましたが、近年は、オーラルセックスの普及?によって、1型と2型の境目が薄れつつあります。
口唇ヘルペスのウイルスがいる口で、フェラチオをすれば、性器ヘルペスにかかります。
HSVは外径120〜130nm の球状ウイルスで、ヘルペスウイルス科、アルファヘルペス亜科に属します。
外側から順にエンベロープ、テグメント、カプシド、コアの基本構造をもちます。
どちらも、局所粘膜(ペニス、バギナ、アヌス)から感染すると、増殖して局所に病変を形成し、同時に知覚神経を上行します。
に入った後、潜伏状態に入るのが特徴です。
宿主の免疫が低下する等の何らかの刺激があると、再活性化して神経を下行し、前とほぼ同じ場所にふたたび病変を形成します。
その間のメカニズムは明らかになっていません。
単純ヘルペスウイルスの臨床タイプ(感染と発症の種類)
初めて感染した場合を、「初感染:はつかんせん」と呼びます。
初めて症状が現れた場合を、「初発:しょはつ」と呼びます。
「初発」の後、いったんは消えた症状が、再び出現することを、「再発:さいはつ」あるいは「回帰発症:かいきはっしょう」と呼びます。
「初感染」の時には無症状だったものが、免疫機能の低下をきっかけに、潜伏していたHSVが再活性化され、症状が初めて出現する場合を「非初感染初発:ひはつかんせんしょはつ」と呼びます。
の3種類の臨床型に分けられます。
性器ヘルペスの潜伏期間・症状・出現場所~男性用 & 性器ヘルペスの特徴・潜伏期間・症状・出現場所~女性用
症状が重いのは?
もっとも症状が重くなるのは、急性型、つまり、『初めての感染』です。
感染後、2〜21日の間に不快感、掻痒感(そうようかん=かゆみ)等がでます。
その後、発熱、全身倦怠感、リンパ節の腫脹、強い疼痛等を伴って、浅い潰瘍や小さな水疱が急激に、多発的に出現します。
再発型は、心身の疲労、月経、性交その他の刺激が誘因となって起こります。
急性型に比べて、症状は軽く、病変は小さく、数も少なく、1週間以内に治癒することが多くなります。
再発の回数は月2〜3回から年1〜2回と様々です。
HSV‐2による場合の方がより再発しやすく、年齢が上がるほど、再発の回数は減少してくるのが 一般的です。
誘発型では、免疫低下の程度によっては、かなり高度の症状を呈します。
診断方法:検査の仕方
性器ヘルペスの検査方法