ヒトパピローマウイルス(HPV)は皮膚や粘膜に感染するウイルスです。
簡単に言うと、イボを作るウィルスです。
HPVには良性型・悪性型があります。
HPVは、性交歴をもつ女性の約60~80%に一生のうち少なくとも一度は感染するといわれており、
ほとんどの感染は一過性であり、感染しても、人間が本来持っている免疫力により自然治癒することが知られています。
といっても、消滅するまでに1~2年かかることもありますが・・・
HPVには沢山の型があります。
によって、約100種類の亜型に分類されます。
つまり、HPVには子宮頸がんを引き起こすものから、
男性のなりやすい病気として知られている「尖圭コンジローマ」(性器やその周辺に無数のイボが出来る病気)
皮膚に出来たりする小さなイボなど、色々あるわけです。
子宮頸がんの原因の約90%以上がヒトパピローマウイルス(HPV)とされています。
たくさんあるHPVの中で約15種類が、子宮頸がん(しきゅうけいがん)の原因となることが多いため、発がん性HPVと呼ばれています。
中でも、HPV 16型とHPV 18型と呼ばれる2種類は、子宮頸がんを発症している20~30代の女性の約70~80%から見つかっています。
子宮頸がん患者の90%からハイリスク型のHPVが検出されたことがわかっています。
ちなみに、子宮頸がんの死亡率は約30%。45歳以下の女性の癌死亡原因では乳がんに次いで多い数字です。
日本では毎年約7000人が子宮頸がんと診断され、約2500人が死亡、特に20~30代の女性にとても増えているのが現状です。
HPV(ヒトパピローマウィルス)の種類
ヒトパピローマウイルスは、大別すると、
1.皮膚に感染する皮膚型HPV
2.性器・粘膜に感染する粘膜型HPV
が、あります。
さらにこの2種のHPVには良性型・悪性型がそれぞれ存在します。
良性型=低リスク型(ローリスク型)
悪性型=中~高リスク型(ハイリスク型)
とも呼ばれます。
粘膜型HPVの中の悪性型(中~高リスク型)とは、子宮頸癌、肛門癌、外陰癌、膣癌、陰茎癌などの悪性腫瘍に至るタイプです。
皮膚型HPVの中で、良性型=低リスク型(ローリスク型)の代表的な性感染症が、尖圭コンジローマ(コンジローム)です。
子宮頸がんになるまでには、いくつかのプロセス、条件があります
1.性器・粘膜に感染する粘膜型HPVの中の悪性型に感染している
⇒中~高リスク型のHPVの感染が長期に及んだ場合を【持続感染】と呼びます。
2.持続感染の結果、子宮頚部の細胞に異常な変化が起きる事があります。
この細胞の変化を 【異形成】 といいます。
異形成は、まだ、がんではありません。
3.【異形成】が軽度から高度に進行すると・・・。
異形成になっても多くの場合、は自己免疫力によって、1~2年のうちに、ヒトパピローマウイルス(HPV)は自然に排除され、治癒します。
しかし、約10%の人は、ヒトパピローマウイルス(HPV)を自然に排除できず、
【異形成】が進行します。
4.高度【異形成】が前癌症状から癌になっていく
つまり、【持続感染】のHPVが【異形成】を起こし、免疫力による自然排除が行われない時には
平均10年以上の期間を経て、【異形成】の程度が軽度異形成から中等度・高度異形成へと長い時間をかけて進行します。
つまり、免疫力による、自然排除が行われないか、治療せずに放置した場合には、
前癌病変から子宮頸癌へと進行することになる訳です。
くどいですが、分かりやすく整理しましょうね。
粘膜型HPVの中の悪性型の持続感染⇒異形成⇒前がん病変⇒癌化となります。
つまり、子宮頸がんは、セックスによって感染させられ、癌化していくというわけだったのです。
ちなみに、良性型=低リスク型が進行すると、『コンジローマ』になります。
ちなみに、TVに良く出てるイタリア人は『ジローラモ』です。(汗)
どうやってHPVに感染するのか?
子宮癌に至るタイプのHPVは、粘膜感染型なので、主に性器の接触によって移っていきます。
症状はほとんどありません。
その為、検査をしない限り、自分がHPVに感染していることがわかりません。
そして、結果的にウイルスをセックスパートナーに、送り込んでしまうことになるのです。
セックスの経験がある女性の大多数は、一生のうちに一度はHPVに感染すると思った方が良いのです。
それが嫌なら、一生バージンでいる事になるのです。
また、妊婦がHPV感染者であれば、分娩時、赤ちゃんにHPVを送り込むことができます。
ただし、赤ちゃんにHPV感染が成立することは、とてもまれです。
ですが、もし、赤ちゃんにHPV感染が成立すると、赤ちゃんの咽頭や喉頭にイボができることになります。
悪性型(高リスク型)のHPVに感染するとどうなるか?
繰り返しになりますが、HPVというウィルスには沢山の型があります。
そして、ひとたび、子宮頚癌になってしまったら
子宮を切除し、子供が作れない体になるか、命を失うことになる訳です。
子宮頚癌の死亡率は約30%です。
子宮頸がん検査とHPV検査の違い
両方の検査を合わせて行うことで、現在のガンの有無と将来的な発がんの危険性を知ることができるのです。
HPV感染の治療方法
HPV感染そのものに対する治療方法は、有りません。
HPV感染によって現れた症状の治療方法は、有ります。
つまり、HPVによって出来た、イボや子宮頸部の前癌病変や癌の治療は出来ますが
ヒトパピローマウイルス自体を消滅させる治療方法は無いということです。
ただし、先述したように、多くの場合は、HPV感染はひとりでに勝手に治ってしまうので
イボの治療は、外用薬(5-FUやポドフィリン)を塗布する方法と、
レーザーや電気メスなどの機器を用いて、切除したり、蒸散させてしまう方法があります。
また、イボに対する免疫力を上げるために、内服薬を使うこともあります。
HPV感染の予防方法
根本的な予防法は有りません。
定期的な検診による、早期発見・早期治療が全てです。
子宮頸がん+ヒトパピローマウイルス(HPV:悪性型)のペア検査
え?ワクチンがあるはず?
はい、確かに有ります。
だいぶ問題を抱えているようですが・・・・