梅毒とは、病原体(スピロヘータ)の一種の、Treponema Pallidum(トレポネーマ・パリダム)というの感染により、
全身に障害を及ぼす感染症です。
症状の無い潜伏期と、症状が現れる顕症期が交互にやってきて、症状は現れるごとに深刻化してきます。
年々減少していた梅毒ですが、近年はまた、増加の傾向にあります。
HIV(エイズ)と同様に血液・精液・膣分泌液によって感染します。
母乳でも感染します。
性的感染
あらゆる性的行為が感染の可能性となります。
何らかの経路で、
感染している相手の体液が自分の粘膜に接触した場合
感染している自分の体液が相手の粘膜に接触した場合
には感染の危険があるということです。
体液=精液(ザーメン)、カウパー液、バルトリン腺液、唾液
粘膜=口腔内、膣、尿道、肛門、直腸
等々、いくらでも危険性は考えられます。
血液感染
梅毒感染者の血液が傷口や粘膜に触れることで、菌が体内に入ると梅毒に感染する可能性があります。
・梅毒の感染者からの血液の輸血や臓器の提供
・注射針の共用(麻薬の回し打ちなど)
母子感染
梅毒に感染した母親の妊娠・出産時・授乳によって子供に梅毒が感染します。
先天梅毒と後天梅毒があります。
先天梅毒は、母子感染による赤ちゃんの梅毒です。
妊婦検診が行われているため、現在では、年間に数名程度ではあります。
後天梅毒は4期に分類されます。
症状は 「3週間後」、「3ヵ月後」、「3年後」 と変わっていきます。
第1期~梅毒感染後:3週間から3か月まで
陰茎や陰唇等の性器、肛門、口など、菌が入った場所(感染した場所)に
小豆大~エンドウ豆大の軟骨のようにコリコリしたしこりが出現します。
これを、初期硬結(しょきこうけつ)と言います。
初期硬結はだんだん周囲に広がって硬くなり、中心に潰瘍ができます。
これは、硬性下疳(こうせいげかん)と呼ばれます。
いずれも痛みなどの自覚症状はありません。
しこりができてしばらくすると、太ももの付け根のリンパ節が腫れてきますが、押さえても痛みはありません。
これらの症状は放置しても2~3週間で自然に消えて、約3ヵ月後に第2期の症状が出るまで無症状となります。
もちろん、梅毒が治ったわけではありません。
症状が無いだけで、梅毒自体は進行しています。
第2期~梅毒感染後:3か月から3年まで
梅毒を治療しない限り、必ず第2期に突入します。
病原菌が血液に入り、全身に広がります。
様々な症状がみられます。
これらには、梅毒の原因菌のトレポネーマが非常にたくさん含まれており、強力な感染力が有ります。
また手の皮が薄くむけたり、手の人差し指の第二関節のところがえぐれて腐ったようになったり、異常脱毛が起きるのも、この頃です。
どれも、痛くも痒くも無く、2~6週間で消えてしまいます。
その後しばらく、無症状が続きます。
梅毒第2期を経過すると 数週間から数年間にわたる無症状の潜伏期に入ります。
この時期は血液検査のみが梅毒を発見できる方法となります。
第3期~梅毒感染後:3年から10年
皮下組織や内臓に固いしこりやこぶができます。
周辺の組織を破壊し、治ると痕(あと)が残ります。
結節性梅毒疹やゴム腫などと言われます。
一見体調のよい時期が数年間続きますが、皮膚や内臓で病気は静かに進んでいます。
第4期~梅毒感染後:10年以上
中枢神経梅毒、血管梅毒といった変性梅毒が発症し、脳や心臓、血管、神経、目などに重い障害が現れます。
関節炎や手足の感覚の喪失が起こる場合もあり、日常生活が営めなくなります。
しかし、現在では第3期以降の梅毒をみることは極めてまれです。
検査の時期・タイミング
症状は 「3週間後」、「3ヵ月後」、「3年後」 と変わっていきます。
感染が疑われる日から約1~2ヶ月後が目安です。
最低でも、4週間後以降に、梅毒血清反応検査が可能になります。
検査の時期が早すぎると、結果が陰性なってしまうことがあります。
検査の方法と医療機関の科目
梅毒の検査は血液の採取をして行います。
男性=皮膚科、性病科、泌尿器科
女性=皮膚科、性病科、婦人科(産婦人科)
検査費用
健康保険が使えない場合のおおよその金額は
診察料 3,000~5,000円
検査代 1500円
保険が使えるなら、3割負担になりますね。
ところで性病検査に健康保険は使えるの?
治療の仕方と治療期間
抗生物質の内服または、注射で完治します。
経口合成ペニシリン剤を、それぞれの症状に応じた期間、服用します。
病期によって異なります。
※服薬期間の目安