桧枝岐ドキュメンタ
三浦一壮(ISA F.HOUSE)
秘境といわれる大自然の中に、我々の身体を置くことだけでも、刺激的であることを、誰でもが感じているのではあるまいか? その一年に一度の「桧枝岐(*1)ドキュメンタ」の祭典が、今年もやって来た。
初期における我々の展望は、決して楽観的ではなかった。地味(東北的に)ではあるが、その充実度は毎年に深まっている。
都市から辺境への文化の引越ではなく、地方在住のアーティスト(*2)達との出逢いも、重要なモチヴェーションのひとつだ。
この6月に及川さんをはじめ、モレキュラー劇場(*3)のメンバーと共に、Kasselのドキュメンタ、ベルリン、ミュンスター(演劇祭)、ピナ・バウシュ展のヴッパタール、フラミッシュセンター(ヤンファーブルの発信地)のアルデンビルゼンと巡り、多くの出会いの機会を得た。
ヤンファーブル、ロバート・ウィルソン、ピナ・バウシュ、世界のトップを走る彼等の舞台が、刺激的魅力に充ちているのは、彼等自身が美術的コンセプトを持ったパフォーマーであることだ。
あらゆるジャンルへのオーバーヘッヂを可能にする桧枝岐パフォーマンスフェスティバルが、21世紀に向けての、新たなる磁場になり得ないだろうか?
(初出:「'87 パフォーマンス フェスティバル イン 檜枝岐」パンフレットより/1987.09.04-06)
採録者註
*1 原文ママ。正確には「檜枝岐」
*2 原文では「アーティス」
*3 原文ママ。正確には「モレキュラーシアター」