厚生労働省が、新卒採用の3年目までの退職率のデータを30年以上前から発表しています。
中学卒業で就職した人が3年目までにその会社を辞めてしまう割合が7割、高卒では5割、大卒で3割という時代が続いたので、3年目までの早期退職者が多い問題を「七五三現象」と読んでいました。
最近では中卒、高卒の3年以内退職は、改善され来ていますが、大卒者は新卒で就職した会社を3年以内でやめてしまう人がまだ3割以上(令和2年:31.2%)います。
この早期退職する問題の原因は、採用側である企業にもあるのですが、私は、学生側にもいくつかの要因があると考えています。その一つが、企業研究の方向性です。往々にして学生の皆さんは、「やりたいことができる企業」という視点で企業を選ぶことがあります。
最近は、「ジョブ型採用」と言って「職種を限定して学生を採用する」企業も増えてきましたが、まだまだ一部です。多くの企業は、採用後に様々な職場を体験してもらい、本人の適性を会社が判断して配属先を決めています。
採用された学生としては、やりたいことができると思っていたのに、できない、これからもその見通しが立たないと感じ、それならば、違うところへ再就職したいという思考になり、早期退職が増えるのだとわたくしは考えています。
この場合、退職する前に次の就職先が決まっていれば、まだいいのですが、多くの場合、退職してから次を探そうと考えます。
企業側は、このような早期退職者を第二新卒者としてとらえています。新卒に近い存在で、経験者とは認めていないことが多く、新卒とも中途採用とも別枠と考えます。
早期退職での再就職は、あまりメリットがあまりないと言えます。
そこで、私は、「やりたいことができる企業」という視点ではなく、「やりたいことが見つかる企業」という視点で企業研究をしてほしいと強く思います。
就職した企業で様々なことを経験し、学生時代に持った興味関心をさらに具体的な形としてどのように発展させられるかという視点で企業研究をしてください。