第21回 通崎睦美(木琴)
モッキンソロとリコーダーとのデュオ
2013年7月5日(金) 19:00開演
モッキンソロとリコーダーとのデュオ
2013年7月5日(金) 19:00開演
<木琴ソロ>
J.ファン・エイク:「笛の楽園」より
相馬地方民謡/野田雅巳編:相馬流れ山
沖縄民謡/港大尋編:ちんさぐぬ花
P.ソフィッチ/当摩泰久編:砂に消えた涙
T.B.ピットフィールド:ソナタ~独奏木琴のための より
鷹羽弘晃:木霊~独奏木琴のための(新作初演) 他
<木琴+リコーダー>
J.C.ノード:かるわざ師
野田雅巳:発明家
当摩泰久:斜面のクーラント 他
木琴:通崎睦美
リコーダー:本村睦幸(ゲスト)
マリンバではなくモッキン!
現代の日本で鍵盤打楽器といえば「マリンバ」が主流になっていますが、今回使う楽器は「木琴」です。多くの人に「木琴(Xylophone・シロフォン)」の高級な物が「マリンバ(Marimba)」だと誤解されているむきがありますが、本来この二つの楽器は、その音色もルーツも全く異なります。
明るく軽やかな音色の木琴は、ルネサンスの時代からヨーロッパで親しまれ、移民と共にアメリカへ。豊かな残響が特徴のマリンバは、アフリカから中南米経由でアメリカ合衆国へやってきたと言われています。100年少し前のアメリカ合衆国で、同じディーガンという人物により、それぞれの民族色を排除した現代のスタイルの楽器が開発され、両者は似たもの同士になりました。
とりわけ、1920~1930年代初めのアメリカでは木琴が大人気。当時、多くの優れた楽器が製造されました。しかし、その後、少し遅れて現れた、残響のみならず「見た目」も豊かなマリンバに、いつしかその座を奪われてしまいます。日本でも戦前・戦後しばらく人気を博した木琴ですが、60年代以降はマリンバ一色となりました。
今回使う木琴は、ご縁があって譲り受けた、往年の名木琴奏者平岡養一氏(1907-1981)の愛器、ディーガン社(シカゴ)「ディーガン・アーティスト・スペシャルNo.266」。アメリカ「木琴黄金時代」の終盤、ディーガン社の粋を集めて作られた1935年製(1962年に一部改良)のこの木琴の音色は、いさぎよい軽やかさと、時を経た味わい深さを合わせ持つ、大変魅力的なものです。
ソロでは、現在ほとんど弾かれることがない、この古い木琴「ヴィンテージ・ザイロフォン」の音色を、存分にお楽しみいただければと思います。
また、ゲストはリコーダー奏者の本村睦幸さんです。本村さんとは、私がこの楽器に出会ってから、楽器とレパートリーの「相性」を探る中で、知り合いました。木琴の音色には古楽が似合うのではないか、古楽ならリコーダーはどうだろう、と。「古楽」というキーワードから始まったデュオですが、最近は、現代の音楽にもレパートリーを広げています。
「木琴とたて笛」は、小学校の頃、誰もが一度は体験した組み合わせ。「どこか懐かしくもあり、新鮮」というのはあまりにありきたりの表現ですが、きっと文字通り、そんな響きに出会っていただけると思います。
通崎睦美
Xylophone solo and duo with Recorder
Friday, July 5, 2013 7:00pm
Xylophone solo
J.van Eyck: from "Der Fluyten Lust-hof"
Hiroaki Takaha: Kodama for xylophone solo (premiere)
+ Recorder
Naudot: Sauteuse
Masami Noda: INVENTOR for recorder and xylophone
Yasuhisa Tohma: Courante en pente
Mutsumi TSUUZAKI = Xylophone
Mutsuyuki MOTOMURA = Recorder (Guest)
通崎睦美(つうざき・むつみ 木琴)
1967年京都市生まれ。5才よりマリンバを始める。1992年京都市立芸術大学大学院音楽研究科修了。91年のデビューコンサート以降、自身でコンサートをプロデュースし、毎回新しい試みに取り組んできた。常に作曲や編曲の委嘱を活発に行い、独自のレパートリーを開拓。ピアノ、ヴァイオリン、アコーディオン、箏、リコーダーを始めとする様々な楽器やダンスとのデュオ、マリンバ・トリオ、室内楽やオーケストラとの共演など、多様な形態で演奏活動を行っている。
また、2005年2月、東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会(指揮/井上道義)で、木琴の巨匠平岡養一氏が初演した紙恭輔「木琴協奏曲」(1944)を平岡氏の木琴で演奏したことがきっかけで、その木琴と500曲以上にのぼる楽譜やマレットを譲り受けた。以後、彼の軌跡をたどりながら、木琴の新たな可能性を探る活動も始める。2007年7月林光「木琴協奏曲~夏の雲走る」初演。(下野竜也指揮、京都市交響楽団)。また9月にはリサイタル「平岡養一生誕100年記念 通崎睦美リサイタル」(浜離宮朝日ホール)を開催、その模様はNHK-BS「クラシック倶楽部」で放送された。
CDに「MUTSUMI~Songs from Asia」「M×PIAZZOLLA」「届くことのない12通の手紙」「1935」。
一方、2000年頃よりアンティーク着物の着こなしが話題となり、コレクションやライフスタイルが様々なメディアで紹介される。2004年から2005年にかけて、アサヒビール大山崎山荘美術館、他各所にて、着物から現代美術までの多彩な「好み」を集めた「通崎睦美選展~通崎好み」が開催された。著書に『天使突抜一丁目』(淡交社)「ソデカガミ~銘仙着物コレクション」(PHP研究所)「通崎好み」(淡交社)「天使突抜367」(淡交社)。
本村睦幸(もとむら・むつゆき リコーダー)
アムステルダム・スウェーリンク音楽院卒。W.ファン・ハウエらに師事。アムステルダムを拠点とする十余年に渡る活動を経て、2001年に帰国。リコーダー音楽が花開いたルネサンス・バロック時代の室内楽の楽しみを現代に活かすことを夢見て、愛好家の方々にとっての聴く喜び、奏でる喜びの双方を見据えた活動を展開している。
2009年には「東京リコーダー音楽祭2009」(読売新聞社主催)のディレクターを務めた。現在は、リコーダーに本来的な小さなサロンのあり方を探る〈小さな室内楽〉シリーズ、リコーダーの様々なレパートリーを網羅的に取り上げる〈本村睦幸リコーダーシリーズ〉を活動のベースにおき、あまり知られていない17、8世紀のレパートリーの開拓とともに、現代楽器としてのリコーダーの可能性を追求している。
CDに「オランダバロックの愉悦」、「バルサンティ:リコーダーソナタ全6曲」、「無伴奏リコーダー600年の旅」がある。