第6回 戸島さや野

ヴァイオリン・ソロ モノクロームのなかに無数の色を

2010年12月10日(金) 19:00開演

プログラム

テレマン:12のファンタジアより 第7番 変ホ長調

戸島美喜夫:ソナタ 「三つの声」- ソロヴァイオリンのための -(2010改作)

1. 遠くからの

2. 南の島からの

3. まわる風の

~ 休憩 ~

フェルドマン:アーロン・コープランドのために(1981)

バルトーク:無伴奏ヴァイオリンソナタ(1944)

1. Tempo di ciaccona

2. Fuga

3. Melodia

4. Presto

「すべてお好きなように」

ここ、ロゴバでの打ち合わせでその言葉をきき、まず最初に思い浮かんだ曲はバルトークのソロソナタでした。

この曲に夢中になっていたのは高校生のころ、あこがれが高じて技術レベルが満たないにも関わらずむりやり手を出したのをよく憶えています。

もともとバルトークという作曲家には思い入れがあり、私がもっとも好きな作曲家のひとりといえます。

この曲は難曲中の難曲、プログラムに取り上げるには勇気がいりますが、それでも常に挑戦したい作品であり、また、今後生涯を通じて弾つづけていきたいレパートリーのひとつでもあります。

プログラムは、このバルトークの無伴奏ソナタを中心に組み立てていくこととなりました。

テレマン(1681-1767)は生前、バッハよりもはるかに人気と知名度があった作曲家です。代表作に「食卓音楽」というものがあるせいか、イメージ的になんとなくこういうサロンのような場に合う気がします。12のファンタジアのなかでも、第7番は重音奏法がほとんどなく、現代のヴァイオリンでの演奏にも適している作品です。

戸島美喜夫(1937-)のソナタ「三つの声」は、もともとは1987年にビオラソロのために書かれたもの。今回のコンサートを機に、作曲者の手によってヴァイオリン用に改作されました。

フェルドマン(1926-1987)の「アーロン・コープランドのために」は、これまでまったく知らない作品でしたが、いちど音をきいてすぐに気に入ってしまいました。この作品は、たまたまプログラム構成に悩んでいるときに、本コンサートの実行委員の小沼純一さんから紹介していただきました。フェルドマンはユダヤ系アメリカ人の作曲家、題名の「アーロン・コープランド」という人もやはり20世紀のアメリカの作曲家です。

バルトーク(1881-1945)のソロソナタは、20世紀を代表するヴァイオリニスト、ユーディ・メニューインの委嘱によって作曲されました。'Tempo di ciaccona'(シャコンヌのテンポで) や'Fuga'(フーガ)など、題名からもバッハを思い起こさせられ、事実、バッハの無伴奏ソナタを模範としていたようです。また、バルトークは民謡を収集したことでも有名ですが、そういった色も感じられる作品です。

戸島さや野

11月と12月、ヴァイオリンのソロがつづきます。

おなじヴァイオリンでこんなふうにちがうのか、

というのをたしかめていただくいい機会かもしれません。

演奏家が、演奏が違うのはもちろんですけれども、

とりあげられる作品、プログラム構成がまるで違うのも聴きどころです。

一方だけではこのおもしろさは味わえません。

全4曲は、20世紀作品を中心をとしていながら、けっして難解にならない、

深みのある作品がならんでいます。

冒頭におかれるのは、テレマン。

J.S.バッハと同時代で、バッハとも親交のあった人物によるソロの作品。

かつてベルギーの名手グリュミオーが録音し、

愛聴された方もいらっしゃるのでは、とおもいます。

戸島美喜夫作品は、もともとヴィオラのためのソナタとして作曲、

このコンサートのために、ヴァイオリン用に手を加えられた作品で、

当然、この日が改訂版初演となります。

ジョン・ケージと親しかった、

アメリカの実験音楽の作曲家、モートン・フェルドマンの作品には、

きっと聴き手の方々は、じっと耳をそばだてることになるでしょう。

短く、音の数が少ない。弱音で、

絃に弓がおろされ、はなれるさまが、きっと、身近で感じられます。

正確ではありませんが、もしかすると、「日本初演」になるのかもしれません。

締めくくりのバルトーク作品は、

無伴奏ヴァイオリンのレパートリー中でも、突出した名曲として知られています。

それでいて演奏が難しいため、けっして多いとはいえないのですけれど。

作曲家は1945年、亡命地たるアメリカ合衆国において、白血病で亡くなります。

その前年、ユーディ・メニューインの委嘱、

またこの名ヴァイオリニストのアドヴァイスによって作曲された、

緊張感が持続しつづける、規模の大きな作品です。

小沼純一

The 6th Sayano TOJIMA

Violin Solo -- Myriad colors in Monochrome

Friday, December 10, 2010 7:00pm-

Program

Telemann: Fantasia Nr.7 Es-dur von 12 Fantasien fuer violine solo

Mikio Tojima: Sonate 'Three voices' for solo violin

1. From afar

2. From south island

3. From whirling wind

Feldman: For Aaron Copland for solo violin

Bartok: Sonata for solo violin

1. Tempo di ciaccona

2. Fuga

3. Melodia

4. Presto

'Do as you want'

Solo sonata of Bartok is the first piece that I recalled from this words at the meeting in ROGOBA.

When I was high school student, I was really crazy for this piece, and this made me trying to play it without enough technique.

I can say that Bartok is one of my favorite composer from the beginning.

Always I need courage to play this piece, just because it is one of the most difficult piece for violinist. But at the same time, I always want to try, and continue to play all my life.

Solo sonata of Bartok is the 'pillar' of this programming.

Teleman(1681-1767) was much more famous composer than Bach at that time. I feel that it would suit such a place ROGOBA like salon, just because he has composed 'Tafel musik'(Table music) which is one of important his work. Fantasia No.7 has a few chord, and I think it also suit for modern instrument.

'Three voices' of Mikio Tojima was composed in 1987 for solo viola. The composer arranged for violin for this concert.

About 'For Aaron Copland' of Feldman(1926-1987), I did not know at all, but I fell in love at onece when I listen this piece. Mr. Konuma a committee of this concert got me to know this piece. Feldman was born in Amerika, and 'Aaron Copland' who is in title is also American Composer in 20 century.

'Sonata for solo violin' of Bartok was composed one year before his death. Yehudi Menuhin who was a great violinist in 20 century commissioned him this work. 'Tempo di ciaccona', 'Fuga', these title remind us Bach, and actually, the model was solo sonata by Bach. Bartok is also known as collecter of folk music, and one can tell these color from this piece.

Sayano TOJIMA

戸島さや野(ヴァイオリン)

名古屋市生まれ。3歳よりヴァイオリンを始める。東京藝術大学を経て、同大学院修士課程を修了。2008年フライブルグ音楽大学ソリストコース修了。ドイツ演奏家国家資格を取得。

2003年シュポア国際コンクールにて最優秀現代曲賞を受賞。これまでに、佐々木はるる、瀬戸瑤子、和波孝禧、浦川宣也、N,チュマチェンコの各氏に師事。


Sayano TOJIMA (Violin)

Born in Nagoya. 1999-2005, studied at Tokyo National University of Fine Arts and Music, and graduate school. 2006-2008, studied at soloist course of Freiburg music college in Germany, got a Soloist diploma.

2003, got the prize for the best interpretation of modern work in 9th Ludwig Spohr international violin competition. Until now, studied under Haruru Sasaki, Yoko Seto, Takaya Urakawa, Takayoshi Wanami, Nicolas Chumachenco.