第1回 沢井一恵
アジアの絃~5つの類
2010年5月28日(金) 19:00開演
アジアの絃~5つの類
2010年5月28日(金) 19:00開演
1. 六段 八橋検校作曲(十三絃箏)
2. 畝火山 高橋悠治作曲(復元・五絃琴)
3. 神絃曲 三宅榛名作曲(復元・七絃琴)
4. 風がおもてで呼んでいる 高橋悠治作曲(琉球・三線)
5. 華になる 沢井忠夫作曲(十七絃箏)
独奏:沢井一恵
コンサートホールでは出来ない、何か面白そうな事がやれるかも知れない。外からガラス越しにROGOBAのギャラリーを覗いてそう思った。
そこで、ギャラリーに入らせてもらえる時に、殆ど音量のない幽けき響きしかない復元琴(中国、2500年前-孔子の時代の復元楽器)を持って行ってみた。なんと、聴こえるではないか!
立方体の箱だけのスペースなのに。
どうして?何故?すっかり興奮してしまった。
あちこちに、自在に置かれた様々な形をした存在感のある椅子。
それらを、厳しくもやさしい目で見つめて作っている職人の目の高い志。又、黙々と紡ぎ続けるKILIMの織り手の指先への集中。
それらが、気を放ち何でもないこの空間の密度を高いものにしているに違いない。そうとしか考えられない。
その場で即、演奏したい曲と、それぞれ演奏したい場所・配置・響くであろう音と体の流動まで含めて、瞬時にコンサート全体が自分の中で決まってしまった。
1. 日本のいわゆる伝統の箏(十三絃)を使って
2. 幽けき音の五絃琴(聴こえるかな~?)
3. 復元楽器(正倉院御物の琴)ながら、奏法によって空間を断ち切るシャープな音にもなる七絃琴
4. 絃ではあるが、箏属ではない琉球三線を使って
5. 野太い低音の十七絃箏
自分の中では完璧な内容となった。
『~復元楽器について~国立劇場が1975年頃から木戸敏郎氏によって“日本伝統楽器の源を辿ってみること”を目的とし、中国、周・漢代の王墓から出土した楽器、又、正倉院に残された各種、絃・管・打楽器類を復元しては、“その原初の音の模索と現代に於る創造”を現代作曲家に依嘱し続けた。箏音楽の伝統は約350年前から始まる。
その伝統と言う認識や、音楽の型に塗り固められる以前の箏への興味が募っていた私は、国立劇場での“復元楽器と現代の創造”に強い共感をもち、作曲家達が原初の調絃をも想像し決定してゆく過程も見せてもらいながら、毎年ワクワクと各種の復元楽器を演奏させてもらった。』
沢井一恵
Strings in Asia --- 5 kinds of Koto
Friday, May 28, 2010 7:00pm-
1. Rokudan [6 Steps] by YATSUHASHI Kengyo <13-string koto>
2. Unebiyama by Yuji TAKAHASHI <5-string zither/incantation>
3. Shingen-kyoku by Haruna MIYAKE <7-string zither>
4. Kaze ga omote de yonde iru [The Wind is calling me outside]
by Yuji TAKAHASHI (poem: Kenji MIYAZAWA) <ryukyu-sanshin /voc>
5. Hana ni naru by Tadao SAWAI <17-string koto>
Solo: Kazue SAWAII
沢井一恵(箏)
宮城道雄に師事。東京芸術大学卒業。沢井忠夫と共に沢井箏曲院設立。現代邦楽で活躍する一方、作曲家の一柳慧、打楽器の吉原すみれと結成した「トライアングル・ミュージック・ツアー」「沢井一恵・箏・360°の眼差し」、ジョン・ゾーン、高橋悠治プロデュースによるリサイタルなど多彩な実験的活動を展開。
NYのBANG ON A CANフェス、ウィーン、パリ市立劇場、メールスJAZZフェス(独)、ミュージック・アクション(仏)などより招聘を受け、各ジャンルでのコンサートを通し、古典に始まる日本伝統楽器としての箏と西洋音楽、現代音楽、JAZZ、即興音楽などとの接点を探求。その過程で出会った、ジョン・ケージ、ロシア人作曲家ソフィア・グバイドゥーリナとの共同作業、即興演奏を経て、箏コンチェルト(NHK交響楽団委嘱)へと発展、アメリカツアーを行う(NYカーネギー、ボストンシンフォニーホールなど全6公演)。
その後、ロシア国立管弦楽団との協演など世界中の音楽シーンで箏音楽の真価を問い続けている。
Kazue SAWAI (Koto Performer)
Kazue Sawai began studying the Koto at the age of 8 under the legendary Michio Miyagi, and is a graduate of the Tokyo National University of Fine Arts and Music.
In 1979 she and her husband Tadao Sawai established the Sawai Koto Academy. A leader of the contemporary Japanese music movement, she took a new and relatively unconventional approach to performing with an extensive Japan tour, playing anywhere, for anyone with an interest in the koto.
These early touring performances along with the "Triangle Music Tour" collaborations with composer Toshi Ichiyanagi and percussionist Sumire Yoshiwara numbered upwards of 70 stages.
Sawai's album with Ayuo Takahashi, Hiromi Ohta, and Peter Hamill, along with concerts and recordings produced by the likes of Yuji Takahashi and john Zorn, attest to the multifaceted approach she takes to her music.
Since 1989, beginning with New York's Bang on a Can Festival, Mrs.Sawai has performed at various music festivals throughout Europe and the Americas with venues including Vienna, the Mels Jazz Festival, and the Paris City Theater.
森枝繭子(オーボエ)
東京藝術大学卒業。在学中に安宅章を受賞。日本演奏家連盟新人オーディション合格。仙台フィルとコンチェルトを共演。東京文化会館新進演奏家オーディション合格。これまでに、宮崎、木曽、霧島、倉敷などの音楽祭や、サイトウキネンオーケストラに出演。紀尾井シンフォニエッタ東京メンバー。上野学園大学非常勤講師。
大澤昌生(ファゴット)
東京藝術大学卒業後、ウィーン国立音楽大学留学。82年日本音楽コンクール入選。スイス・ルツェルン交響楽団ファゴット奏者を経て帰国。新星日本交響楽団を 経て現在東京フィルハーモニー交響楽団首席ファゴット奏者。紀尾井シンフォニエッタ東京には創立時からのメンバーとして参加。"であるとあるで"メン バー。
彦坂仁美(歌役者)
東京音楽大学 音楽教育科卒業卒業後は、高校講師、ピアノ教師、伴奏ピアニスト等様々な音楽経験を経て、2001年オペラシアターこんにゃく座入座。
『あおくんときいろちゃん』、『どんぐりと山猫』(栗の木他)、『ロはロボットのロ』(ママ・モンロー、ジーン他)『まげもん』(船頭他)『夏の夜の夢~鳴呼、大正浪漫編~』(職人の州太郎他)などに出演。
佐藤久司(歌役者)
秋田県出身。東北大学工学部電子情報学科卒業。 大学時代に合唱団で活動したことがきっかけで歌うことにめざめ、黒テント俳優基礎学校を経て、2001年オペラシアターこんにゃく座に入座。
『ピノッキオ』のピノッキオ、『よだかの星』のよだか、『セロ弾きのゴーシュ』の三毛猫、『森は生きている』のカラス、四月の精の役等をつとめる。
萩 京子(はぎ きょうこ、作曲家)
東京出身。1978年、東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。1979年よりオペラシアターこんにゃく座の座付作曲家兼ピアニスト。1997年、音楽監督に就任。2004年、こんにゃく座代表に就任。作品としてオペラで『まげもん - MAGAIMON -』(2002)、『好色一代男』(2005)他。他ジャンルでも合唱曲『飛行機よ』(寺山修司・詩)、ピアノのための『12の前奏曲』、宮澤賢治の作品にもとづく作品群『よだかの星』など多数。