図1は一般会計の歳出と市税の推移のグラフです。
歳出、つまりかかるお金は増えている一方で、市税はここ15年ほど増えていないことがわかります。
そして、歳入の大きな部分を占めるべき市税は今後とも大きく増えないと予想されています。
図1 歳出と市税収入の推移
○今後の市税の予測
図2は市税収入の推移です。。
赤の線が給料などの所得にかかる個人市民税の推移。
□を結ぶ線が土地や建物などにかかる固定資産税と都市計画税の合計額の推移
▲を結ぶ線が法人の利益にかかる法人市民税の推移です。
個人市民税は平成19年度に増えましたが、これは税源移譲により国に払っていた税金の一部が市に移ったため。市民の所得の総額は平成10年ぐらいをピークに減っていること、今後も働く世代の人口が減っていくことを考えると将来的には減少する方向と思われます。
また固定資産税や都市計画税は土地の価格の影響が大きいです。長期的には人口は減り、地価は下がる方向と考えられるので、固定資産税も増えることはあまり期待できないと思われます。
また法人市民税は景気の変更を受けやすく、年ごとの変動が大きいため、あまり頼りすぎてはいけないと思われます。
このように、税の制度が大きく変わらない限り、将来にわたって税収の大きな伸びは期待できません。
図2 市税の推移
図3 目的別の歳出の推移
○今後の歳出の予測
一方歳出の方は今後さらに増えていくと予想されています。
図3は目的別歳出のグラフですが、民生費が明らかに伸びていることがわかります。
図4 高齢人口の予測
図4は日野市の高齢者の人口の予測です。日本は高齢社会になっていますが、その中で日野市もさらに高齢化が進むことが確実です。
最近10年間で65歳以上の人口は1万人程度増えましたが、今後10年でさらに1万人程度増えると予想されています。
高齢者が増えるということは介護保険や医療関係の歳出が増えることになります。
図5 年少人口の予測
また図5は子どもの人口の予測です。
一般に少子化といわれていますが、日野市内では大規模なマンション開発などがあり、ここ10年で小学生以下の未就学児や小学生の人口が増えてきました。
図6 小学生人口の分布の変化
図7 小学校の校舎の建設時期の分布
地域別に見ると(図6)、百草地区や程久保では学校がいくつもなくなるぐらい子どもが減っていますが、一方で万願寺周辺では増加していることがわかります。
日野市全体では、小学生の人数は20年前に比べ約2千人減っていますが、子どもの人口が減っても子どものための施設が足りない地域が出てくることになります。
また30年以上前に建設した学校の老朽化への対応が課題となっています。
日野市内の学校は、耐震化工事により大地震が起きても、崩壊しないようにはなっていますが、設備などの老朽化は進んでおり、今後リニューアルが必要といわれています。(図7)
このように、今後とも収入が増えることはあまり期待できないし、支出は増えるということで市の財政運営はより大変になることは確実な状況です。