○市の借金の概要
市の借金を通常市債といいます。市債とは市の債券。債券とは元本の返済や利子の支払を明確にして発行する証券のこと。
これをもっている人は利子を定期的に受け取ることができ、期日には額面の金額が支払われる。
つまり、お金を最初に調達して、将来一定の時期に利子と元本を払うことを示した証券であるので借金とよんでも差し支えないというわけです。
一般会計や特別会計、土地開発公社を合わせた日野市の借金は約926億円です(平成21年度末)。
市民一人当たりにすると約52.3万円になります。
昨年は943億円だったので約17億円減った勘定になります。
地方財政法第5条には「地方公共団体の歳出は、地方債(市の場合は市債)以外の歳入をもって、その財源としなければならない。」とあります。つまり原則は借金をしない、ということが定められています。
しかし、第5条には続きがあって、「ただし、次に掲げる場合においては、地方債をもってその財源とすることができる」
として、5つほどの列挙されています。
その主なものは公営企業の財源(図1でいえば市立病院や下水道)と公共施設の建設事業費です。
○なぜ借金をするのか。
借金自体は必ずしも悪いことではありません。
図2にみるように、長い年月にわたって使える施設は、その使える期間にわたって市民にメリットを生じます。
メリットを受ける将来の市民も負担をするのがより公平と考えられます。つまり、将来の市民は、借金を返済することで負担を行うのです。
このように、将来市民が使えるもののための借金が、地方財政法第5条で認めているものなのです。
したがって借金をするためには目的が決まっています。
図1で一般会計とあるものも実は区分けがされており、例えば学校建設のための借金なら「教育債」、道路を作るための借金なら「土木債」などと名前がついています。
さて、平成21年度末で一般会計の市債を残高が多い順に並べると
1.臨時財政対策債 117億円(前年+12億円)
2.土木債 72億円(前年+3千万円)
3.教育債 70億円(前年+1.3億円)
4.減税補てん債 56億円(前年-6.9億円)
5.公営住宅債 8.3億円(前年-8千万円)
以下、衛生債(8.0億円)、民生債(7.0億円)、総務債(5.8億円)、臨時税収補てん債(5.6億円)、消防債(1.3億円)
となっています。
残高トップの臨時財政対策債なのですが、これは実は公営企業の財源でも公共施設の建設事業費でもないものです。
その年の財源の不足分に充てるもので、建物など長い間使えるものではなく、その年のうちに消費してしまうもののための借金です。
専門用語でそのようなものを赤字公債と呼んでいます。
赤字公債は地方財政法ではできないことになっています。
それはなぜでしょう。
赤字公債は今年使うために借金をするものですので、現在の世代は自分が負担している以上の行政サービスを受けることができます。
しかし、その借金は将来の世代が返さなければなりません。将来の世代は借金の返済のために、受けられる行政サービスが犠牲になってしまいます。つまり、私たちの子どもたちの世代に”つけ”を残すことになってしまうのです、
というわけで、原則としてそのような借金をできないことになっているのですが、(特に国の場合は)景気対策などのため法律を定めて例外的に認められています。
その例外が実はいまや第1位になっています。ちなみに、4位の減税補てん債と臨時税収補てん債も赤字公債の一種です。
臨時財政対策債とは何かの説明は、非常に丁寧な説明が必要なので、右のリンクを参考にしてください。
猫の国に例えてわかりやすく、説明しています。
図1 平成21年度末の日野市の借金
図2 借金の意義
図3 赤字公債の問題