(前のコンテンツ:お金の使い方の決め方はこちら)
市の財政について話をする場合に、やはり国や都道府県との関係についてもお話をしなければなりません。
みんなからお金を集めて行政サービスをおこなっているのは市町村だけではないからです。
もちろん、国、都道府県、市町村は役割分担をしています。
基本的には、市が私たちの生活に身近な仕事を、都は広域的な仕事を、国は全国的な仕事や国際的な仕事をするということになっています。
具体的には、国が行う仕事の例としては、外交や防衛、年金があります。
都が行う広域的な仕事としては警察や運転免許などがあります。
このように、役割分担がはっきりしているものもありますが、同じような仕事を国と都と市がそれぞれ行っているものも多くあります。
例えば、道路の場合は市道は市が、都道は都が、高速道路や国道は国が担当します。
小中学校の場合は、国が教育内容を決め、都が先生の給料を支払います。
そして市は学校の建物を建てたり、管理をしたりします。
実際のところ、役割をうまく説明できないぐらい複雑なものもあります。
基本的な考え方としては、「私たちに最も身近な仕事は市の役割」といってよいのですが、実際の仕事の基準は国がかなりの部分を定めてしまっているケースが多く、悪く言えば市は国や都の下請となっている部分が少なからずあります。
実際に地方分権一括法が2000年に施行されるまでは、「機関委任事務」というものがありました。これは簡単にいえば「国の機関として自治体が処理をする事務」ということであり、自治体を国の手(脳みそは不要)とできる制度でした。
この機関委任事務が市の場合は40%を占めていたと言われています。
法律が変わっても残念ながら国や自治体の意識には機関委任事務の発想が大きく残っています。
また国の基準が全国一律に定められているため、それぞれの自治体の実情にそぐわない者が作られたり、同じようなところで国と市と県が同じことをしているため、無駄が生じたり、責任の所在がわかりにくくなるという問題が指摘されています。
このようなことから、地方分権改革会議や新政権下の地域主権戦略会議にて議論が進められていますが、中央官庁の抵抗や財源の分配などの調整の難航により、市民から見るとなかなか進んでいないように思われます。
(次のコンテンツ:財政規模)