○平成21年度決算
一般管理費に0.57億円。
多いのは2名分の人件費0.14億円、市施行以外の区画整理への補助金が0.41億円(平山0.25、日野台二丁目0.10、川辺堀之内0.08億)
市が施行する4つの地区の区画整理のうち
豊田南には9.92億円。うち職員7名の人件費に0.71億円。
最も多いのは新都市建設公社へ委託費8.24億円。
その他文化財発掘600万などもあります。
西平山には4地区で最大の10.28億円が使われています。
うち職員人件費は2名分 0.28億円。
同じく新都市建設公社への委託費が9.16億円と大半を占めています。
万願寺第二には2.34億円。人件費は2名0.16億円。
新都市建設公社への1.94億円が大半を占める。
東町には1.12億円。人件費は2名0.13億円
やはり新都市建設公社への委託費が0.87億円と大半。
図1 土地区画整理事業特別会計 平成21年度決算
歳入は国からが補助・負担金が多く13.45億円。
うち西平山に9.35億円。豊田に3.93億円。
国道部分の土地代が多いです。
東京都からは2.85億円。
一般会計からの繰入金が4.84億円。
基金からの繰入が2.1億円があります。
その他のうち、保留地処分金が4.87億円あります。
保留地については次以降の説明を参考にしてくださいね。
○土地区画整理事業とは
土地区画整理事業では図2左図のような道路が狭く敷地の形が整っていない市街地をAさんからEさんからまで、それぞれ土地を持っている人にその土地を少しずつ提供してもらいながら、広い道路や公園を作っていきます。さらに道路の下には下水道などのインフラを整備していきます。
これにより、環境のよい安全な街をつくることを目的としています。
土地を提供すると、損をしてしまうのではと思うかもしれませんが道路が広くなったり近くに公園ができたりするので、同じ面積あたりの土地の価値はあがります。したがって土地の価値は減らないことになっています。
また住んでいる人が、これまで住んでいた地域を離れずに、まちづくりを進められるというメリットがあります。
説明する一方で、デメリットとして一つ一つの建物や敷地を動かしながら、少しずつ事業を進めていくので完成までには長い時間と多額の費用がかかることがあります。
○日野市の土地区画整理事業
市が主体となって行っている土地区画整理事業は東町、万願寺第二、豊田南、西平山の4箇所です。 (既に終了しているものは除いています。)
図3 日野市が施行する区画整理事業
費用をみるとものすごい金額になっていますが、これは一つには長期間に渡る費用の合計が示されていること。(例えば豊田南の区画整理は30年かかる予定)もう一つは、市が負担する以外の費用も含まれていることがその理由です。
○事業計画
さて、図3の金額はどこに載っているかというと、土地区画整理事業の事業計画に乗っています。
土地区画整理事業は「土地区画整理法」という法律に基づいて実施されますが、この法律の第52条では
「市が区画整理事業をするときは事業計画を定め、都の認可を受ける必要」があると定められています。 事業計画は、事業の最初から終わりまでの全体のお金の流れと事業の内容をまとめたものです。
市が行う土地区画整理事業の事業計画は「市政図書室」で閲覧することができます。
○区画整理の歳出の内容
それぞれの区画整理事業でどのようなことに費用がかかっているかを示したのが図4のグラフです。 その構成比率は4つの区画整理事業でそれほど大きな差はありません。
「移転」のための費用がもっとも多く事業費の40~55%となっています。
移転とは建物や立木や墓地を移転する費用。区画整理事業は敷地の整理にあわせて建物を少しずつ動かしていく(建替含む)ので、そのための費用の割合が多くなります。
「築造」というのは、道路や公園を作るための費用、これが全体の15~20%。 「調査設計費」というのは、測量や調査、道路や宅地の設計(用地交渉などの費用が含まれるかは不明)で、これが約20%となっています。
図4 区画整理事業の事業計画(歳出の割合)
○区画整理の財源の内容
図4と違い、図5では各事業ごとに構成割合が大きく違うことがわかります。
「保留地」と「公管金」という言葉がわかりにくいので説明したのが下の図。
図5 区画整理事業の事業計画(歳入の割合)
(クリックするともう少しちゃんと見えます。)
区画整理事業では、事業前と事業後の宅地の価値は基本的に同じになります。 道路などができると面積あたりの価値が高まります。
事業前の宅地を同じ価値の土地に置き換えるとそれぞれ小さくなるので、道路や公園の土地を提供しても、事業区域全体としてみれば余る土地がでてきます。
その土地を保留地といい、これを売却して事業費の一部に充てます。
古い区画整理事業の本を見ると、基本的に保留地を売却して区画整理の費用を賄うようなことが書いてあったような気がしましたが、実際には上のグラフにもあるように保留地で賄えるのは2~3割です。
公管金は、上図にもあるように、「国道や都道の土地代の負担金」です。
以下地区ごとに簡単に特徴を
○豊田南:国庫補助金の割合が多い。そのほかは保留地、日野市、東京都で均等。
○万願寺第二:東京都の割合が多い。国の割合がほとんどない。
○東町:保留地・日野市・東京都がおおよそ均等。
万願寺第二と東町で東京都が多いのは、モノレールの敷地にあたり、開業にあたり東京都が積極的に支援したためと思われます。
○西平山:公管金が約50%を占める。これは区域内を国道が通る予定であるため。
○事業計画の課題
当然のことながら、区画整理事業にかかった費用は誰かが負担しなければなりません。他の財源が減ればその分は事業施行者である日野市の負担になるということになります。
例えば、保留地は民間に売却しますが、売却できる価格はその時点の景気状況などに左右されます。
想定より売却価格が低ければその分市の負担は増えます。
事業計画上の保留地の価格は
豊田南20.5万円/㎡
万願寺第二26.9万円/㎡
東町 22.5万円/㎡
西平山23.6万円/㎡ です。
ちなみに平成22年度の路線価は豊田駅前で22~25万円、万願寺で一番高いところ(いなげやの前)で20万円弱。 路線価は公示地価の8割になっていますが、バブル崩壊後は時価が路線価割れをするところもあるようです。
また西平山の区画整理事業の財源の半分を占める公共施設管理者負担金の相当部分は道路特定財源になっています。
一般財源になってもこの事業が必要ということであればもちろんお金は出るわけですが、これまでのように優先的に確保されているということはなくなるということになります。
つまり、国の動向によって区画整理事業の進捗が大きく左右されやすくなっています。
豊田南地区も財源の3割を占める国庫補助のうちに相当道路特定財源が入っているため、似たような状況にあります。
図6 区画整理事業のバランス