○概要
民生費とは主に福祉のための費用です。細かく見ていくと福祉といえなそう部分もあるのですが。
日野市では民生費を大きく社会福祉費、児童福祉費、生活保護費の3つに分けています。
社会福祉費は”児童福祉費と生活保護費以外は全部”の民生費です。
主なものとしては高齢者や障害者の福祉の費用があります。平成21年度は定額給付金も含まれています。
昨年度との比較で大きく違うのはその他の福祉の部分。
前年の倍近くなっていますが、これは定額給付金が26.6億円あるためで、平成21年度の特殊事情ともいえます。
その他で大きい差異は、生活保護費が3.3億円(10%以上増加)増えたこと。
日野市事務報告書によると、平成21年3月時点での被保護世帯(生活保護を受けている世帯)数は1311世帯。人員は1818人となっています。
これは、前年3月の1178世帯、1641人に比べ、それぞれ133世帯(11%)、177人(11%)増えています。
(ちなみに、対象者一人当たり約168万円の費用という計算になります。)
生活保護費のうち事務費以外の部分の75%は国が負担、残りの25%は市の負担となっています。
高齢者の福祉が4億円減っているのは、老人福祉施設費が約4億円減少したため。浅川苑の建設費などが減ったためです。
○社会福祉費
社会福祉費は、さらに社会福祉総務費、障害者福祉費、老人福祉費、老人福祉施設費、国民年金事務費、コミュニティ費、生活保健センター費、東部会館費、消費生活向上推進費、余暇活動推進費、国民健康保険事業費、定額給付金費
に分けられています。
それぞれ主に何にお金が使われているかを一つ一つ説明していきます。
1.社会福祉総務費(8.46億円)
最も多いのが職員人件費の5.32億円。 一般職66人の給与と手当、共済費が計上されています。本来、以下で紹介する各費用に按分すべきものが多いように思います。
その他1億円を超える項目としては、社会福祉法人等への補助金1.37億円があります。補助先は 日野市社会福祉協議会に8149万円、日野市福祉事業団に約5,344万円、その他社会福祉団体に約150万円。東京善意銀行に3万円とのこと。
2.障害者福祉費(27.34億円)
数年前に、それまで身体障害者福祉費、 精神障害者福祉費、心身障害者福祉費に分かれていたものが一本化されました。
主なものは
・自立支援給付事業経費 14.39億円、介護給付費、訓練等給付費が多い。
・障害者(児)手当経費 5.59億円 心身障害者福祉手当(都制度と市制度)が多い。
・公立障害者(児)施設経費 2.37億円 やまばと、つばさ、はくちょう、希望の家の指定管理料が主
・通所訓練事業経費 1.10億円 おちかわ、くらさわ、あんだんて の事業所への補助金のようです。
・地域生活支援事業経費 0.93億円 移動支援事業費、日用生活用具助成が多い。
(内容については、、、、すいません、詳しくないので、ググッテくださいませ。)
3.老人福祉費(29.54億円)
主なものは
介護保険特別会計への繰出金 13.08億円
後期高齢者医療特別会計への繰出金 11.48億円
高齢者ケア事業経費 1.60億円
高齢者住宅事業 0.95億円 高齢者集合住宅の借上
シルバー人材センター経費 0.51億円
高齢者関係については事業数が非常に多い(たぶん40近くある)ものの実態としては特別会計(特別会計については、別途説明します)への繰出金が大半を占めています。
4.老人福祉施設費(3.16億円)
・中央福祉センター、湯沢福祉センター、高幡福祉センター、かしの木荘の経費
・マザアス日野とサルビアの建設補助金
・栄町高齢者在宅サービスセンター、地域包括支援センター、栄町グループリビングの経費
・豊かな里、あすなろの建設補助金
・浅川苑への補助金
・南新井交流経費の工事費
が主な内容となっています。
5.国民年金事務費 (0.50億円)
・90%は一般職7人の人件費。
6.コミュニティ費(1.59億円)
自治会関係の費用が2000万円弱 、うち自治会への補助金は1760万円。
確か自治会の地域の世帯あたり240円の補助が出ていたと思います。
地区センター管理経費 約2278万円
ほぼ指定管理料。地区センターは57あり、年間22700件、利用人数は約30万人。私の近くの地区センターでいうと、大体半年に1回ぐらいメンテに来るようです。普段鍵を管理している方(近所に住まわれている方)には年間3万円ぐらいの謝礼が出ているようです。
交流センター管理経費 約4935万円 + 整備経費約850万円
ほぼ指定管理料。交流センターは8箇所。年間21000件、利用人数は約27万人。稼働率59%だそうです。
NPO支援事業 約294万円
うち支援センターの管理費が123万円、電気代が66万円。
平山台 健康市民センター 管理費 約3500万円
元平山台小学校を改装して、民間の保育所+地域のセンターにしたところです。
旧百草台小学校跡地開設準備 約2286万円 ほぼ工事費
7.生活・保健センター(0.60億円)
経年的に見ると徐々に費用が減っています。(たぶん10年前は1億近くかかっていたような。)
会議室などの利用件数は4170件、利用者数は6.5万人。
温水プールの利用者は約7000人。
利用料の収入は約623万円となっています。
8.東部会館費(0.71億円)
こちらの生活・保健センター同様、費用は徐々に減っています。
ほとんど指定管理料。
会議室などの利用件数は3610件、利用者数は6.4万人。
温水プールの利用者は約38700人。
利用料収入は1430万円となっています。
9.消費生活向上推進費(0.13億円)
約半分の620万円が消費生活相談員。平日、消費生活相談員が相談室で対応しているそうです。相談件数は1080件。
そのほか消費者行政活性化事業 ということで備品の購入が396万円あります。
10.余暇活動推進費(0.21億円)
乗鞍高原日野山荘の経費。年間2035人が利用。稼働率は36.7%とのこと。 ちなみに大成荘の方は、”教育費の中の林間施設費”という扱いなのだそうです。
11.国民健康保険事業費(17.71億円)
国民健康保険特別会計への繰出金が16.39億円。
そのほか 一般職21人分1.32億円が計上されています。
特別会計については別途説明します。
12.定額給付金(26.62億円)
実際に交付したのは25.97億円、交付に要した経費は約6460万円(アデコへの委託が3400万円と大きい、そのほかは郵送の費用930万円、振込みの費用799万円など。職員人件費は別)。
○児童福祉費
児童福祉費は85.6億円で、前年度の85.3億円とほぼ同額。
ちなみに平成22年度の予算は子ども手当てができたために103億円となっています。
児童福祉費は大きく
1.児童福祉総務費 36.2億円 人件費、児童手当、その他もろもろ
2.児童運営費 24.1億円 民間保育園への補助費
3.ひとり親福祉費 0.8億円 以前は母子家庭~~という名称でした。
4.保育園費 20.7億円 市立の保育園の運営費
5.児童館費 2.7億円 児童館の費用
6.青少年育成費 0.1億円 育成会(子ども会の中学生版)への補助が多い
7.地域子育て支援対策費 0.8億円
に分類されています。
1.児童福祉総務費(36.2億円)
主なものとしては、
・一般職の職員46人分の人件費として3.81億円
・児童手当の経費として15.25億円
児童手当法という法律に基づき支給されるものです。
国の制度の対象者が約14000人 (事務報告書の延べ人数より計算)。国の負担金は5.77億円なので、半分を国が負担することになっているようです。
・児童扶養手当の経費として4.50億円
上記と似たような名前ですが、別の法律に基づくもの。
親が離婚または死別、障害などの状況であるときに支給されるもので、国は1/3負担。
日野市では全部支給対象者が約2000人、一部支給が1900人ぐらい。
東京都の児童育成手当という同趣旨の制度がありますが、ややこしいことに、こちらの費用は前述した”児童手当の経費”に計上されています。こちらのほうの対象者は2330人。
・子ども医療費助成事業 4.41億円
平成21年度末現在19358人が対象者。延べ受診件数は28.2万件。助成額は一介当たり1468円とのこと。
・こども手当て対応のシステム改修で 1291万円
・子ども家庭支援センター各種事業 1.34億円
・ファミリーサポートセンター24百万。子育て広場30百万。
在宅サービス32百万、センター管理運営40百万 など
・病後保育の委託 約16百万
・認証保育所の経費 3.77億円。 保育室家庭福祉員 約2650万
市内には6の認証保育所、家庭福祉員(保育ママ?)が9名。
定員は合わせて359名とのこと。市外の施設を利用している方もいるようです。延べ利用件数は約4800件。
・民間保育園助成 1.99億円
建設費や家賃補助のようです。
2.児童運営費(24.1億円)
民間の保育所のほか、助産施設や母子生活支援施設もありますが割合は1%未満です。
民間保育所は分園を含めて現在20園。1366名の幼児が在籍(市内の半分強)。
特に2歳児未満では、685名と市内の約2/3、0歳児では80%と、小さい時期の子どもの保育に大きな役割を果たしています。
ちなみに待機児童は136名。 そのうち半分の75名が1歳児。1/4の34名が2歳児です。
3.ひとり親福祉費(0.8億円)
ひとり親家庭の医療費助成とホームヘルパー、自立支援給付金が主。対象世帯は1000~1100世帯のようです。
4.保育園費(20.7億円)
市立保育園は12園。1287名が在籍。市内の保育園児の半分弱が市立保育園に通っています。
人件費として193人 約14億円が計上されています。
そのほか臨時の保育士などの賃金が3.59億円、賄い材料費が1億円弱。
施設の管理が0.57億円、施設の改良整備が0.75億円などとなっています。
私立をあわせた保育園費45.3億円のうち、保護者の負担は5.4億円、国の負担が5.1億円、都の負担が6.2億円。残りの28.5億円が市の負担となっています。
園児一人当たりの年額では163万円かかっています。
これを指して、パートの103万円を稼ぐために163万円もかかっているのか。という人もいますが、それは逆で、会社を辞めてしまってキャリアが断絶してしまうから103万円のパートをせざるをえないのであって、保育園が整備されるなど子育ての環境が整備されれば状況はずいぶん変わると思われます。
ちなみに子育てのために一旦退職した場合の生涯賃金の差は約2.3億円にもなるのだそうです。(原田泰著 「日本はなぜ貧しい人が多いのか」より)
5.児童館費(2.7億円)
前年の6億円から大幅のダウン
これは、旭が丘児童館の整備費1.3億円、栄町二丁目複合施設工事の2億円がなくなったため。
ちなみにブログでも紹介した日野ソング作成の実行委員会への補助は148万円、児童館費に入っています。
開館日数は年間約290日。 利用人数は26.7万人。一日あたり920人ぐらい。
利用一人一回当たりの経費でいうと大体千円ぐらいということになります。
6.青少年育成費(0.1億円) これも児童福祉なのですね・・・・。
育成会(子ども会の中学生版のようなもの)への補助が多い。
各中学校区ごとに55万円ずつ補助しているようです。
7.地域子育て支援対策費(0.8億円)
何か知らなかったので、調べてみた。
厚生労働省の資料によると目的は
「厳しい経済情勢において、多子世帯の幼児教育期の子育ての負担に対し配慮する観点から、平成20年度の緊急措置として、第二子以降の児童について、一人あたり3.6万円を支給するものです。」とのこと。
小学校就学前3年の子に限定だったとのこと。道理で知らないはず。ちなみに給付は平成20年度には行われず、21年度にずれこんだので21年度の決算で出てきています。
法的な性格としては「市町村からの贈与」とのこと。
実施主体は市町村、国が全額補助、市の持出しは100万円程度だったみたいです。
動画 平成21年度財政白書より(平成20年度決算に基づく)
民生費の説明は2:06より
次のコンテンツ(総務費)