歳入の柱である、市税(市に市民が払う税金)を説明します。
主なものは個人市民税と固定資産税。
この2税で全体の8割を占めています。
ちなみに平成20年度は図2を参照。
平成21年度と20年度との一番の違いは法人市民税。13億円の減少となっており、その分がほぼ市税の減収になっています。
図3までにスペースがあるので、市にはどのような税金が払われるのか復習しましょう。
○給料など収入にかかる税金
所得税と住民税があり、所得税は国に、住民税は都道府県と市町村に入ります。いわゆる都民税・県民税(法律上は道府県民税というらしいです。)、市民税と呼ばれるものです。
○企業の所得にかかる税金
人税と法人住民税、事業税があります。
法人税は国に、法人住民税と事業税は都道府県に。法人住民税の一部は市町村に入ります。
○消費にかかる税金
消費税と地方消費税があります。我々消費税=5%と思っていますが、消費税法では
消費税=4%、地方消費税=消費税×25%
と定められています。
国の分と地方の分に分けられている消費税ですが、実務上は5%分まとめて国に入って、そのうち1%を国が都道府県に配分し、その半分を都道府県から市町村に配分することになっています。(詳しくはこちら。)
○土地や建物にかかる税金
固定資産税と都市計画税は市町村に入ります。(例外はありますが省略)
土地建物を取引する際にかかる不動産取得税は都道府県。登録免許税は国に入ります。
図1 平成21年度市税収入の状況
図2 平成20年度市税収入の状況
○自動車にかかる税金
所有時にかかる自動車税は都道府県。自動車重量税は国。ただし軽自動車税は市町村。
買ったときにかかる自動車取得税は都道府県。
なお、ガソリン税は国税。ただし軽油引税は都道府県。 複雑。
○嗜好品にかかる税
酒にかかる酒税は国。
タバコにかかる税金は、国と都道府県と市町村にそれぞれ直接入ります。
図3の説明に入ります。
図3は昭和60年からの約25年間の市税収入の推移です。
法人市民税は景気の変動により増減することがわかります。
日野市の法人税のピークは昭和63年の39億円。その後平成14年には14.7億円まで落ち込み、その後平成18年には32億円近くまで上がりましたが、また落ちてきています。
個人市民税は平成4年にピークを迎えましたが、景気対策としての臨時的な減税が平成6年から行われ、それが途中からは恒久減税となりました。
ある程度以上の年代の方なら住民税が5月と6月だけ0になったのを覚えている人がいるかもしれません。
平成19年からは再び個人市民税が伸びていますが、これは個人の所得に係る税金の国と地方の割合が変わった影響によるものです。一般に税源移譲と呼ばれています。ちなみに住民税の計算の元となる所得の額(専門用語では課税標準といいます。)は平成9年までは増加し続け、その後徐々に低下しています。
平成21年度は平成9年度に比べ、人口は6%増えているのに所得の額は9%減少しています。
生活実感としてはもっと減った印象があるかもしれませんが。
固定資産税と都市計画税は、バブル崩壊後もほぼ一貫して増えていますが、平成10年ごろから横ばいです。
バブルが崩壊して土地の値段が下がったのに税収が減らない理由はこちらのページに解説しています。
固定資産税には個人が払っている分と法人が払っている分があります。
このグラフにはありませんが昭和45年ぐらいは個人1に対して法人5ぐらいでした。(1億と5億ぐらい。調停額ベース:以下同じ) それが昭和60年ぐらいになると個人22.7億対法人27.6億ぐらいに縮まり、バブル時には一時差が開いたものの平成14年には52.6億対55.3億と逆転。現在は個人が支払っている方が6:5ぐらいの割合で多いようです。
そのようになっている理由としては、機械などに係る固定資産税が減っていること(投資が少なくなっている)と法人の土地が減少傾向にあること(個人は増えている) →つまり売却している、ことが原因と考えられます。
東芝や日野自動車が撤退するというニュースが昨年来出ており、今後企業からの固定資産税はますます減るものと思われます。
図3 市税収入の推移