九州大学における演習(非常勤)
2018-2019年度前期:
火5 哲学史演習Ⅴ:ベルクソン研究
第1回(4月10日)
イントロダクション(藤田)
1)ベルクソン研究のための道具紹介
2)ベルクソンの諸著作の大雑把な紹介
3)ベルクソン言語論の重要性
※配布物:ベルクソンのG・ソレル宛て書簡など。
第2回(4月17日)
学生発表:ドゥルーズ『ベルクソニズム』第1章「方法としての直観」(3-31頁)レジュメ(3年・住吉)
※他の配布物
1)2008年朝カルでのレクチャー資料「言葉の暴力:ベルクソン哲学における言語の問題」(藤田)
2)ベルクソン言語論関連資料:シュミット、ルセルクル、ポーランなど。
第3回(4月24日)
学生発表:ベルクソン『記憶と生』第Ⅰ章「持続と方法」第iii節「方法としての直観」(35-57頁)レジュメ(3年・金子)
第4回(5月8日)※5月1日は授業なし。
学生発表:ジャンケレヴィッチ『アンリ・ベルクソン』第1章「有機的全体」(11-41頁)レジュメ担当:大石航樹(M1)
※ドゥルーズの解釈との対比を念頭に置き、なるべく両者の解釈の特徴を際立たせるような発表を期待します。
第5回(5月15日)
佐藤信夫『レトリックの意味論――意味の弾性』第1章「意味の《区別性》への不安」(13-42頁)担当:三上真司(3年)
※ベルクソンの言語観についてのオーソドックスな見方ですが、同時に、これまでお話ししたことから、この見方には限界があることも分かります。
私がこれまでに配布した資料を駆使して、別の見方まで提示してくれることを期待します。
第6回(5月22日)
ベルクソン『記憶と生』第Ⅰ章「持続と方法」第iv節「科学と哲学」(58-68頁)担当:津田果南(2年)
第7回(5月29日)
フェヒナーの精神物理学の紹介(次の三論文から適宜) 担当:米光海人(3年)
・岩渕輝『生命(ゼーレ)の哲学――知の巨人フェヒナーの数奇なる生涯』、第10章「フェヒナーの法則を発見し精神物理学の創始者に」(248-260頁)
・門林岳史「G.Th.フェヒナーの精神物理学――哲学と心理学の間、精神と物質の間」『現代思想』vol. 28-5, pp. 142-166.
・大山正「精神物理学」、『心理学史への招待――現代心理学の背景』、サイエンス社、1994年、55-66頁。
第8回(6月5日)
ベルクソンと無限について 担当:宮内孝啓(聴講生)
1)当時の数学的文脈(カントール、デデキント)
2)無限・連続性・運動(エレアのゼノン vs アリストテレス)
3)『アリストテレスの場所論』
参考文献:
三宅岳史『ベルクソン 哲学と科学との対話』第1章「持続概念の形成と連続性の問題」、京都大学出版会、2012年。
遠山啓『無限と連続』(岩波新書)、志賀浩二『無限のなかの数学』(岩波新書)、野矢茂樹『無限論の教室』(講談社現代新書)など。
※当時の精神物理学や数学(無限論)がベルクソンの持続概念とどう関わってくるのかを絶えず考えながら、
必要であればいろいろ調べ、自分なりの理解を準備したうえで、授業に臨んでもらいたいと思います。
第9回(6月12日)
1)宮内:前回の発表の残り(①デデキントの「切断」、②ゼノンのパラドックスのベルクソン的解決)
2)ベルクソン『記憶と生』第Ⅰ章「持続と方法」第i節「持続の本性」(12-23頁)担当:河野泰成(たいせい)(3年)
第10回(6月19日)
1)ベルクソン『記憶と生』第Ⅰ章「持続と方法」第ii節「持続のさまざまな性格」(24-34頁)担当:河野
※「持続」概念自体を大雑把に理解することは難しいことではありません。その「さまざまな性格」をうまくつかむようにしてください。
2)ドゥルーズ『ベルクソニズム』第2章「直接与件としての持続」(33-49頁)担当:佐藤桜子(3年)
参考文献:ベルクソン『試論』第二章冒頭、八木沢敬『「数」を分析する』(岩波現代全書、2018年)第1章「かぞえるということ」冒頭。
第11回(6月26日)
1)ドゥルーズ『ベルクソニズム』第2章「直接与件としての持続」(佐藤)
2)リーマンの多様体解釈について(米光+藤田)
参考文献:①リーマンほか『リーマン幾何学とその応用』(矢野健太郎訳)、共立出版、1974年。
②吉田洋一・赤攝也『数学序説』(ちくま学芸文庫)、③志賀浩二『現代数学への招待――多様体とは何か――』(ちくま学芸文庫)。
※7月3日は台風のため休講。
第12回(7月10日16:30-18:00)
1)ベルクソン『時間と自由』、ドゥルーズ『ベルクソニズム』、ジャンケレヴィッチ『アンリ・ベルクソン』の目次から読み解けること(藤田)
2)ジャンケレヴィッチ『アンリ・ベルクソン』第2章「自由」第Ⅰ節「俳優と観客」(45-56頁)担当:迫田芳(かおる)(2年)
※ランジュヴァンの「双子のパラドックス」について説明できるようにしておくこと。
3)ドゥルーズ『ベルクソニズム』第二章、ジャンケレヴィッチ『アンリ・ベルクソン』第二章の簡単な比較(藤田)
第13回前半(7月10日18:00-18:45。7月3日のための補講前半)
4)ジャンケレヴィッチ『アンリ・ベルクソン』第2章「自由」第Ⅱ節「生成」(56-85頁)担当:下吹越愛莉(あいり)(2年)
※音楽に関する記述(ジャンケレヴィッチの特徴の一つ)やギュイヨーに関する個所をはじめ、細かい記述も説明できるように、できるかぎり準備をしておくこと。
第14回(7月17日)
1)ジャンケレヴィッチの音楽に関する記述の説明(迫田)
2)ギュイヨーに関する個所の説明(下吹越)
3)ジャンケレヴィッチ『アンリ・ベルクソン』第2章「自由」第Ⅲ節「自由な行動」(85-112頁)担当:大石航樹
※発表者・出席者全員への希望ですが、ドゥルーズとジャンケレヴィッチ、両者の比較を念頭に置いた読解を期待します。
授業後特別上映会(7月17日18:00-19:00)
1)亀田音楽専門学校 Season2 第10回「”タタタ”のリズム学~三連さんいらっしゃーい!」(2014年12月5日)抜粋
2)ららら♪クラシック「スティーヴ・ライヒ」(2018年6月22日)抜粋
第15回(7月24日)
1)バシュラール『持続の弁証法』第一章「弛緩と無」担当:松永信治(M1)+住吉補助
2)バシュラール『持続の弁証法』第七章「持続の隠喩」担当:池田敬太(2年)
※バシュラールのベルクソン批判のポイントはどこか。ベルクソン側からのありうべき返答とはどのようなものかを考えながら、読んできてください。
第13回後半(7月24日18:00-18:30。7月3日のための補講前半)
3)Sébastien Miravète, « La durée bergsonienne comme nombre spécial »,
in Frédéric Worms (éd.), Annales bergsoniennes, tome V, pp. 401-418. 担当:大石航樹
4)藤田による持続のリズム解釈(三上)
授業後、倉田先生の演習クラスと合同打ち上げ