9月12日

投稿日: 2010/09/13 7:49:14

さぁお待ちかねの生物情報科学的なトピックである。

今回は今や殆ど必須のツールとも言えそうな地位を確立したBLASTについて解説する。

BLASTとは文字列の相同性解析を行う際に利用されるアルゴリズム及びソフトウェアの名称である。

これは相同性解析の中でもローカルな、つまり局所的な相同性を探索するのに優れている。

また、同じく相同性を求めるものとしてFASTAやClustalがあるが、それぞれの特徴はスピード重視のBLAST、精度重視のFASTA、複数配列同時比較のClustalといった感じである多分。

さて、それではBLASTは一体どのような場面で使われるのだろうか。

ケーススタディーとして、以下に一つその使用例を挙げよう。

大学3年次の講義にて、「ある哺乳類の機能未知の遺伝子配列が与えられた上で、その遺伝子の機能を推定する」というレポート課題が出題された。

A君は、何事も計画的にコツコツ取り組む事に定評があり、締切の一週間前にはレポートを完成させ、X教授へメールで提出した。

その一方でK君は、何をするにもギリギリで、夏はのんびりバイオリンを弾きながら歌って暮らし、冬になって食べるものが無くなってはA君の元に物乞いに行くという有様であった。

そんなK君なので、レポート締切の当日にようやく重い腰を上げ取り掛かるものの、どうしても肝心の遺伝子機能がとんと分らず、例によってA君に土下座してレポートを写させてもらった。

流石に丸写しをしてはばれてしまうと考えたので、写すのは核心部分だけにして、その前後は完全なオリジナル、お得意のポエムなども交えつつ陽気に綴った。

そんなこんなで何とか締切には全員分のレポートがX先生の元に提出された。

しかしながらX先生は多忙で、学部生のしょうもないレポートに目を通している暇なんてない。

別にこのまま全員に”優”をあげてしまってもいいのだが、そうなると何れ不正が横行するようになるだろう。

そこでX先生は、BLASTを用い、レポートの相同性を解析した。

結果、A君とK君のレポートの一部が有意に高いスコアを示し、彼らは呼び出されて叱られる事になったのであった。

お分かり頂けたであろうか、このようにBLASTは、多忙なバイオインフォマティクスの研究者達のためにレポートや論文の相同性解析に用いられている。

インデックスとしてPubMedのような論文データベースや他学生のレポートを指定する事で、例えそれが一部分であっても、悪質な剽窃を見抜く事ができるのだ。

というわけで生物情報科学科に進もうと思っている学生は、このような便利ツールが存在しているという事を念頭に置き、十分気をつけるべきである。