2017-7-15 日本魚類学会市民公開講座

Post date: Jul 17, 2017 2:12:21 AM

7/15に近畿大学東大阪キャンパスで、2017年度日本魚類学会市民公開講座『「第3の外来魚問題」―人工改良品種の野外放流をめぐってー』が開催されました。

以下はそのメモ。

(1) 魚類学会市民公開講座「第3の外来魚」が200数十名の参加のもとで無事終了。アンケート集計によれば十分に意義のある講座となったようだ。

(2) ヒメダカ、金魚、錦鯉の作出・飼育等の文化の素晴らしさを共通認識に、それが一旦野外に放流された時点で「外来種」問題を起こしうるという点についても共有できたと思う。

(3) パネルディスカッションでもパネリストや会場から多様な視点からの意見がやり取りされた。善悪の闘いでなく、社会経済情勢や現代的な知識、倫理の上で、どのような水辺環境を目指すかを真摯に模索すれば、魚種や地域によって、一定、自ずと「人工改良種の野外放流」の可否、許容範囲は決まってくるのではないか。

(4) その起点は「自然保護、希少種保全、環境教育、環境美化の目的であれば、ヒメダカ、金魚、錦鯉等の放流は不可でありナンセンス」。

(5) 観光等関連行事の場合は、ちょうど産業からの環境負荷(農地、工場からの化学物質等)と同じく、目的と影響の大小に応じた社会的な合意事項(法律を含む)だろう。

(6) 繰り返しになるが、改良品種の作出や飼育自体は日本やアジアの誇る文化であり、それを支える産業は健全に発展・維持されるべきだ。

(7) しかし現在の環境悪化、学校教育、飼育運搬技術、経済情勢、宗教等の組合せの一つの顕れとして、「野外放流による外来種問題」が生じている。その抑制が今日的課題。