2010-11-6 某研究会

Post date: Nov 7, 2010 10:21:50 AM

皆勤の学会を欠席して以来,久しぶりに魚関係の研究会に参加した.

2日のうち,最初の1日のみ,また途中で退席することになったが,少し不完全燃焼な感じで帰路についた.それはさておき,ダムネタついでに設楽ダム関係でY大のM先生のホトケドジョウ類の話.

保全手法の方向性について質疑の時間に議論が生じ,これまでこの件で議論を続けてきた私も補完する形で意見を述べさせていただいた.「偉い先生」達からの否定的な意見が集中してしまい,ご本人,気落ちしたご様子に見受けられたが,いずれにしても保全上貴重で重要な研究なので,今後も是非進めていただきたいと思った.当のホトケドジョウ類の集団の存在形態についてまだ誰も(それぞれ異なる)イメージ以上のものを持っていないこともよく分かった.これでは保全方針も定まらないだろうし,そのためにも氏のような研究をさらに発展させる必要があると思う.

ダムによる環境破壊はほぼ不可逆的で代替措置が乏しい.計画の段階から地域の暮らしを永遠に攪乱,破壊し,悪い方に正のフィードバックを進める(ダム中止の決定すら,受け入れがたい状況に陥れる).その上,主たる目的の治水上の効果は低く,間接的にマイナスの影響もある(他のより本質的・重要な防災対策を実質的・施策的にも心情的にも軽んじさせる).公共事業としての短期的にポジティブな側面は否定できないが,それ以外の効用は単なる欺瞞に近い.

設楽ダムにほぼみなが賛成という状況は見事な情報操作の賜物だろう.民主党政権や有識者会議の「有識」にどこまで期待できるのか...

M先生とは(保全対策という以上の)意見の相違はあるが,「ではどうすればよいのか」という現場の研究者の”意志”はもっとも重要な力の一つだと思いたい.