2015-12-30 アカザ系統地理論文がIchthyol Resに掲載されました

Post date: Dec 31, 2015 5:25:06 PM

アカザ(淡水魚)の系統地理論文がIchthyological Research(電子版)に掲載されました。

Nakagawa, H., S. Seki, T. Ishikawa and K. Watanabe. In press. Genetic population structure of the Japanese torrent catfish Liobagrus reinii (Amblycipitidae) inferred from mitochondrial cytochrome b variations. Ichthyol. Res. Doi: 10.1007/s10228-015-0503-6 (2015)

http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10228-015-0503-6

アカザは本州から九州、四国の大部分に分布する、河川中上流域に分布する種としては特異的に広域的に分布する種です。このアカザについて、思っても見なかった別種レベルに分化した2群の存在と、中国ー四国にわたるその二次的接触帯の存在を明らかにしました。

これまで議論のあった関東・東北太平洋側の集団は、今回のデータを見る限り、やはり人為移植の可能性が高いようです。またこの山間にまで棲む広域分布種においても、やはりフォッサマグナの存在は大きいようで、東北日本海側の西限、また静岡に存在する太平洋側東限集団の東限もフォッサマグナ地域に位置します。

共著者の関さんと石川さんにはサンプリング等で非常に大きな貢献をしていただきました。主著者の中川くんも研究方向が大きく変わったなか、取りまとめにがんばってくれました。いつもながら編集委員と査読者には大変建設的な査読・助言をしていただきました。感謝。

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