2016-3-17 琵琶湖固有魚種の起源に関する論文が公表されました

Post date: Mar 21, 2016 8:25:51 AM

この春学位をとった田畑くんたちとの力作、琵琶湖固有魚種の起源に関する論文が出版されました。

Tabata R., R. Kakioka, K. Tominaga, T. Komiya and K. Watanabe. 2016. Phylogeny and historical demography of endemic fishes in Lake Biwa: the ancient lake as a promoter of evolution and diversification of freshwater fishes in western Japan. Evol. Ecol. http://dx.doi.org/10.1002/ece3.2070

この論文では、10数種存在する琵琶湖固有魚種(準固有種)のほとんどすべて(11種)に関する分子系統と、固有種14種を含む全42種の歴史人口動態に関する解析結果を示しました。琵琶湖固有種にかなり古いもの(現琵琶湖ができ始める40万年前よりも以前に最近縁種から分化したもの)とより新しいものが存在すること、またそれらのいずれにおいても、その多くが現琵琶湖ができた後に集団を拡大したこと、一部の種は西日本の集団と複数回の交流を持ってきたことなどを示しました。

以上から、この論文は、西日本の淡水魚類の成立において、琵琶湖が多様性の「創発」と「蓄積・保存」の場としての役割を担ってきたその一面を明らかにできたのではないかと考えています。

田畑くんを始め、琵琶湖魚類相問題に一緒に関心を持って取り組んできた元院生たち、またサンプリング等に貢献してくれた皆さん、有意義なコメントをくれた査読者に感謝。