Busoni's
Fantasia Contrappuntistica 

ブゾーニの対位法的幻想曲(Fantasia Contrappuntistica, BV 256)は実に驚くべき曲である。

私なりにこの曲の「イメージ」を表現すると、

超絶的なピアニスト兼作曲家が、ふと降り立った楽想のもとに気ままに即興演奏をし始めたところ、昨晩の知人のピアニストによる実にマニアックなコンサート(初めて聴くJ.S.バッハ「フーガの技法」の全曲演奏)を思い出し、最終曲(14番未完の3声のフーガ)を記憶の耳コピでアドリブ交じりになぞり出した。未完部分も流れで弾ききり、さらに「B-A-C-H」で遊びつつ他のフーガ(2番、そして11番)のフレーズも織り交ぜながら壮大なピアノ曲に仕上げてしまった

という感じ。

いくつもバージョンがあるようだが、リンクは最もしっくりとくる素敵な演奏:Wolf Harden (piano) 

2023年1月

ブゾーニの対位法的幻想曲の風景

Preludio corale

目が醒めると見知らぬ森の中
分け入ると景色が少しずつ変わり
あらゆるところに命の息吹を感じる
森の陰が強くなり
何か見覚えのある景色が
葉陰にかすかに見えた気がする

Fuga I

突然目の前に見知った景色が広がった
安堵もつかのま
微妙に異なる葉のかたち
鳥の声
朦朧とした夢の中

Fuga II

夢の中で目醒めている
ここはやはり異世界
なのにとても懐かしく愛おしい

Fuga III (on B-A-C-H)

楽聖の御名
息吹があふれだす
3つの声はそのまま森を満たしていく

Intermezzo

夢は終わったのだろうか
深い霧の中

Variazione I

森も姿を消し
ただ3つの声が道を指し示してくれるのみ

Variazione II

このまま進んでいいのだろうか

Variazione III

不安と確信が重なり合う
この先霧は晴れるに違いない

Cadenza

新たな景色が広がった
しかしこの景色は知っている
4つ目の声

Fuga IV

楽聖の始まりの文字
知っているのにすべてが新しい
地上のものではない美しさ
彼方からの予兆

Corale

気づくと元の森にいるようだ
しかし予兆は地響きとなって
確かなものとなる

Stretta

地響きは一人を除いた使徒たちとして姿を表す
始まりの鐘が彼らとともに響き合い
もうここが夢か現実かに意味はない

(作者不詳)