※青字=リンク(押すと移動)
カフェで談笑するフェルランドとグリエルモに対し、ドン・アルフォンソは「君たちは運がいいな。恋人の貞節を疑うことすらないのだから」と皮肉を言う。二人は「当然だ!僕たちの恋人は誠実だ」と反論する。そこでドン・アルフォンソは「それなら賭けをしよう。君たちの恋人も、もし機会があれば必ず浮気をする。24時間以内に証明してみせよう」と提案する。
フェルランドとグリエルモは怒り、「彼女たちはそんな軽薄な女ではない!」と反論するが、ドン・アルフォンソは「もし私が勝ったら、君たちは認めてもらうだけでいい。だが、私が負けたら好きなものをくれてやろう」と賭けを持ちかける。二人は自信満々で賭けに乗ることを決める。
舞台は二人の婚約者、フィオルディリージとドラベッラの家へ。二人は愛する恋人たちの肖像画を見つめ、愛の誓いを交わしている。フィオルディリージがつぶやくように言う。「見て、妹よ。あの口元、あの姿…あれほど美しい顔や、優雅な立ち振る舞いの持ち主が、他にいるだろうか?」
ドラベッラはじっと見つめ、「あの瞳を見て、どれほどの炎が宿っているか…まるで火花が飛び散り、矢が放たれるような気がするわ」と語る。
フィオルディリージは少し感慨深げに言う。「あの姿には、戦士であり恋人でもあるような雰囲気が感じられるわ。」
ドラベッラも頷きながら、「その顔には、誘惑の力と、脅威を感じる。どこか怖いくらいだわ。」
二人はそれぞれの心に浮かぶ思いを吐露し、「私は幸せよ」と言い合う。「私も幸せだわ」とドラベッラが続ける。
そして、二人は心の中で誓う。「もしも私の心が変わることがあれば、そのときは愛が私に苦しみを与えることでしょう。」
しばらくの沈黙の後、フィオルディリージはしみじみと語りかける。「今朝からなんだか気持ちが高揚していて、少しおかしな気分だわ…体中に火が灯ったみたい、血が騒ぐの。」
ドラベッラも頷きながら、「実は私も何か新しい感情を感じているの…遠くのほうから運命の足音が聞こえるような気がする。」
フィオルディリージがドラベッラの手を取りながら、「ちょっと手を貸して。今から星を占ってみるわ。ああ、この『エム』は素晴らしい! そしてこの『ピ』はどう? うまくいけば、結婚も近いわね。」
ドラベッラは笑顔で答える。「もし本当にそうなら、楽しみだわ!」
フィオルディリージはうなずきながら言う。「私も嬉しいわ、でもそれより、どうして私たちの愛する人たちはまだ来ないのかしら?もう6時よ。」
その時、フィオルディリージは「ほら、来たわ!」と声を上げる。
現れたのはドン・アルフォンソ。沈痛な面持ちで「君たちの恋人は、突然、戦場に召集されてしまった」と告げる。驚き悲しむ二人の前にフェルランドとグリエルモが現れ、涙ながらに別れを告げる。「愛している」「誠実を誓って」と、二人の女性は必死に訴える。フェルランドもグリエルモも心苦しいが、これはすべてドン・アルフォンソの策略。彼らは「死ぬほど悲しい」ふりをしながら、泣く泣く別れを演じる。
侍女デスピーナが登場し、独り言のように「なんてひどい人生! 侍女なんてやってられない!」(Che vita maledetta! È il far la cameriera!)と嘆きながら、身の回りの女性たちが男に尽くしすぎることに対して不満を漏らしている。彼女は、自由に恋愛を楽しむべきだと考え、男たちの浮気を見越して「男なんてみんな浮気するもの。なのに、女だけ貞節を守れなんて馬鹿げてるわ」と言っては、彼女なりの現実的なアドバイスを口にする。
その頃、フィオルディリージとドラベッラが現れ、恋人たちの不在に深く悲しみ、涙に暮れている。二人の姿を見たデスピーナは冷ややかな態度で、「あら、泣いてるの? たかが男がいなくなったくらいで?」と心外そうに言う。
フィオルディリージとドラベッラはその言葉に怒り、「私たちは違う! 彼らを愛しているのに!」と激しく反論するが、デスピーナは「何を言っても、結局、男はみんな遊んでいるだけよ。恋にのめり込むだけ損よ」と皮肉を込めて答える。
その後、ドン・アルフォンソが密かに登場し、デスピーナにお金を渡して、「協力してくれないか?」と頼む。デスピーナは金を受け取り、意気揚々と「金のためなら喜んで!」と協力を約束する。
そして、ドン・アルフォンソがデスピーナに変装した異国の紳士たちを紹介するシーンに続く。「彼らは全て女性の心を射止める魅力を持っている」とドン・アルフォンソが語り、デスピーナは興味津々で「どこにいるの? 見せてくれる?」と尋ねる。
ドン・アルフォンソは「すぐそこだよ、今から入れさせる」と答え、デスピーナは「じゃあ、入れてもらうわ」と主人の許可なく勝手に入れる。
ドン・アルフォンソはデスピーナに変装したフェルランドとグリエルモを紹介します。二人はトルコ風の衣装をまとい、立派な口髭をつけ、まるで異国の貴族のような姿に変身しています。さらに、ドン・アルフォンソは、フィオルディリージとドラベッラに彼らを友人として紹介します。
変装したフェルランドとグリエルモは、「ああ、まさに女神!」と大げさに口説き始めます。突然見ず知らずの男たちが自分たちの家に入ってきて、口説き始めたことに、フィオルディリージとドラベッラは激怒します。「あなたたち、無礼です!」と拒絶の言葉を投げかけ、特にフィオルディリージは「私の心は鋼のように堅い」と毅然として立ち向かいます。
ドン・アルフォンソは内心焦りますが、まだ手があることを感じ、「次の手段に出るしかない」とほくそ笑みます。
次の作戦は、二人が「恋の苦しみに耐えられない!」と言って毒を飲み、自殺未遂を装うこと。フェルランドとグリエルモは「あなたたちが愛を受け入れないなら、死ぬしかない!」と叫び、毒(実際は偽物)を飲む。
フィオルディリージとドラベッラは、倒れた二人を見て取り乱し、「誰か! 助けて! 誰も聞こえないの!? デスピーナ!」(Gente, accorrete, gente! Nessuno, oddio, ci sente! Despina!)と必死に叫ぶ。
騒ぎを聞きつけたデスピーナが駆けつけ、「何ごと!? まあ大変!」(Cosa vedo! Morti i meschini io credo, O prossimi a spirar!)と驚くが、すぐに冷静になり、「こんなことで死ぬなんて馬鹿らしいわ。でも、見捨てるのはさすがに気が引けるし、助けを呼ぶしかないわね」(Abbandonar i miseri Saria per voi vergogna: Soccorrerli bisogna.)と言って、医者を呼びに行くことを決める。
やがてデスピーナは、医者に変装して戻ってくる。彼女は奇妙な道具を取り出し、「磁石を使って毒を抜く」という怪しい治療を始める。
突如目を覚ましたフェルランドとグリエルモは、周囲を見回しながら戸惑い、「ここはどこだ? あの人たちは誰だ? まるでユピテル(ジュピター)の玉座の前にいるようだ…」と呟く。そして、フィオルディリージとドラベッラを見つめ、「君はパラス・アテナ? それともヴィーナス? いや、僕の女神だ!」と感動しながら、優しく手を取り、その美しい姿に心を奪われる。
すると、感謝と愛を示すように彼女たちの手に口づけし、さらに情熱的に唇への口づけを求め始める──「僕の宝物よ、キスをしてくれ! たった一度でいい、さもないと僕はここで死んでしまう!」 (Dammi un bacio, o mio tesoro; Un sol bacio, o qui mi moro.)
フィオルディリージとドラベッラは驚愕
「なんですって!?キスを!?」
信じられないと叫び、次第に怒りが込み上げてくる。
「なんてこと…! 誠実な恋人にこんなことを求めるなんて、あまりにもひどいわ! 私の誠実さは侮辱された…この心も踏みにじられた!」と激情をあらわにし、彼女たちの怒りは一気に頂点へ。
「絶望していようが、毒に冒されていようが、そんなの知ったことじゃないわ! さっさと地獄へ行きなさい!!」と烈火のごとく怒りを爆発させ、容赦なく二人を突き放す。
──しかし、この激しい拒絶こそが、彼女たちの揺れ動く心をさらけ出すことになるのだった。
↓Next