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バルトロの部屋は、椅子と楽譜の散らばったピアノでいっぱいだった。バルトロはひとり、苛立った表情で部屋を行き来していた。連隊の中であの兵士(伯爵の変装)のことを知る者はいない。怪しいに決まっている。きっとアルマヴィーヴァ伯爵が送り込んだスパイに違いない。ロジーナの心を探ろうとして、自分の家にいながら安心もできないなんて…そんな腹立たしいことがあるだろうか。戸を叩く音がして、誰だと問いただすが応答はない。
しばらくすると、音楽教師に扮した伯爵、ドン・アロンソが現れた。平和と喜びを共に、と穏やかに挨拶する伯爵に、バルトロは少し照れながら応じる。しかし、独り心の中ではこの顔に見覚えがあるが思い出せず、苛立ちは募る。一方、伯爵も最初の変装は失敗だったと感じつつ、新たな策略でバルトロを欺こうと考えていた。
バルトロは、伯爵の名を尋ね、ドン・アロンソという音楽教師でドン・バジーリオの弟子だと聞かされる。ドン・バジーリオは病気で、代理としてやってきたのだという。しかし、バルトロはこの男を信用できず、行こうとするが伯爵が止め、内密に手紙の内容を明かす。手紙はロジーナからのもので、バルトロにとって重要な証拠だった。二人は計略を巡らせながら、ロジーナの部屋へ向かう。
ロジーナはドン・アロンソの前に座り、歌のレッスンを受ける。愛が輝かせる心と不屈の熱い愛を歌う彼女の声は美しく、バルトロもその歌声に感心するが、若い頃の自分の音楽を思い出して少し退屈に感じる。バルトロは、自分の若い頃の歌い方を示すためにアリエッタを歌い、フィガロが洗面器を抱えて真似しながら踊る。
フィガロは髭剃りのためにやってきたが、今日は必要ないと断られる。しかし、バルトロの不注意から、重要な鍵束を手に入れ、計画の実行に備える。ロジーナの手紙を渡した伯爵は、バルトロが計略に気づかぬよう振る舞う。
その夜、嵐の中、伯爵とフィガロは雨に濡れながらロジーナのもとへ到着する。ロジーナは一度は疑いを抱くが、伯爵は自らの正体を明かし、長い間追い求めていた愛を伝える。予想外の告白にロジーナは驚きと喜びで胸をいっぱいにする。フィガロもまた、二人の幸せに息を呑む。
その頃、バルトロは怒りと焦りで行動する。ロジーナを守ろうとするが、フィガロと伯爵の機転によって計画は順調に進む。やがてドン・バジーリオと公証人が到着し、結婚の契約書が準備される。すべてが整い、嵐の夜に二人は無事に結ばれる運びとなった。